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第二二章 涙の本読み篇 ブログトップ

東亜優の到着!(下)2005/9/9 [第二二章 涙の本読み篇]

 東亜優は現在14歳の中学生。和歌山県内の中学に通う。

 映画出演どころか、演技は初挑戦。メインキャラの1人を演じる。

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 が、この日の東は「嬉しい!」とか「不安・・・」という気持ちも実感できないようで、「ただただ呆然・・・」という感じ。まだ、自分のこととは思えないようだ。

 しかし、東の役割は本当に重要。おまけに新人。なのに、本読みに間に合わなかった。このことは非常に不安。

 これが他の3人も同じレベルなら、まだ一緒にがんばっていける。が、先の本読みは白熱。

 皆、キャラクター作りもすでに出来ていて、本読みどころか本番さながらなの感動的な芝居となった。

 もの凄く高いレベル。その辺の10代の女優とは明らかに違う。そこに新人の東が入って大丈夫なのか? 

 1人だけレベルが違うことで、全体が崩れることもある。でも、僕が感じている東の秘められた力を信じたい。

 今、本人は実感なく、なんで自分がここにいるのか?よく分からずキョロキョロしている東だが、やがて、秘めた力を発揮してくれるはず。

 ただ、それをどうやって引き出すかである・・・。

(つづく)



*映画「ストロベリーフィールズ」クランクインまで、あと8日!


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東亜優の到着!(上)2005/9/9 [第二二章 涙の本読み篇]

 美香役の東亜優が到着したのは、本読みが終わってからだった・・・。

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 前の仕事がかなり押したらしい。凄く疲れた顔でやって来た。

 シナリオも今日もらったばかり、読んでいないという。

 が、まず、お祝い。

 「おめでとう! 映画『ストロベリーフィールズ』の美香役は東さん。あなたになりました!」(自分で選んでおいて、ヘンないい方だけど・・)

 でも、まだ、実感はないようなので、キョトンとしている。さらにこう言った。

 「大阪でオーディションしたとき、駄目だと思ったでしょう?」

 そういうと、ようやく実感を持ったようだ。

 「私だけ台詞を2度読まされるし、学級委員の経験はないし。絶対にダメだと思ってましたよ~!」

 そう笑顔で答えた。そのあと衣裳合わせをし、宿題ビデオと梅干を渡し、とにかくシナリオを読むようにと伝えた。

 が・・・。


(つづく)



*映画「ストロベリーフィールズ」クランクインまで、あと8日!


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涙の本読み(20ー終)恐るべき子供たち    2005/9/9 [第二二章 涙の本読み篇]

 谷村美月たちは、片方では観客として物語に感動。片方では俳優として、最後まで演じ続けようとした・・。

 本当に凄い子たちだと、感じる。

 波岡一喜君は、少女たちの暴走(?)に少々驚いたようだ。普通の本読みはここまでしない。

 「でも、そんな暴走少女たちをサポートし、引っ張って行くのがオレの使命やろなあ・・」

 と理解してくれたようだ。さすが!「パッチギ」

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 僕にすれば、実は佐津川たちは演技者でありながら、最初の観客でもある。

 その役に成り切るとき、そこで悲しみや感動を感じなければならない。それができなければ、この物語は失敗だ。

 多くの大人たちは「今時の10代はこんなじゃない!」と言っていた。が、肝心なのはオヤジたちの意見ではなく、今の10代が泣けるということ。

 それが今回、見事に証明された。

 「ストロベリーフィールズ」と言う物語を読み、感受性豊な少女たちが号泣。

 「これは映画として絶対に行ける!」という喜びと、

 「この素晴らしい少女たちと、撮影をし、一緒に映画を作って行ける」ことの嬉しさでいっぱいだった。

 佐津川愛美、谷村美月、芳賀優里亜、そして本読みには、間に合わなかった東亜優。そして少女たちの優しき兄貴分・波岡一喜! このメンバーで田辺ロケに行く!

 (つづく)



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涙の本読み(19)涙・・・2005/9/9 [第二二章 涙の本読み篇]


 「さあ、みんな。どうだったかな?」

 僕がそう聞くと、谷村美月が涙を拭きながら、一番に答えた。

 「・・・自分で・・やりながら・・・泣いてしまったぁ~」

 とまた涙を流す。その泣き顔は、とってもとっても素敵だった。

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 次に聞いたのが芳賀優里亜。もう、言葉も出ないと言う感じ。だが、何とか答える。

 「・・・・・友達って・・・いいですね・・・・」
 
 そして、佐津川愛美。赤い目で答える。

 「・・・・・感動しました・・・」

 芳賀も、佐津川も、素敵な子だと思えた。そして、この子たちはちゃんとテーマを理解し、それを受け止めていた。

 それぞれの見せ場、理沙の夕陽。高台のマキ。それを見送る夏美。

 みんな自分の立場を理解し、それぞれと戦いながら、ドラマを盛り上げた・・・。

(つづく)

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涙の本読み(18)青春の輝き 2005/9/9 [第二二章 涙の本読み篇]

 ここで音楽スタート。ラジカセをオン!「青春の輝き」が流れ出す・・・。

 最後のト書きも、僕が読んだ。

 「マキが向こうでシャボン玉をしていたが、手を振り駆けて来る。そして抱き合って喜ぶ。振り向くと今度は美香が駈けて来る。

 手を取り合って喜ぶ。後ろには冷めた笑顔の理沙。イチゴを摘むと歩き出す。

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 美香、8ミリカメラをまわす。理沙、カメラを借りて夏美を撮影。難しいな?という顔。

 風に舞うシャボン玉。マキ、イチゴを摘んで食べる。理沙、髪を掻き上げながら夏美に語りかける。 
 
 夏美は、仲間に囲まれて本当に嬉しそう。広がる青空が四人をいつまでも見守っていた・・・(了)」

 シナリオは最後まで読んだ。

 でも、誰も何も言わない。立ち上がる者もいない。少女たちは、声を上げて泣いている。

 感動がその部屋を包んでいた。素晴らしい芝居を見たとのように、誰も口を聞かす、その余韻に浸っている。

 カーペンターズの「青春の輝き」だけが、優しく流れていた。スタッフも誰も、「さて!」と言い出さず、ティッシュを取り出す。或いは腕を組んで考え込んでいる。

 佐津川愛美は、何度もハンカチで涙を拭う。谷村美月、まるで泣かされた子供のようだ。

 打ちのめされたかのように動かないのは芳賀優里亜、必死に涙を堪えていた。

 波岡一喜、その3人を優しく見つめている・・。

 カーペンターズの歌が終わり、部屋には静寂が訪れた。僕は、3人娘に声をかける・・・。

(つづく)

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涙の本読み(17)涙が溢れる・・ 2005/9/9 [第二二章 涙の本読み篇]

 佐津川愛美も谷村美月も、ボロボロに涙を零しながら、涙声で台詞 を読み続けた。

 いや、もう読んでいるのではない。叫び続けているという感じだ。聞いている方も涙が溢れる・・。

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夏美(佐津川)「(顔を上げる)・・・」

マキ(谷村)「お前は絶対に死ぬなよ! 百歳まで生きるんだぞ!」

夏美(佐津川)「(涙が止まらない)」

マキ(谷村)「私の分もしっかり生きるんだぞーー!美香や理沙の分も想い出を作るんだぞぉーーーーーー!」

夏美(佐津川)「マキーーーーー!」


 芳賀優里亜はすでに台詞がなく、聞く側にまわっていたが、彼女もまた大粒の涙を拭きながら打ちのめされたように動かない。

 男性スタッフも素知らぬ顔で、頬を掻くような振りをして涙を拭く。かくいう僕も必死で涙を堪えていた。そしてエンディング。ト書きを読んだ。
 
 「夏美、草原の中を走って来て立ち止まる。カーペンターズの「青春の輝き」風歌 が流れ出す」

 ここで音楽スタート。ラジカセをオン!「青春の輝き」をかける!

(つづく)

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涙の本読み(16)マキとの別れシーン 2005/9/9 [第二二章 涙の本読み篇]

 そして、クライマックス。マキの母が住む高台。夏美とマキの別れ。

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夏美(佐津川)「マキ。行かないでぇ(と絶望で顔を地面に伏せる)」

死神(助監督)「・・・・・・・・・(躊躇し、止まる。そして振り向く)」

マキ(谷村)「(死神を見つめる)」

死神(助監督)「・・・・・・・・(頷き、マキに夏美の方を向かせる)」

マキ(谷村)「(その意味を理解して、夏美に叫ぶ)夏美―――お前がいてくれてよかったぞーーーー!(涙が溢れて来る)」

 このシーン。壮絶な展開となった・・・・。


(つづく)

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涙の本読み(15)理沙との別れシーン 2005/9/9 [第二二章 涙の本読み篇]

 完全に「本読み」ではなくなっていた・・。

 まるでラジオ・ドラマを聴いているかのようだ。いや、違う。声だけを聴いているのに、その場面さえも感じられる・・。
 
 スタッフは物音ひとつ立てず、真剣に佐津川愛美たちの声に耳を傾けた。いや、これも違う、耳を傾け、集中して聞かずにはいられない迫力と引き込む力があった。

 佐津川愛美と、谷村美月と、芳賀優里亜の台詞は、まるでジャズのセッションのように交差し、競い合い、盛り上がる。

 1+1+1=3のはずが、1×1×1=10になるかのような勢いだ・・。

 再び、佐津川愛美の台詞!

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夏美(佐津川)「理沙!あなたとは、まだ話したいことがあるの!」

マキ(谷村)「(起き上がってきて、砂時計を取り出す)オレの残り時間を半分、理 沙に上げてくれ!一緒にやりたいことがあるんだ!」

死神(助監督)「・・・(どんどん歩いて行く)・・・・・・」

マキ(谷村)「(すがりつく)頼む!」

死神(助監督)「・・・・・・(マキを振り払う)」

理沙(芳賀)「夏美。あなたがマキを守るのよ! マキに想い出を作らせて上げるのよ!」

 俳優たちを見ると、鼻をすすりながら、溢れる涙を堪えながら台詞を読んでいた。スタッフからも鼻をすする音が聞こえて来る。

 そして、クライマックス。マキの母が住む高台。夏美とマキの別れの場面となる・・。


(つづく)

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涙の本読み(14)美香との別れシーン 2005/9/9 [第二二章 涙の本読み篇]

 少女たちが死神に連れ去れるシーンは、「スターウォーズ・エピソード2」の「愛のテーマ」を流した。

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 芳賀優里亜の台詞が始まる。

 理沙(芳賀)「私には会いたい人も、行きたい場所もない・・・だから、先に連れてって・・」

 ト書き(太田)「死神、理沙を持ち上げて、壁にぶつける。そして美香を引っ張って行く。マキ、起き上がって、止めようとするが駄目。

美香(助監督)「(引きずられて行く)マキーーー。行きたくない!」

夏美(佐津川)「美香――――――!」

美香(助監督)「みんなと一緒にいたい!(涙が止まらない)・・行きたくない・・・」

マキ(谷村)「美香ーーー!(涙ぐむ)・・・」
 
 「愛のテーマ」がせつなくも、美しく盛り上げるので、台詞読みにも力が入る。もう、この辺から、本読みではなくなっていた。

 佐津川たちは当初「こんな感じかな? これでいいのかな?」という感じで台詞を読んでいたが、もう、越えている。

 夏美そのもの。マキそのもの。理沙そのものである。涙をこらえながら、台詞を読む。それを聞いている方も胸が締め付けられる。

 佐津川愛美や谷村美月は、本読みの声ではない。涙声で叫び続ける。芳賀優里亜もクールな理沙を意識しているが、声が震えていた。

 そして、次のクライマックス。理沙との別れ。夕陽のシーンに来ると、さらなる盛り上がりを見せた!

 (つづく)

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涙の本読み(13)「エピソード2」愛のテーマ 2005/9/9 [第二二章 涙の本読み篇]

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 ト書き以外で、その場にいない俳優さんの台詞は、助監督さんに読んでくれる。

 30代の男の声で、10代の女の子の台詞を読むと、あちこちで笑いを堪える人たちが続出。が、それも次第になくなって行く。

 俳優たちは、キャラを模索したり、物語のあり方を気にすることなく、役になり切っている。 
 
 「本読み」のはずだが、完成された舞台を見ているような気分になる。スタッフもいつしか観客となり、佐津川愛美や谷村美月。そして芳賀優里亜の台詞に聞き入っていた。

 そして、少女たちが死神に連れ去れるシーンは、「スターウォーズ・エピソード2」の「愛のテーマ」を選んだ。

 いよいよ、美香が連れて行かれる。僕はラジカセのボタンを押す。

 ジョン・ウイリアムス指揮によるロンドンフィルハーモニー楽団の演奏による「愛のテーマ」が流れ出した・・。

 悲しくも美しいメロディ、その曲に合わせて芳賀優里亜の台詞が始まる!

(つづく)

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涙の本読み(12)さまよいシーン! 2005/9/9 [第二二章 涙の本読み篇]

 僕自身がト書きを読み、音楽係をしながら進行役となる。読み始める!

 「シーン(23)町、午後。夏美たち、悲しい音楽に乗せて町を歩く。屋敷町。会津川の土手、古びた神社、江川町、稲成。梅林は高台なので町が一望できる・・・」

 「彷徨い」シーンに入った。夏美、マキ、理沙、美香の4人が、生まれ故郷の町で、想い出を探して歩く場面。

 悲しげで静かな音楽が流れる中、淡々とト書き読みが続く。

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 ト書き(僕)「マキは作業場で父の作業を手伝ったこと。母親とご飯を食べたこと。学校帰りに 理沙たちにいじめられたこと。

 柔道着でジョギングしたこと。鉄男と遊んだこと。夏 祭り。精霊流し。 
      
 美香はお父さんの弁当を届けたこと。勉強しながら歩いたこと。一人で川に石を投げたこと。マキと花火をしたこと。スイカを食べたこと・・」

 そのナレーションのバックに寂しげな音楽を流す。次第に俳優たちは、世界に入って行く。

 再び台詞のあるシーン。美香のタイムリミットが迫り、何か想い残したことはないか? 夏美が美香に問う場面。

 最初は手探りで、台詞を読んでいた佐津川愛美たち。この辺りから、迷いがなくなって来る・・・。

(つづく)

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涙の本読み(11)ト書きの読み方  2005/9/9 [第二二章 涙の本読み篇]

 助監督さん。ト書き読みを続ける・・。

 が、だんだん、気になってきた。決して、ヘタというのではないのだが・・・。物語の世界観が十分に伝わって来ない。

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 ナレーターでも、俳優でもないので、当然なのだが、ジリジリしてくる。何より、ロケ地である田辺にもまだ行っていないので、情景をイメージして読むことができない。

 その風景を知っていて読むのと、そうでないのでは大きな違いがある。俳優にも町の感じを伝えたい! それには田辺の風景描写を知っている者が読む方がいい。

 ト書きの読み方ひとつでもっと、もっと世界観を伝わる。佐津川愛美も、谷村美月も、芳賀優里亜も、波岡一喜も、かなりいいところまで来た。

 もっと、もっと、「ストロベリーフィールズ」の世界を伝えたい! それなら、僕が読むのが一番早い。読み役を交代してもらった。

 本読み再開! 僕自身がト書きを読み、音楽係をしながら進行役となる。読み始めた!


(つづく)


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涙の本読み(10)アル・パチーノ&ダスティン・ホフマン  2005/9/9 [第二二章 涙の本読み篇]

 強烈なキャラを演じると、俳優はその役から脱皮できないことが多い。

 その昔、「スーパーマン」を演じたジョージ・リーブスは、イメージが強過ぎて、その後仕事がなく、プロレスラーに転向した。

 スティーブ・マックイーンはアクション俳優の印象が強く、文芸作品のオファーが来なかった。結局、自分で製作費を集めて「民衆の敵」に出演した。

 イメージというのは恐ろしい。だが、アル・パチーノやダスティン・ホフマンはそれを超える演技をする。

 厳しい注文だが、谷村美月にも同じものを求めたい。
 
 ただ、由希とマキは不良というだけで、本来は全く違うキャラ。性格も、生い立ちも、言葉使いも、行動力も全然違う。

 マキは古いタイプの不良だが、由希は今時の不良少女。全く別のキャラ。同じように演じる方がむずかしいだろう。

 しかし、同じ俳優が演じることで似てしまうことを危惧した。

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 本読みの谷村を見ていると、そんな理屈ではなく、完全に別の役キャラで、マキの台詞を読んでいた。そこに「カナリア」少女の面影は全くない。

 さすがだ! 

 まだ、固まってはいないが、方向は間違っていない。おそるべき15歳! いいぞ! そのまま行け!

 佐津川愛美も、芳賀優里亜も、彼女たちなりに役を考え抜いて来た感じがある。ただ、まだ皆、手探り状態。それを模索し、世界観に合うかどうかを試している段階だ。

 助監督さんのト書き読みが続く・・・。

(つづく)


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涙の本読み(9)谷村美月・由希からマキへ 2005/9/9 [第二二章 涙の本読み篇]

 谷村美月が映画『カナリア』で演じた由希は、不良少女。

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『ストロベリーフィールズ』のマキも、タイプは違うが不良。

 でも、根本的には違う役柄。これを同じに演じたら厳しい。『カナリア』の由希を演じてほしくて、谷村に出演依頼したのではない。

 谷村の心に秘めた「強さ」や「ひたむきさ」に惹かれ、「この子ならマキを演じられる! この子しかいない!」と思ったのだ。
 
 『カナリア』の演技は本当に素晴らしい。が、それとは違う不良少女マキを演じてほしい。

 例を上げれば、アル・パチーノ。

 『ゴッドファーザー』でマフィアのボスであるマイケル・コルレオーネを演じている。その後、『スカーフェイス』でも、ギャングのボスを演じた。 どちらもギャング。

 が、パチーノの演技は全く違う。『スカーフェイス』を見ていて「マイケル・コルレオーネだ!」とは思わない。そこが名優たる所以。

 谷村にも同じものを求めたい。「また、不良少女だなあ・・・」と思われない演技をしてほしかった。が、これは本当にむずかしい。レベルの高い要求だ。

 名優のジーン・ハックマンでも、『フレンチコネクション』の当たり役・ポパイ刑事を演じたあとは、何もやってもポパイに見えてしまう。

 あの『ミシシッピー・バーニング』のFBI捜査官、どう見てもポパイ刑事だった・・・


(つづく)

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涙の本読み(8)4人とも凄い! 2005/9/9 [第二二章 涙の本読み篇]


 しかし、感動している場合ではない。今は本読み。皆の様子を見た。

 さすがに四人ともドラマ経験があるので、よくある10代たちの本読みとは違う。

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 棒読みする者、一人もいない。ニアンスやイントネーションもOK。四人ともかなり読み込んで来ていることを感じる。

 プロの俳優だと「本読み」の前にかなり読み込んで、自分なりのスタイルや方法論。キャラクターを作り上げて参加する。

 が、10代の子たちの場合。事前にシナリオを読んではいても、その場で初めて声を出して読むようなことがある。

 いや、実はそのときに初めてシナリオを開いたという子だっていた。学校の授業と同じ感覚。予習はしない。仕事場で読めばいいと思っている。

 しかし、今回の子たちは違った。皆、読み込んでいる。

 そんな子たちの経歴。佐津川は映画「蝉しぐれ」に1年がかりで出演。テレビドラマ「がんばっていきまっしょい!」に出演。数は出てない。

 逆に芳賀優里亜は子役時代から活躍。「仮面ライダー555」のレギュラー。その劇場版にも出ている。

 波岡一喜は「パッチギ!」で名演技を見せているし、会ったときから切れ者だと分かっているので安心株。

 あと、谷村美月。この時点、出演作もまだまだ少ないはず。僕はまだ「カナリア」しか見ていない。

 あのときの谷村の演技は、最高に素晴らしい。それを見てマキをお願いしたのだが、ひとつ心配な点もあった・・・・・。

(つづく)

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涙の本読み(7)他の10代とは違う! 2005/9/9 [第二二章 涙の本読み篇]

 5年前。この「ストロベリーフィールズ」のシナリオを書いた。

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 それから営業を続け、製作費を集めてまわり、スタッフ、キャストが決まり、ようやくクランクインを直前まで来た。

 その間、何度も何度もシナリオを直した。そのたびに夏美たちは成長して行く。

 最初は単なる物語のキャラクターだったが、次第に性格を形成、過去を持ち、悲しみや喜びを感じるようになる。
 
 ときには作者である、僕のいうことを聞かないこともあった。物語の登場人物も育ってくると、一人歩きする。

 その娘たちが今、言葉を発している。シナリオの活字を追い、台詞を頭の中で想像するのではなく、10代の女の子が実際に声を発している。

 生まれたばかりの我が子が、初めて声を出したときのような感動。胸が熱くなる。


(つづく)

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涙の本読み(6)本人たちの声で聞く台詞 2005/9/9 [第二二章 涙の本読み篇]

 いちご4人娘が勢揃いして台詞を読むのは、河原の排水口シーン。

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  まず、谷村美月の台詞からだ。

マキ(谷村美月)「(カメラに向い)絶対に優勝! 気合いで行きます!」

美香(助監督)「目標は何ですか?(しゃもじを向けインタビュー)」

マキ(谷村美月)「一分以内に相手をKOします!」

夏美(佐津川愛美)「(8ミリカメラをまわす)」

鉄男(波岡一喜)「夏美も友達ふえたなあ?」

夏美(佐津川愛美)「(笑顔)」

鉄男(波岡一喜)「よし、みんなで記念写真撮ろか?」

 僕が5年前に書いた台詞。それを何度も何度も書き直して、完成させたシナリオ。

 それを今、何百人の中から選んだ俳優たちが読む。この子こそ、夏美だ! マキだ! 鉄男だ!と感じて選んだ子たち。

 その佐津川愛美たちが声を出して台詞を読む。谷村美月や芳賀優里亜。鉄男役の波岡一喜が台詞を言葉にする。

 演じる本人たちの声で聞く台詞。感慨深い・・・。ロケ地・田辺の排水口の風景が浮かんだ・・・。

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(つづく)

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涙の本読み(5)よーい、スタート! 2005/9/9 [第二二章 涙の本読み篇]

 
 参加メンバーは、佐津川愛美、谷村美月、芳賀優里亜、波岡一喜。

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 演じる役の台詞を声を出して読む。

 監督である僕がかけ声をかけ「本読み」を始める。

 「よーーーい。スタート!」

 シナリオのト書きは、演出部のセカンドが読むの慣習。ト書きというのは、台詞以外の部分。状況説明の文章。

 「シーン1、 街の風景(朝)青い空。白い入道雲。古い神社。狭い路地。木造の家。昔見たような懐かしい街並み・・」

 と、読んで行く。それに合わせて、僕がラジカセで音楽を流す。仮に選んだメインテーマがラジカセから流れる。

 その場にいない俳優のパートが来れば、それも助監督さんが読む。

 4人が勢揃い。台詞が始まるのは、河原の排水口シーン。

 まず、谷村美月の台詞からだ!


(つづく)

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涙の本読み(4)読み込んだシナリオ 2005/9/9 [第二二章 涙の本読み篇]


 本読み前も、注意して3人を見ていると、いろんなことが分かる。

 通常、10代の女の子は時間があると、同世代の子たちと、とりとめのないおしゃべりを始める。

 が、誰もそんなことはしない。皆、緊張した顔で、準備。

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 谷村美月は床に座ると同時に、シナリオを取り出して、読み始める。本はすでに何度も読み返したようで、くたびれていた。

 いろんな十代と仕事をしたが、こんな子たちは初めてだ。谷村の言葉を思い出す。

 「朝起きてから寝るまで、ずっと芝居のことを考えています!」

 本当だと思えた。 他の子たちも、それぞれに特長があった。気楽にやってもらおうと思ったが、緊張感が高まって行く。

 波岡一喜君はすでに、何本も仕事をしている。初めて会ったときから、頭のいい出来る子だと感じている。が、10代の女の子たちは不安があった。

 が、今回の3人。今までとは違う・・・。 

 皆に声をかけ、いよいよ「本読み」をスタートする。

 (つづく)

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涙の本読み(3)気楽に行こう! 2005/9/9 [第二二章 涙の本読み篇]


1度目の本読みは、気楽にやることにしている。

 俳優が間違った読み方をしても、雰囲気が違っても、注意せずに読ませる。漢字の読み方が分からなくても、厳しく注意しない。

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 ここの読み方や声の強弱、ニアンス等、いろいろあるが、自由に読んでもらう。この段階であまり細かいことを言うと、俳優たちは混乱し、萎縮してしまう。

 それよりも物語全体の流れやトーン、色合い、世界観を掴んでもらうのが目的。

 同時に、僕は俳優たちの理解度、声の質、態度、集中力、キャラクター、性格等に注目する。

 もちろん、知人の監督が言うように(以前に紹介したエピソード参照)、本読みと本番での演技は違う。

 が、本読み時の表現を知ることで、どの方向に進めればいいか? どこが問題点なのか?を把握して演出するためには重要なのである・・・。


 (つづく)

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涙の本読み(2)学校みたい? 2005/9/9 [第二二章 涙の本読み篇]


 美香役の東亜優。まだ、来ていない。

 彼女は和歌山県在住だが、この日は別の仕事で東京に来ている。

 それが終わり次第に、駆けつけるといっていた。が、時間が過ぎても到着しない。前の仕事が押しているのだろう。

 他の3人はドラマや映画の経験があるが、東は初出演。いろいろと分からないことが多いので、特に気にかけている。

 何とか本読みは最初から参加してほしかったのだが、残念。時間が来たので開始する。

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 通常は会議室のようなところで、大きなテーブルを囲んで皆がシナリオを読みながら「本読み」をする。

 が、ここは衣裳部さんの会社。10畳くらいのスペースなので、テーブルも小さい。そこで、皆、板の間に座り込む。

「何だか、学校みたいやなあ!」

 波岡一喜君が言う。

 そう。太田組の「本読み」は単なる本読みではない。映画のイメージを伝える場でもある。

 ラジカセとスペシャルCDを用意して、それぞれの場面に合った曲をかける。全体のイメージを掴むためのものだ。

 スタッフも技師クラスが一同に揃い、壁際に並べられたイスに座って様子を見ている。
 
 通常の「本読み」と同じように、助監督のセカンドがト書きを読み、それぞれの俳優が自分のパートの台詞を読むというやり方で進める。

 通常、監督はそれを聞くだけだが、僕は音楽係をする・・・。


 (つづく)


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涙の本読み(1)全員集合!  2005/9/9 [第二二章 涙の本読み篇]

 「本読み」は五反田のとある場所。

 衣裳合わせが済んだあとに、同じ部屋で行う。10畳くらいの狭い場所で、会議室ではないが、移動するより、そこで行う方が能率的。

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 まず、戻ってきたのは佐津川愛美。
 
 次に来たのが、谷村美月。大阪の中学に通う彼女は、この日のために上京。佐津川とは「本当にあった怖い話」で共演している。

 そして、つい最近も映画「笑う大天使(ミカエル)」の撮影で一緒だったはず。

 共に演技派。互いを認め合っていると聞く。再会でどんなリアクションを見せるのか?見ていた。

 谷村が部屋に入って来る。それに気づいた佐津川が振り返る。

 「わーーーー愛美ちゃん!」
 
 「あーー美月ちゃん。ひさしぶりーーーー」

 と手を振りながら10代ぽく言うと思っていた違った。ら、2人とも歩み寄って・・・。

 「お久しぶりです」

 「今回も、よろしく、お願いします」

 と、ゆっくりとした口調でしっかりとお辞儀。挨拶した。

 近所のお年寄りか? と思うくらい。10代の少女のきゃぴきゃぴ感が全然ない。

 意外。しかし、2人の熱い戦いはこのときすでに始まっていた。やがて、始まる熱い演技バトルを前にした、静かな再会だったことが分かる。

 やがて、理沙役の芳賀優里亜。鉄男役の波岡一喜も到着した!(つづく)

(つづく)


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第二二章 涙の本読み篇 ブログトップ

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