依頼の意味Ⅰ /2003年10月下旬 [第10章 メイキング監督篇]
それにしても、なぜ、監督は僕なんかにメイキングを依頼してくれたのだろうか? 思い当たることはある。でも、そのこと、事務所のある方が教えてくれた。
「監督は前回、太田君と会ってからずっと何か応援できることはないか? 何か協力できることはないか?と言ってのよ・・」
つまり、前回、尾道ロケの話をしたとき「これはあなたの故郷で撮るべき作品です」と指摘されたあと。監督は僕のことを案じて、応援する方法はないか? 考えてくれていたのだ・・・。
初対面に近い僕のことを心配してくれていたのだ。いや、あのときも、厳しい指摘の中にもの凄い優しさを感じた。
映画監督として、どんなことがあっても捨ててはいけないこと。やらねばならないことを教えて頂いた。
でも、その後もずっと心配して頂いていたとは知らず、胸が詰まる。メイキングの依頼も単に仕事をくれたということではない。
大林組の現場を経験することで、何か掴んでほしい。プラスにしてほしいという監督からの応援なのだ・・・。(つづく)