シナリオについて(5)本質を見る? 2005/08 [第八章 ロケハン出発篇]
と言っても、役を本人に近づけるというのは簡単ではない。表面的ではなく本質に近づけないと、意味がないからだ。
人は誰しも、日常生活で演じている。
女の子だと、家族といれば長女である自覚を持ち、彼氏と会うと彼女として甘える。学校へ行けば女子高生として振る舞う。部活でキャプテンなら、そんな態度を取る。
本当は気が弱くて決断力なくても、キャプテンだし、後輩もいるから、自信があるような言動を取る。
或いは本当は強気で行動的なんだけど、彼氏の前では弱い女を演じる。皆、そんなふうにして生きている。
それに気づかずに「演じている部分」をクローズアップして、役に取り入れても本物の迫力は出ない。
本質を見極めるのは難しい。何年も付き合った彼女が、「実はこんな女だったのか!」と驚愕することもある。
同じように俳優も隠れた一面がある。それを引き出して、役に反映させると、もの凄く魅力ある演技になって現れるのだ・・。
(つづく)