2003年7月中旬 応援を求めてⅢ [第6章 和歌山営業篇]
その社長。帰り際にこう言った・・。
「金集めてほしいんやったら、まず、ネクタイして出直して来いや?」
しかし、監督業の人間がネクタイをしている方が怪しい。いかにも、業界を名乗る詐欺師に見えるだろう。だからこそジャケットは着ても、ネクタイまではしなかったのだ。
監督業をする人々は或る意味でアーティスト。縛られるのを嫌う。サラリーマンの象徴であるネクタイをする人はほとんどいない。
自分の思いを表現する仕事のものが、見せかけだけのフッションをするのは、心を偽るようなもの。僕もそう思っている。
でも、そのこだわりも一般の人からは理解されないのだろう。その社長、あとで電話をくれた。
「今、テレビに監督が出ている。せめて、そのくらいの服装で営業したほうがええ!」
テレビをつけると、デザイナーズ・ブランドのスーツを着た男性がインタビューに答えていた。でも、その人は監督ではなく、俳優だった。
その後もいろんな人を訪ねた。そして分かって来たことがある・・・。(つづく)