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映画「理由」について(5) 戦後から現代へ  2005/9/11 [第二五章 衣装合わせⅡ]

 物語には占有屋といういかがわしい商売をする連中も出て来るが、本当に悪辣な人はほとんどいない。

 なのになぜ、人々は傷つき、殺し合わなばならなくなるのか? そんな悲しい構図が見えて来る。

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 事件の発端も、勝野洋扮する父親が子供と家族のために、マイホームを持とうとする。

 でも、自分の稼ぎでは無理。そこで、格安のマンションなら・・と、事件の起きる部屋を契約するのである。

 その父親には何の悪意もない。家族に対する愛情があるだけ。家族に豊かで便利な生活をさせたいという思いがあるだけ。

 しかし、その思いが、結果として、警察から犯人だと思われ、失踪せねばならなくなる。心ない人たちが、家族を批判し、皆が悲しむことになる。

 父親たちは、戦後苦労して生きてきた。貧しい暮らしを続けてきた。だから、子供たちには苦労させたくない。

 でも、それは正しいのだろうか? 親の気持ちとしては分かるが、そこで何かを失っていないだろうか?

 その背景にあるのが現代の日本。過酷な現状と、大幅に変わって行く価値観。その中で何が大切なのか? 何が必要なのか?

 「理由」という物語は、そう語りかけて来た・・・。

(つづく)


*映画「ストロベリーフィールズ」クランクインまで、あと1週間! 


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