もう一度、改めてプロローグ!(5)僕は諦めない! [第三部 序章]
信頼している先輩監督。こう言った・・。
「太田。お前、もっと現実的な考え方をした方がいいぞ・・。世の中には監督になりたい奴がたくさんいること。知ってるだろう? でも、映画界に入り、監督になれるのは、極々一部の人だよな。
監督になっても、映画を撮れる奴。さらに少なくなって、ほんの一握り・・・。
その監督たちも『つまらないシナリオだ・・』そう思っても、我慢して仕事をする。自分が本当に撮りたい映画を、監督できるチャンスなんてなかなかない。
何本も映画を作り、実績を作って、ヒットを飛ばす。実力が認められるようになって、ようやく自分が撮りたい映画が撮れるようになる。大物監督だってなかなか難しい。
一生、好きな作品を監督できない人だっている。本当に大変なことだ。
野球少年が大会に出て、甲子園に出て、上位に勝ち残り、プロになって、さらにメジャーリーグに行くより、大変かもしれない。
そんなことを、お前はいきなりやろうとしている。劇場映画デビュー作で、しようとしている。
いかに無謀なことか? 分かるだろう。
俺の経験から言っても、先のD社が企画を投げ出し撤退したことで、『ストロベリーフィールズ』は終わったと思うな・・・・。
この業界。ケチのついた作品は皆、嫌がるからな。ま、この作品のことは早く忘れて、次の企画でも考えた方がいいよ・・・・」
先輩はそういう。
が、僕は諦めない! こんなことで終わりにはできない!
必ず、「ストロベリーフィールズ」を形にしてみせる!
それが、スタートして4年目の師走だった・・・。
(つづく)
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