SSブログ
第十九章 最終準備篇Ⅰ ブログトップ
前の10件 | 次の10件

「本読み」とは何か?(10)本読みの時間がない! 2005/9/8 [第十九章 最終準備篇Ⅰ]

 監督デビューしてからも、「本読み」は出来る限り続けた。

 が、本当に時間のないドラマ撮影があった。

 主演女優と会うのがロケ地である北海道! それまでに話す時間はなし。衣装合わもない。会った日から撮影が始まるという感じ。

 幸い、他2人の女優とは以前にも仕事していたので、ある程度読めるものがあった。が、前回とは違い、今回はより真剣なドラマ。バラエティの乗りではできない。

(下、写真はイメージではなく、当時のもの。そのドラマの撮影風景)
撮影風景/風娘.jpg

 なのに「本読み」をする時間もない。到着した日に撮影スタート。早朝から深夜まで。休みなし。スタッフは毎日、3時間睡眠・・。

 考えた。何とか時間を作れないか? 

 新人俳優も多く、彼らは物語も把握していないし、役も掴んでいない・・。

 「本読み」をすることで、それを伝えたい・・・。

 なのに、時間がない。どうすればいいのか? 考えているとチャンスが訪れる・・。


 (つづく)


*映画「ストロベリーフィールズ」クランクインまで、あと9日!


nice!(0) 
共通テーマ:映画

「本読み」とは何か?(9)太田組ではやる! 2005/9/8 [第十九章 最終準備篇Ⅰ]

 自主映画時代。出演してくれる友人たちを呼んで、声を出してシナリオを読ませる。

 9926927.jpg

 また、違う感覚があった。

「この子ならOKだが、あの子が読むと違う」

 そんなことが分かって来た。 出演者たちもこう言う。

 「ああ、こういう物語だったんですね? もちろん、理屈では分かっていたけど、声に出して、みんなと読むと、実感として凄く良く分かりました!」

 黒澤明が大切にした「本読み」とか「立ち稽古」の意味は、こういうことなんだな・・と思えた。

 それ以来。太田組では、必ず「本読み」をするようになった。

 さらに一歩進んで、イメージ音楽を決めて、必要なシーンでは流しながら台詞を読んだ。

 或いは役を交代して読むことで、それぞれの役の気持ちが分かるようになる・・・。

 それはプロになってからも続けた・・・。


(つづく)


*映画「ストロベリーフィールズ」クランクインまで、あと9日!


    
nice!(0) 
共通テーマ:映画

「本読み」とは何か?(8)自主映画時代に気づいたこと 2005/9/8 [第十九章 最終準備篇Ⅰ]

 それと、もうひとつ。自主映画時代に気付いたことがある。

 当時、学生だった僕は、朝から晩まで歌を聞いていた。

 ローリング・ストーンズとか、ブルース・スプリングスティーンとか、ばかりだった。が、20才前後から日本の歌も聞くようになる。

 自主映画時代。友人の車でロケハン。海のそばの高速。松田聖子、近藤真彦、中森明菜、山下達郎等、日本の歌のテープをかける。盛り上がり、皆で歌った。ロケハンか? 歌声大会か? 分からない感じ。

10877368.jpg

 当時はカラオケもなく、歌を歌うということがほとんどない。が、いつも聞いている歌詞で、よく知っているのに、実際に自分で歌うと印象が違うものがあった。

 それで気付く。台詞も同じではないか?

 当時からシナリオは自分で書いていたので、声に出して読むとどうなるか? と考えてみた。友人のスタッフ3人で、やってみる!

 すると、活字を目で読んでいるときは、問題なくても、声に出して読んでみると、おかしなものがあった・・・。

 逆に、文章では問題あるのに、声に出して読むといいものもあった・・・。

 (つづく)


*映画「ストロベリーフィールズ」クランクインまで、あと9日!



nice!(0) 
共通テーマ:映画

「本読み」とは何か?(7)ボクシングに例えると・・2005/9/8 [第十九章 最終準備篇Ⅰ]

 本読みもせず、立ち稽古もない。監督が俳優とほとんど話もせずに、演技も見ずに、撮影に挑むということはどういうことか? 

 それはボクシングのコーチが、選手のことを何も知らずに、スパーリングさえ見たこともなく、試合のセコンドに着くというのと同じ。

10371267.jpg

 こう言えば「そんな無茶な!」と分かってもらえと思うが、多くの監督は「そんな無茶な!」をやっている。

 しかし、本読みも、立ち稽古もせず、余計な(本当は必要不可欠だが)時間を使わず、無難に、問題を起こさず、粘らず、撮影を進めるのが、「いい監督!」と評価するプロデュサーは多い。

 その結果。テレビ・ドラマのような作品が映画館で上映されるのだ。

 本読みや立ち稽古を通して、俳優のことをよく知り、得意な表現と苦手なものを見付け、その人の良さを引き出してこそ、素晴らしい演技に繋がるのである!

 (つづく)


*映画「ストロベリーフィールズ」クランクインまで、あと9日!


nice!(0) 
共通テーマ:映画

「本読み」とは何か?(6)ある監督の発言・・。2005/9/8 [第十九章 最終準備篇Ⅰ]

 知人の映画監督の話だが、彼はこんなこと言う。

 「本読みなんていうのは、映画界の古い習慣のひとつ。会議室でシナリオを読ませても、実際の撮影で台詞を言うと全然違うんだから。何の意味もない。

  そんなものを参考に、演出プランを立てたら大変だ。本読みなんて、形だけ。儀式みたいなもんだ。そんな古い風習を継続する必要はないよ!」

 大バカ野郎である。

10459514.jpg

 本読みは、演出プランを立てるための参考にだけやるものではない。

 俳優にとっても、相手役と台詞を交わすことで、リズムやスピードを掴む。ある種、スパーリングのようなもの。俳優のプラスになる。

 また、監督は単に役者の演技レベルを確認するのではなく、自分の作品イメージを俳優に伝えるためのものである。

 それらを踏まえずに、撮影に臨めば、俳優とのコミニュケーションも不十分。

 「ああ、こんなはずじゃなかった・・」となり、ろくな作品はできない。

(つづく)


*映画「ストロベリーフィールズ」クランクインまで、あと9日!



     ぜひ=>たんどぅのペラペラ日記 http://ameblo.jp/4609/page-2.html
nice!(0) 
共通テーマ:映画

「本読み」とは何か?(5)映画の場合?2005/9/8 [第十九章 最終準備篇Ⅰ]

 本来は映画こそ多額の製作費と時間をかけて、心に残る作品を作るものだった。

 テレビは時間がないので、低予算で、そこそこのもの。1時間楽しめれば、翌日には忘れても構わない。

10334432.jpg

 ところが最近はテレビの方がより高額な予算をかけて、作品作りをしていることが多い。

 大手映画会社が作る一部の作品を除けば、ゴールデンタイムに放送されるドラマの製作費より、劇場用映画の方が少ないことが多い。

 そんな状況は映画をテレビ化していく。製作費がないから、時間を節約する。4週間かかって撮っていたのを3週間で上げる。

 人件費も削る。必要なことも出来る限りやらない。

 こうして、多くの映画が高い入場料を払って見るテレビ・ドラマになって行った。

 その流れの中で「本読み」「立ち稽古」というのも、疎かにされる。撮影初日に、監督と主演女優が初対面するということが増えて行く。

 また、若い監督たちの無知も背景にはある。知人の映画監督の話だが、彼はこんなこと言う・・・・。

(つづく)


*映画「ストロベリーフィールズ」クランクインまで、あと9日!



     ぜひ=>たんどぅのペラペラ日記 http://ameblo.jp/4609/page-3.html

nice!(0) 
共通テーマ:映画

「本読み」とは何か?(4)映画界も手抜き? 2005/9/8 [第十九章 最終準備篇Ⅰ]

 現在、本読みを行っているテレビ局は2社(内1社がN局)。

10642717.jpg

 他の数社は衣装合わせのあと、いきなり撮影!

 だから、若い俳優さんでテレビしか出ていない人は、「本読み」というのを経験していない・・・。

 それでもテレビは無料で見られる媒体。勘違いな演技をしていても、「嫌なら見るな!」という世界。

 料理でいうとインスタント食品やファーストフード。それなりの面白さ。でも、ほとんどの人が満足している現状もある・・。

 では、わざわざ劇場まで行き、お金を払って見る映画はどうか?

 こちらはインスタントでは困る。本格派でないと・・。

 と言いたいが、テレビの影響をもろに受けて、同じような状況になっている!

(つづく)


*映画「ストロベリーフィールズ」クランクインまで、あと9日!



     ぜひ=>たんどぅのペラペラ日記 http://ameblo.jp/4609/


nice!(0) 
共通テーマ:映画

「本読み」とは何か?(3)テレビドラマの状況 2005/9/8 [第十九章 最終準備篇Ⅰ]

 テレビドラマというのは毎週1本放送する。昼ドラだと毎日1本。

 どちらも時間との戦い。

11229037.jpg
 
 そのせいで、できることは何でも省略しようとする。

 しわ寄せは本読みや立ち稽古に来た。 衣装合わせはさすがに本人を呼んでやるが、監督が俳優に会えるのはそのときが初めてということが多い。

 そのあとの「本読み」も「立ち稽古」もなし。次に監督が俳優に会うのは現場となる。

 つまり、監督と俳優はお互いをほとんど知らず、コミニュケーションを取れないまま、撮影開始ということになるのだ。

 そうなると、監督の思いが俳優に伝わらない。俳優の個性を知り、それを引き出すこともできない。

 俳優も監督の意図が理解できなくても、演じなければならない。作品の方向性が分からなくても、話を聞く余裕がない。

 その結果、手際のいい平均的な作品を撮るディレクターが好まれ、それなりに演技ができ、時間のかからない俳優が起用されるようになる。

 こうして、テレビドラマは個性をなくし、俳優もそれなりの演技しかできない作品が増えて行く・・・・。

<つづく>


*映画「ストロベリーフィールズ」クランクインまで、あと9日!



         たんどぅのペラペラ日記 http://ameblo.jp/4609/page-2.html
nice!(0) 
共通テーマ:映画

「本読み」とは何か?(2)物語の理解 2005/9/8 [第十九章 最終準備篇Ⅰ]

 シナリオを読めば、すぐに分かる物語がある。

9956250.jpg

 ちょっとやそっとでは、理解できないものもある。

 或いは監督が思う「その役」と、俳優が考える「役」に隔たりがある場合がある。そんなことを修正して行くのも、本読み、立ち稽古の役割。
 
 さらに、台詞で読んでいるときは、とても良い感じだが、実際に立って動いてみると、その台詞ではリアリティがなかったり。

 或いは動きながら言うのには、無理がある台詞だってある。そんな問題点を見つけるためにも、立ち稽古は大切。
 
 黒澤明監督は、それら稽古を非常に重用視。半年あまりも立ち稽古をしていた。

 それが最近の映画界。とんでもない事になっている・・・・。

<つづく>

 



*映画「ストロベリーフィールズ」クランクインまで、あと9日!
nice!(0) 
共通テーマ:映画

「本読み」とは何か?(1)キャスティングのあと 2005/9/8 [第十九章 最終準備篇Ⅰ]

 俳優が決まったあと、映画製作は次の段取りになる。

9979614.jpg

1、本読み(会議室等で、俳優が集まって声に出してシナリオの台詞を読んでみる)
 
2、立ち稽古(少し広いスペースで、立って動きながら台詞を読んでみる)
 
3、リハーサル(衣裳を着け、本番に限りなく近い形での練習)
 
 以上の他に、衣裳合わせ、メイクテスト等もあるが、演技に関しては上の3つ。

 (3)のリハーサルは黒澤明監督作品では徹底して行われ、有名な話がいくつもある。
 
  これらは非常に重要なプロセス。映画というのは監督の意図を基に、全てのスタッフ&キャストが一緒に作るもの。

  意思が統一されてなければならない。また、俳優にはそれぞれに役割があり、テーマの一部分を担っている・・・。
 
<つづく>

 

*映画「ストロベリーフィールズ」クランクインまで、あと9日!


nice!(0) 
共通テーマ:映画
前の10件 | 次の10件 第十九章 最終準備篇Ⅰ ブログトップ