演出部のプライド 2005/9 [第二四章 撮影スケジュール]
解決する方法は、ひとつ・・・。
4人が揃って出演するシーン、減らすこと。
でも、この数ヶ月で、2度もシナリオを短くしている。
1度目は・・・。
「今の製作費で、このシナリオ内容を撮りきれない!」といわれたとき。
「このシナリオで行こう! 予算は***円」と決めてスタート。
なのに、あとになって「この予算では無理!」といい出した人がいた。
そのために大幅にシナリオをカット。短くした。
2度目・・・、
直前にあるスポンサーから、製作費が出なくなったとき。
「製作費が足りない。だから、シナリオを短くしろ!」
尻拭いをシナリオに持って来た。
すでに短くした物語をさらに短くしろという。減量したボクサーに試合直前、もっと痩せろというようなもの!
通常なら物語が破綻。感動するどころか、辻褄の合わない作品になってしまう。
いずれも責任は、別のところにある。それを安易にシナリオを短くすることで、解決しようとしたのだ・・・。
でも、耐えて、断腸の思いで短縮した。
当然、クオリティが下がる。本来のレベルに戻すために、別の形でさまざまな努力。ようやく今に至る。
なのに、今またチーフが、こう言うかと思えた。
「4人のシーンを減らしてくれると、助かるんだけど・・」
一番簡単な解決法。映画人はその方法を取ることが多い。
でも、チーフは口にしなかった。
「もう少し考えてみる・・・」
そういう。その言葉から感じることあった。
「撮影スケジュールを組むのは、俺の仕事。
それがうまく行かないからと、シナリオを直せ! というのは違う。
俺のプライドも許さない。何とか考える!」
演出部チーフの熱い思い、伝わって来た・・。
(つづく)