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オタクP、誕生の背景(下)勘違い男 2005/9/5 [第十四章 撮影直前・準備篇]

 映画ファンが一番陥り易い構図がある。酷い作品に出会ったとき、ついこう思うことはないだろうか?

 「オレがシナリオを書いた方が、まだマシだ!」 

 誰しも思ったことがあるはず。だが、実際にシナリオを書いたことがあれば、どんな下らない物語でもなかなか書けないことが分かる。
 1本の作品を書き上げることが、どれほど大変か? 映画を見ているだけ、というのはどれだけ楽なことか痛感する。

 プロ野球を見ていて、三振する選手に「そんな球も打てねえのか!」と怒鳴っているヨッパライおじさんを見かけることがあるが、その人がバッターボックスに立っても絶対に打てない。

 テレビで野球を見ているのと、実際にバッターボックスに立つのは大違いなのだ。それに気付けない人がいる。同じ構図にいるのが、先のオタクPである。

 そんな勘違い男がPになり、スポンサーの代理人として現場に送られて来る。現場の仕事を見ている内に「このライターは才能ないなあ」「この監督は勉強が足りない」と感じるようになる。
 が、その根拠は酔っぱらい親父が、プロ野球を見ているとのと大差なし。評論家気分の映画ファンと同じ。自分がクリエイトせず、できたものに文句をいうだけ。

 やがて「俺がやった方がまだマシ・・・教えてやるか?」と勘違いを始める。「前のバージョンの方がいいに決まってるでしょう? そんなことも分からないの?」などと言い出す。が、それは批評とかアドバイスではない。自分の趣味を主張しているだけ。

 批評意見するというのは、状況を客観的に把握し、本質を掴み、ターゲットを考えて、どうすれば効率的か? クオリティが上がるか?を指摘すること。
 それには映画というものを、徹底して勉強せねばならない。

 そもそも、Pの仕事は監督やスタッフが仕事しやすいようにするのこと。高いところから口出しをし、命令することではない。
 素人同然の無知な者がベテランに意見し、方向を決める。そんな他の業界では考えられないことが、今、映画界では起きている・・・。

 映画産業にいろんな企業が参入することは、活性化に繋がる。が、素人Pを参加させてしまう構造が現場を混乱させ、作品レベルを下げている。
 この状況。多いに問題ありだ・・。

<つづく>

*映画「ストロベリーフィールズ」クランクインまで、あと12日!


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