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巨匠は手を差し伸べない /2005年3月 [第21章 撮影延期篇]

 その自主映画を作りたいのは彼だけ。友人の力を借りて、出演までしてもらって撮影するのは「我がまま」と思えて来る。

 撮影を続けるには強靭な意思を持って、仲間たちを引っ張って行かねばならない。悩んでいてはダメ。

 おまけに眠くても朝早く起きて、夜遅くまで働き、真夏なら暑い野外で、冬なら震えながら屋外で撮影する。そんな大変なことをしなくても、学生である彼は何も困らない。
 
 巨匠・黒澤明監督が「君は映画監督に向いているから、がんばりなさい!」と言ってくれた訳ではない。

 出来た作品をスピルバーグ監督が見てくれて、「気に入れば、ハリウッドに呼ぶよ」と約束している訳でもない・・・。

 それでも自主映画を続ける必要があるのか? 何のために8ミリ映画を撮るのか?
 その作品を仕上げたからと、必ずプロの監督に慣れる訳ではないのだ・・。

 友人は自分自身に、そう問い正す。葛藤は、続く・・・。

<つづく>


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