演出について(1)黒澤明監督の場合 2005/9/9 [第二三章 最終準備篇Ⅲ]
衣裳合わせの話から少しそれる。が、すぐに戻るので、読んでほしい。
ある女優の卵、こんなこと言っていた。
「以前に、日本アカデミー賞の授賞式をテレビで見たときに思ったんですけど、同じ俳優でも監督が違うと、全然演技もイメージも変わるんですね?」
放送では同じ俳優の別の作品が続けて紹介されたので、違いがよく分かったらしい。
もちろん、俳優本人が違いを出していることも多いが、監督によってその俳優が良くなったり、駄目だったりすることは多い。
プロ野球と同じで万年最下位のチームが、新監督の元では優勝したりもする。
つまり、監督という人たちは選手や俳優本人が「気づかぬ能力」や「魅力」を引き出すのが仕事なのである。が、その方法論は多種多様だ。
例えば、黒澤明監督は徹底したリハーサルを行う。撮影の何カ月も前から刀や鎧を付け、本番さながらに稽古。
刀や鎧の重さ、時代劇の衣装の着心地。さまざまなところから、体で当時の侍の感覚をつかませ、役に入って行けるようにするのだ。
そんなふうに巨匠たちは、さまざまな方法論を持っている。他の監督のやり方も紹介してみよう・・・・。
(つづく)
*映画「ストロベリーフィールズ」クランクインまで、あと1週間!
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