天才少女と「心の扉」(10)2005/9/21 [撮影5日目(五)マキの成長]
美香(東亜優)に聞いた。監督である僕の言葉より、仲間である美香の気持ちを伝えることが、マキには一番分かりやすいはず。
「美香! どう。さっきのマキと比べて、今のマキはどう感じた?」
「・・・・そうですね。何か、さっきより、私のことを真剣に考えてくれているような・・・暖かいもの・・・感じました!」
さすが、東亜優! 分かってるね。その通りなんだ。14歳の東も、それを感じてくれた。
谷村は「・・・・・・・へーーー」という顔。「そうか・・・」と、まだ実感はないようだが、懸命に考えている。
ただ、別の問題があった。せっかく、谷村美月という素晴らしい少女が、マキという役を成長させたというのに、こんなこと、なかなかないことなのに!
映画作りには、厳しい現実的な問題がある・・。
撮影の時間は限られている。先のシーンはすでに撮影した。もう一度、撮る為には、機材を全てもとの場所に戻して、さっきと同じことを1からせねばならない。
切り返し、30分もかかった。同じことをしてさらに撮影。でも、まだまだ、撮るべきシーンは残っている。
先のシーンを撮ることで、撮影できないシーンが出てきてはマズい・・・。
(つづく)