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キャスティングの難しさ(下) 遺作になってもいい! 2005/9 [第十八章 最終キャスティング篇]

 ドラマ作りをしていると、いつも「甘い誘い」や「理不尽な圧力」がある。が、太田組では全て撥ね付けて、拒否!

 誰かの愛人をキャスティングする。なんてもっての他! 俳優事務所が裏から圧力をかけてくるなら、あえてそこからは誰一人採用しない!

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 以前にも同じことがあって完全拒否。そのせいで息のかかった関係者からは、あとあとまで嫌がらせをされた。が、大切なのは素晴らしい映画を作ることだ!

 ただ、厳しいこともある。お世話になっている人、恩義のある方、よく知る事務所の俳優が候補になったとき。それでも役に合わない俳優さんは、キャスティングしない。

 応援している俳優さん。役者の卵。僕の意思ひとつで採用。チャンスを上げることもできる。でも、大切なのは僕の思いより、映画をよくすること。涙を飲んで落とすことがある。

 そのことで疎遠になったり、縁を切られたりすることもある・・・。
 
 悲しいが、それが監督業だ。大切なのは観客を感動させる映画を作ること。

 今回の「ストロベリーフィールズ」には、命を賭けている。遺作になってもいいと思っている。今後も仕事をもらえるようにと、関係者に媚びを売ることはしない。

 そんな覚悟で、キャスティングを続ける!

<つづく>


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キャスティングの難しさ(中) 誘惑と圧力 2005/9 [第十八章 最終キャスティング篇]

 キャスティングは、演出と密接に結びついているのに、ときには有名だから、事務所が大手だから、ということだけでキャスティングが決まることもある。が、それではドラマが崩れてしまう。

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 また、「何でこの俳優がこの役なんだよ!」と思うことがあるが、たいがい大物俳優の抱き合わせで出演した人だ。
 「大物の**さんが出演すると、もれなく新人が10人ついてきます」みたいな感じ。

 また、大手事務所では、「今売り出し中の***ちゃんをキャスティングすると、もれなくキックバックがあります!」とかプロデュサーに売り込んだりするところもある。
 それに喜んで手を挙げるPもいる。「**子がいいと思うですよ」と金をもらうことを隠して、監督に提案する奴もいる。

 ドラマの中で、一人だけやたらとヘタな女優がいたりすると、実はPの愛人とかいうこともある。が、すぐにスタッフにバレる。表面的には批判しなくても、現場はやる気をなくす。公私混同もいいとこ。

 だが、監督がよく知る友人俳優を起用するのは、意思疎通がしっかりできてプラスのことが多い。
 Pの愛人は駄目で、監督の友人はいいのか?と思うかもしれないが、要は役に合っているか? 監督の意図を俳優が理解しているか?が重要なのだ。

 愛人でもそれらを満たしていればいいが、たいがいは無理矢理、押し込まれる場合が多い。
 つまり、利害関係やプライベートな思い、裏で何かをしてもらうためのキャスティングでは作品を壊してしまうのだ・・・。

<つづく>

*映画「ストロベリーフィールズ」クランクインまで、あと11日!

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キャスティングの難しさ(上)さまざまな方法論 2005/9 [第十八章 最終キャスティング篇]

 キャスティングというのは本当に難しい。
 有名な監督が「100の演出より、1つの配役」と言っているが、まさにその通り。

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 台詞で生い立ちを話させることで役柄を説明するよりも、見るからにそれが分かる俳優さんをキャスティングする方が伝わるものなのだ。
 その俳優が出てくることで、その人が持つ背景、生い立ち、性格、人柄、が観客に伝わるからである。それと役がダブれば強いリアリティとなる。俳優本人の人間性が出るのだ。

 そしてキャスティングは、単に演技力のある俳優を揃えればいいというものでもない。俳優同士の関係性も重要。

 「あ・うん」と言う映画では、高倉健と板東英二は親友同士という役柄。でも、大俳優の高倉健相手に親友を演じるのは大変。板東英二には遠慮が見え隠れして、先輩後輩のように感じられた。

 俳優同士が本当に親友同士。或は恋人同士ということで、リアリティが出るということもある。長淵剛と志保美悦子が出演した「男はつらいよ」の一編。明石家さんまと大竹しのぶが共演した「男女七人夏物語」の息の合った演技が好例。

 また、水谷豊という俳優さんは、相手役が大物だと、「食ってやる!」という位のパワーを出して演じることが多い。
 「傷だらけの天使」の萩原健一、「男たちの旅路」の鶴田浩二。それら大物2人を相手に一歩も引かない名演技を見せ、ドラマを盛り上げた。

 同じ方法論で、「この3人組の1人に、凄く負けず嫌いな子を入れる。と、あとの2人もがんばるな・・」とか。
 「この2人は過去の作品でも、火花を散らしたライバル同士。対立する役なら互いに競い合って、名演技を見せるはず」とか。

 そんな計算をすることもある・・・。


 <つづく>

*映画「ストロベリーフィールズ」クランクインまで、あと11日!




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