ロケ地マップ片手に尾道の旅(下)深町君の家はどこ? 2005/9/3 [第十一章 ロケ地・田辺市篇]
「時をかける少女」の深町君の家が見つからない。庭にラベンダーのビニールハウス(これは撮影用に作られたが)のあるあの建物。
かなり時間をかけて見つけたが、本当にそれだかどうか確信が持てない。地図にも場所が明確に書かれていない。そのことを以前、大林監督にお聞きしたところ。笑顔でこう言われた。
「あれはね・・迷うように作った地図なんだよ・・」
というのは、観光ガイドや地図を見ながら旅をすると、確実にその場所につける。
そしてガイドブックに載っている写真と、ほぼ同じの建物を見付け、また次へ向う。
それが観光だろうか? そこに物語がない・・と監督は考えたそうだ。だから、尾道映画マップは分かりにくく作った。地図を見ながら行くと迷うようになっている。
「この道でいいのかなあ?」「こっちじゃないのかな?」そう思いながらロケ地を探す。地図は手がかりにしかならない。
(写真下は「転校生」で主人公の2人が入れ替わる石段のあるお寺)
そうやって苦労して目的地に辿り着けば、感動もひとしお。そこに物語が生まれる。目的地に着かないで、別の風景を見つけた。それもまたドラマであると話してくれた。
なるほど、その通りだ。観光ガイドに載った建物の写真を、確認するのが旅ではない。映画を介することで、旅がドラマテックになる。物語が作れる旅。
わが古里を思い出す。田辺でも映画を撮れれば、同じことができるのではないか?
「ストロベリーフィールズ」を撮れば、「物語のある旅」ができるようになるのでは?
<つづく>