天才少女と「心の扉」(11)2005/9/21 [撮影5日目(五)マキの成長]
スケジュールを考えると、不安。さらに、1度撮ったシーンを再度撮るということに反発するスタッフもいるだろう。
「どっちの演技も、同じじゃねえか?」
と思っている人もいるかもしれない。それで、スタッフがダレる可能性もある。映画スタッフというのは、監督が言えば何でもやるという人たちではない。
納得しないと、動かない頑固な職人たちでもある。他の作品のとき、何かを頼んでも拒否する技術部もいた。とかく新人監督に対し、ベテランスタッフは厳しい。
でも、大切なのは映画のクオリティだ。もう一度やろう!
「聞いて下さい。谷村さん。とても素敵な演技を見せてくれました。これが先のシーンで僕が求めたものです。
先の芝居。もう一度、撮らせてもらえますか!」
僕がそう言った瞬間。演出部チーフが間髪を入れずに言う。
「よし! 切り返し!」
そしてスタッフ。誰1人。「またかよ・・」「さっき、やっただろう!」とか不満を言う事もなく、一斉に機材を動かし出したのだ!
(つづく)