誇り高き男 2005/9 [第二四章 撮影スケジュール]
数日が経った。スケジュール問題はそのまま。チーフはまだ悩んでいる。
3週間の撮影スケジュール、延ばすことはできない。俳優側の予定も変えられない。
チーフがこう言って来るかも・・。
「悪いんだけど、やっぱりシナリオ。4人一緒のシーンを少し切ってもらえないか?」
でも、そんな連絡はない・・。黙々と考え続ける。あらゆる可能性を検討していた。凄い人だ・・。
映画関係者の中には問題が起こると、努力し解決しようとせず、自分に責任があるのに、安易にシナリオを直させることで済まそうとする輩が多い。
それは結局、作品レベルを落すことになる・・。責任を果たさない上に、作品を歪める。とんでもない話だ。
友人の監督、似たよう経験をした。
プロデュサーが予定した製作費を集められなかった。その尻拭いのため、シナリオを短くしろと命令された。その上に、監督料をゼロにされる。
でも、金を集められなかったP、しっかり興行収益を確保。監督が持つ権利まで持って行こうとした。そんなヤツ、多い。
シナリオに関して今回は、極限まで短くしている。これ以上短縮するのは不可能。あとは、クオリティを落とすどころでは済まない。
物語自体が破綻し、つじつまが合わなくなる。
チーフはそれを理解している。プライドもある。だから、口にしない。強い責任感を持つ、本物のプロだ。
が、何か方法はないか? 僕も考えた。
自宅で仕事をしていた日。朝から風呂で考えた。夏美、マキ、理沙、美香。4人。ロケ地。スケジュール。河原。学校・・・・。
何かを感じる・・・もしかしたら・・。
(つづく)