真相/2004年12月 [第20章 裏切り地獄篇!]
D社に詳しい友人が語る。
「多分、3つの条件を上げた頃は、彼も企画会議を通す自信があった。でも、それから立場がどんどん悪くなった・・。
もう、ロイヤル・ストレート・フラッシュともいうべきカードを使っても、会社から製作費を引き出せなくなった・・・。
けど、何年もの間、あれが欲しい。これが欲しいと言って来た。それを何と! 太田は全部、揃えた。誰もが不可能という最強カードまで集めた。それなのに、彼は企画を通せない。
『ダメでした・・』というのは自分が無能だと言うのと同じ。そう考えたんだろう。だから、高飛車に出た。
『俺がダメなんじゃない。時間がかかるだけ。待てないなら、ウチ抜きでやってもらってもいい・・・』
でも、それはこういう意味。『自分は3年後くらいでないと、企画を通すのは無理。ウチの会社を参加せることはできません』それが正直な気持ち・・。
『俺はやればできる。でも、今できないだけなんだ』と弁明。プライドを守っているだけ。それが、あのセリフだよ・・悲しいヤツだね・・・」
一時は僕も怒り狂って「絶対に許さん!」と思った。が、彼も苦しんでいたのだ。でも、それなら本当のことを言ってほしかった。
「すみません。いろいろと言いましたが、今の俺には無理です。本当にすみません・・」
そう言ってくれれば理解した。海のものとも、山のものとも知れない、僕のような新人の企画を支持してくれたのだ。それを通すのは並大抵なことではない。
本当に嬉しかった。本当に感謝していた。本当に厳しい中、戦ってくれていたと思う。でも、自分の弱さを隠し、投げ出してしまった・・。
<つづく>