撮影を始めよう!カメラは手持ち。
死神役の奈佐健臣 さんは黒い衣裳を身にまとい、芳賀の演じる理沙の腕を掴む。
芳賀は慎重な顔。
「これが理沙の最後のシーン・・」
そんな思いがこみ上げる。
「何か泣いちゃいそう・・・でも、理沙は泣いちゃいけないですよね?」
そう言うと覚悟を決めたようだ。 僕は大声で叫ぶ。
「よーい。スタート!」
一斉に俳優とスタッフが動き出す。
死神に連れられて行く理沙。それを捉えるカメラ。
照明部はレフを持って着いて行く。僕は芳賀の表情を見つめながら、あとを追う。
理沙の目線の先にはちゃんと、夏美とマキ、佐津川愛美と谷村美月が立っている。
(つづく)