黒澤明の嘆き /2005年8月 [第一章 マキを探せ!篇]
巨匠・黒澤明が晩年、こう嘆いていた。
「戦国の侍を演じられる顔をした俳優が、いなくなった・・」
それも同じ理由だと思う。
不良や戦国の侍というのはある意味で同じ。エネルギーが有り余っていて、社会の作った枠やルールに収まり切らない人たちと言える。
そんな昔ながらの不良の背景にあったのが戦後の貧しさであり、昔ながらの古い体質だと思う。それらに反抗し、もがいていたのが不良と呼ばれた連中だ。
が、その後、日本という国がどんどん豊かになり、表面上はどんどん平等になり、全てを均一的に育てようとする教育が定着した。
若い世代に昔のようにギラギラとした、したたかで、人を殺してでも生きて行こうという、バイタリティのあるタイプがいなくなってきた・・・。
その時代背景が侍の顔を持った俳優が育たず、昔ながらの不良がいなくなった理由と思える・・・。
<つづく>
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