木造の魅力 /2004年6月 [第15章 S40年代の意味篇]
家も同じ。
鉄筋コンクリートの家は密閉性があり冷暖房がしやすい、隣の部屋の会話が明瞭に聞こえることはあまりない。
それが昔の木造は、隣の家の声まで聞こえた。それによって、隣の夫婦は仲が悪いとか、おじいちゃんが病気なんだ…とか分かってしまう。
襖や障子では隣の部屋の会話も聞こえる。 子供が布団に入っても寝られずにいると、隣の部屋で話す両親の会話が分かる。
父の給料が少ないことを知り、親が大変なことを理解する。
でも、鉄筋の家だとそうはいかない。二階の子供が誰と電話しているのか? 一階の両親がどんな会話をしているのか? 互いに分からない。
そうやって「物質の豊さ」は情報を遮り、コミニュケーション能力を育てることもなく、人を孤独にして行ったのではないか? (つづく)