学級委員役・美香・ネーミングの理由 2005/9/4 [第十二章 美香を探せ!篇]
映画「ストロベリーフィールズ」の主人公の一人・美香。その名前は、ある子からもらった。
以前、演劇学校で教えていた。生徒たちは皆「プロの俳優」を目指しているのに、学生気分のまま。台詞も覚えない。質問しない。積極性はゼロ。
宿題でホラービデオを見て来るように言っても、「怖いから見ませんでした・・」なんて平気でいう。
皆、よく遅刻する。休み時間の方が元気。完全に学生気分。授業は映画や舞台で仕事をする現役の講師から、何を学び取るかの戦い。
なのに、気分は高校時代の延長戦。卒業したからといって俳優になれる訳ではないのに、疑問を持たない。
そんな中、彼女だけは違った。クラスで一番ホラーが苦手なのに、宿題ビデオをちゃんと見て来る。絶対に遅刻しない。台詞もしっかり覚えて来る。優等生なだけではない。
彼女のモットーはこれだ。
「いいことがあれば、人の御陰。悪い事があれば自分のせい」
そんな子が今時いるか?と言われそうだが、本当に実践していた。
ただ、健気なばかりに、いつも損をしていた。その子の責任ではないことを責められる。努力を認めてもらえない。
気遣いをしても、優しさを見せても、気付かれないことが多い。本当に人の痛みを自分のものとして、何時間も友人の悩みを聞く。なのに、自分の悲しみを打ち明けられずにいる。
努力家で、みんなのことを考えるのに、いつも辛い思いをしている。応援せずにはいられない子だった。
学級委員の美香役は、その子から「優しさ」「責任感」と共に「名前」をもらった・・・。
そんな美香を本日、選ぶ・・・。
<つづく>
*映画「ストロベリーフィールズ」クランクインまで、あと13日!