僕のシナリオ執筆法(Ⅵ) 2005/8 [第三章 春美を探せ!編]
黒澤明監督の「赤ひげ」「椿三十郎」の原作者、山本周五郎は、原稿が書き上がると箱に入れて、半年ほど読み直さなかったという。
そして、半年後に箱を開けて原稿を取り出して、読み。書き直した。
この意味を説明。書くときには、物語に入り込んで感情的に書かねばならない。
が、それでは入り込み過ぎて見えなくなる部分もあるので、一度物語から離れて冷静になり、今度は客観的に見つめて書き直すという作業。
これは非常に大切なこと。入り込んで書かないと人ごとになる。観客を感動させるセリフや物語を書けない。
同時に、客観的な視点もないと、独りよがりになることがあるのだ。
ただ、映画のシナリオの場合。夢中になって書き上がった段階で、提出ということがほとんど。半年も箱に入れておく猶予がある仕事などまずない。
でも、物語に入り込んで書くこと。そして客観的に直す事。とても大切。もうひとつ。やっと説明できる。時間を置くことでできる「発酵」がある・・。
<つづく>