映画「ストロベリーフィールズ」脚本・シーン4〜6 2005/9/5 [*シナリオ公開 ❶]
(4)柔道部・内 /午後 <東陽中学・柔道部室>
マキ、男子相手に圧倒的な強さを見せる。
顧問は京子先生。後ろ、用務員・古本が窓を直す。
夏美「(8ミリカメラを回す。廊下から見ている美香に気づく)」
美香「(夏美に気づいて微笑む)」
夏美「(笑顔)」
(5)夏美の家下・坂 /午後 <高山寺分室>
夏美、帰ってくる。
それを背後で見つめる人影。
坂を上がり切ったところ、古い日本家屋。
(6)夏美の家・内 /午後 <高山寺分室>
夏美「ただいまー(入って来る)」
母親、居間でアルバムを見て涙ぐんでいる。
辺りには8ミリカメラや三脚。映写機がある。
母・冬美「・・・・・・」
色あせた白黒の写真。子供時代の夏美。8ミリカメラ
を構える父・博史。風景写真など。
夏美「そうやって、いつも仕事に遅れるんだから・・」
母・冬美「(時計見る)こんな時間。夏美こそ何やってたの?」
夏美「・・・会津川でカメラまわしてた・・・」
母・冬美「そんなことしても、成績上がらないでしょう? お姉
ちゃんは勉強できたのにねぇ(縁側に向って)春美。行って
来るからね?」
春美「(後姿で反応なし)」
母・冬美「鉄男さんがイチゴ持ってきてくれたから。宿題が終わ
ってからよ!」
夏美「ほんと! どこ?(イチゴを探すが見つからない)」
ふと見ると、縁側に着物姿の姉・春美がいる。
夏美「(気を使いながら)お姉ちゃん・・・イチゴ・・・・」
春美「(地面にイチゴ。松葉杖で、上から叩いて潰している)」
夏美「やめてよ!(と、庭に降りて、無傷なイチゴを探す。が、
潰れたものや、泥だらけのもの・・・姉を見上げる)・・・」
春美「・・・(微笑んで、立ち上がり奥へ行く)・・・・・・・」
夏美「・・・・・・(泥だらけのイチゴを見詰める)・・」
居間に飾られた父の遺影。見るからに優しい父親と
いう感じ。
春美、松葉杖で廊下を歩いて行く。足が一本しか
見えない。杖で支えて進んで行く。
夏美「(箪笥の上に目を移す)」
遺影横に家族四人で写した記念写真。姉も笑顔。
<つづく>
*映画「ストロベリーフィールズ」クランクインまで、あと12日!
映画「ストロベリーフィールズ」脚本紹介・シーン3後半 2005/9/5 [*シナリオ公開 ❶]
<シナリオ>
美香「起立!」
マキや男子生徒たちも仕方なしに、席に戻る。
美香「礼! 着席!」
京子先生「えーーー今、県から連絡があって、マキがインターハ
イ柔道の部に出場が決定になりました」
マキ「(嬉しい!!)」
夏美「!!!!!(周りをみると、静まり返る教室)」
京子先生「詳しくは学年主任の長塚先生から・・」
長塚先生「えーーこれは、我が校にとって非常に名誉なことであ
り、開校以来の快挙です。で、先日、職員会議で決まったよ
うに各クラスから、最低三名ずつ応援に行ってもらいます。
このクラスは、出場する本人・・えーーと?」
京子先生「・・マキです」
長塚先生「・・そのマキ君がいることだし、多くの生徒に参加し
てもらいたいです」
静まり返る教室。困る京子先生。
ラン「先生。試合は夏休みですよね? 夏期講習があります」
長塚先生「・・・・・・」
理沙「・・・(そうだよ。行ける訳ないだろう?という顔)」
取り巻きたち「(ニタニタ)」
夏美「・・・(マキが可愛そう)・・・・・・」
マキ「(教科書を見る。『誰も応援には行かない!』の文字)」
鮭山先生「困ったもんだな・・・」
長塚先生「(京子先生に)他のクラスへの示しが付きませんね?」
京子先生「・・・誰かいないの? クラスメートでしょう?」
美香「・・・(振り返ってマキを見てから)・・先生!」
京子先生「・・・・美香・・何?」
美香「私、マキの応援に行きます!」
マキ「(えっ? という顔)」
美香「学級委員だから・・・みんなを代表して行きます」
京子先生「助かるわー」
理沙「(また、優等生ぶって・・と嫌な顔)」
スー「(呆れ顔)」
夏美「はい!!!!!(と元気よく立ち上がる)」
理沙「(あんたまで何!という顔で立ちあがる)」
京子先生「夏美と理沙も行ってくれるの?」
夏美「はい。行きます!」
理沙「私は・・」
京子先生「よかった・・じゃあ、三人に拍手!」
クラスメートたち、パラパラと拍手。
夏美「(振り返りマキを見て微笑む)」
マキ「(素直になれない)」
美香「・・・・」
夏美「・・・(二人を見て笑顔)・・・」
<つづく>
*映画「ストロベリーフィールズ」クランクインまで、あと12日!
映画「ストロベリーフィールズ」脚本紹介・シーン3前半 2005/9/5 [*シナリオ公開 ❶]
(3)クラス・内 (東陽中学)
楽しげに雑談する生徒たち。夏美は一人。
机の中から教科書とノートを取り出す。
理沙「(振り向く)」
理沙の取り巻きも、振り返って夏美の教科書にマジ
ックで落書きする。指示しているのは明らかに理沙。
取り巻き・ラン、スー、ミキ、ミイ、ケイ「(微笑む)」
夏美「あっ・・・(何も言えない)」
理沙「(嘲笑)」
夏美「(隣の席の生徒に助けを求める視線)」
でも、その生徒は目を逸らせて教科書を見る。その
とき、怒号、大きな物音。
夏美、振り返ると、マキが男子生徒相手に暴れている。
男子生徒「俺じゃないよ!(と、怯え気味)」
マキ「だったら、誰だよ!(教科書にマジックでイタズラ描き。『大
会には出られない!』)」
男子たち、抵抗できない。
生徒たち集まり、まわりで囃し立てる。
美香「(勉強していたが立ち上がり、止めに行く)」
理沙「(手にはマジックペン。夏美に微笑むと、『フロイトの心理
学入門』を読み始める)・・・」
夏美「(理沙がやったことを理解。でも、何も云えない)」
美香「マキ、やめなさいよ!」
美香がマキを止めていると、扉が開き担任教師の京子。
学年主任・長塚。そして腰巾着の鮭山先生。
教室に入って来る。
<つづく>
*映画「ストロベリーフィールズ」クランクインまで、あと12日!
映画「ストロベリーフィールズ」脚本紹介・シーン1〜2 2005/9/5 [*シナリオ公開 ❶]
<登場人物>
夏美(女子高生)・佐津川愛美(がんばっていきまっしょい!)
マキ(柔道部員)・・・・谷村美月(カナリア)
理沙(いじめっ子)・・・・芳賀優里亜(仮面ライダー555)
美香(学級委員)・・・・東亜優
鉄男(夏美、マキの兄貴分)・・波岡一喜(パッチギ!)
春美(夏美の姉)・・・・・三船美佳(あの三船美佳さんです)
<シナリオ>
(1)街の風景(朝) <田辺の町>
青い空。白い入道雲。古い神社。狭い路地。木造
の家。昔見たような懐かしい街並み。
大人になった夏美のモノローグ「ここが私の生まれた街。この町で
過ごした十七年間は今も忘れられない・・・。この川は小学生
のとき、よく泳ぎにきた・・」
辻の餅、田辺運送、ひまわり。勝徳寺。
古いお寺。庭をはく、修行僧・鉄男。
M「この町にはたくさんお寺がある。ちなみにここは鉄男さんが修
行していたお寺。そして天神崎。ここから見る夕陽は最高だった。
辛いときも悲しいときも、そんな風景が私を励ましてくれた。
それから好きな物はイチゴ。イチゴを食べて夕陽を見れば元
気になれた・・・」
屋敷町から江川。高校生たち登校して行く。
(2)公立T陽高校・午前中 <東陽中学>
木造の校舎。古く懐かしい。渡り廊下を歩く生徒
たち。板で張られた廊下。クラスに向う生徒。
用務員の古本。電灯を取り替えるが、やる気なし。
M「これが私の高校。夏は暑く、冬は寒い、昭和初期に建てられ
た木造の校舎。そして、これが私。高校二年生。でも、友達
は誰もいなかった・・」
生徒たち、皆、友達と一緒に話しながら登校。
夏美だけが一人渡り廊下を歩く。空を見上げて
入道雲を8ミリカメラで撮影する。
<つづく>
*映画「ストロベリーフィールズ」クランクインまで、あと12日!