映画「ストロベリーフィールズ」脚本紹介／シーン2９・天神崎 2005／9／9

　　　　　＜シナリオ＞


（29ーＣ）天神崎・夕方



死神（奈佐健臣）「・・・（どんどん歩いて行く）・・・・・・」
マキ（谷村美月）「（すがりつく）頼む！」
死神「・・・・・・（マキを振り払う）」
マキ「（倒れる）わーーーー」

理沙（芳賀優里亜）「・・・・マキっ・・」
夏美（佐津川愛美）「理沙！」
死神「（理沙を連れて歩き続ける）」
理沙「夏美。あなたがマキを守るのよ！　マキに想い出を作らせ
　　て上げるのよ！」
夏美「理沙———！」

　　　　　　　　死神、理沙を抱きかかえたまま消えて行く。



マキ「・・・（涙が零れる）・・」
夏美「（ふと空を見上げると雲から夕日が顔を出し、鮮やかに輝いている）神様・・それは・・・ないでしょう・・・」

　　　　　　　　夕焼けはどんどん広がり、美しく空を染める。



マキ「（涙を流しながら）バカヤローーーー」
夏美「・・（涙が溢れる）・・・」

　　　　　　　　夕日、美しく輝いている・・・・・。
　　　　　　　　こうして理沙も、17歳の生涯を終え、永遠へと
　　　　　　　　旅だって行った・・。
　
（つづく）


＊映画「ストロベリーフィールズ」クランクインまで、あと８日！

映画「ストロベリーフィールズ」脚本紹介／シーン2９・天神崎 2005／9／9

（29−Ｂ）天神崎・夕方



　　　　　　　理沙（芳賀優里亜）の背後から死神が現われる。

夏美（佐津川愛美）「（死神に気付かないで、空を見ている）」

　　　　　　　死神（奈佐健臣）理沙を後ろから羽交い締めにする。

理沙「！・・・・・・夏美ーーーー！」
夏美「（声に気付き、走り出す）理沙———！」
マキ（谷村美月）「（同じく走りだす）」

　　　　　　　理沙、抵抗するが、殴られて倒れる。死神、
　　　　　　　理沙を抱きかかえて行く。
　　　　　　　あとを追う、マキと夏美。

理沙「・・・・マキ・・・夏美・・・」
マキ「（追いつく）待てよ！　理沙を連れてくな！」

　　　　　　　　死神を止めようとするが、突き飛ばされる。

夏美「・・・・（必死で追いかける）」
理沙「・・・（顔を上げる）・・夏美・・」
死神「・・・・・・・・・」
夏美「理沙！あなたとは、まだ話したいことがあるの！」
死神「・・・・・・・」
マキ「（起き上がってきて、砂時計を取り出す）オレの残り時間を
　　半分、理沙に上げてくれ！一緒にやりたいことがあるんだ！」


（つづく）


＊映画「ストロベリーフィールズ」クランクインまで、あと８日！

映画「ストロベリーフィールズ」脚本公開／シーン2９・天神崎 2005／9

　

　　　　　　　　　　　　　＜シナリオ＞
　　　　　　　　　　　　　 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
（２９ーＡ）天神崎・夕方／　曇り　　　　　　　　　　　　　　　　　　　


理沙（芳賀優里亜）「（しかし、空は曇っていて夕日は見えない）」
夏美（佐津川愛美）「・・・・・」

マキ（谷村美月）「（悲しそうに頷く）・・」
理沙「私もマキみたいに何かやればよかった。レスリングでも、
　　やればよかった・・・・」

マキ「・・・・・・？」
理沙「それも悪役がいいな。噛みついたり、凶器使ったりして」

マキ「（微笑む）・・・・うん。オレも悪役だな・・・・リングの
　　上からマイク持って、テメー覚えてろよ！とか叫んでさ・・」
理沙「（微笑む）客席の椅子で殴ったりしてさ。思いっきり・・・・・
　　　暴れたかった・・・夏美にも試合見せたかったな・・」

夏美「（涙が溢れ、走り出す。波打際まで走って行き、叫ぶ）神様—、
　　理沙に夕日を見せてあげてーーー！」

理沙「・・・・・・・・・・・」

　　　　　　　でも、空は曇ったままである。

マキ「（夏美を追って行き、海に向かって叫ぶ！）バカヤロー！」
夏美「・・・・・・・・・」

理沙「（後ろから夏美たちを見ているが、淋しそうに砂時計を取
　　り出す。砂が全部落ちてしまう）・・・・・・」



　　　　　　　理沙の背後から、死神が現われる・・。




（つづく）


＊映画「ストロベリーフィールズ」クランクインまで、あと８日！

映画「ストロベリーフィールズ」脚本紹介／シーン28・天神崎 2005／9／9

　　　　　　　＜シナリオ＞


（２８）天神崎への道・夕方　　　　　　　　　　　　　　 　　　　　　　　　　　　　　
　　　　　

理沙（芳賀優里亜）「（先頭で歩く）」

マキ（谷村美月）「・・・・何処へ行くんだよ？」

理沙「私は悔しいときや淋しいとき、一人で夕日を見詰めるの」



夏美「（・・・・私と同じだ・・）」

理沙「・・・・海に沈んで行く、真っ赤な夕日をね・・・」

マキ「・・・・・・・・・」

理沙「だから、最後は・・あなたたちと一緒に、夕日が見たい・・」

夏美（佐津川愛美）「・・・・・・」

（つづく）


＊映画「ストロベリーフィールズ」クランクインまで、あと８日！

映画「ストロベリーフィールズ」脚本紹介／シーン27ーＣ・高山寺 2005／9／9

　　　　　　　　＜シナリオ＞

（27）旧本堂・内

理沙「・・・・・・・（淋しい）」

マキ「（怒りに震えて立ち上がり）お前ら待てよ！　そんなことし
　　か言えないのかよ！（と、彼女たちの前に立つ）」

理沙「（マキを止める）聞えないよ・・」

　　　　　　　取り巻きたち、マキに気づかず立ち上がる。
　　　　　　　廊下へ出て、出口へ進む。



マキ「（追いかける）何か言ってやれよ！　死んだンだぞ！　理沙
　　は死んだ！　好きだったイチゴも、もう食えないんだぞ！」

理沙「マキ、無駄よ・・・・・」

　　　　　　取り巻き、帰ってしまう。取り残されたマキ。

マキ「（夏美の前に立つ）夏美、お前が言ってやれよ！　あいつらに
　　言ってやれ！理沙の想い出を語れって言ってやれよ！」　

夏美「（でも、どうしていいか分からない）・・・・」

マキ「生きているのは夏美。お前だけなんだぞ！　言ってやれよ」

取り巻きたち、出て行く。

夏美「・・・・・・・」

マキ「何で言わないんだよ！　言ってやれよぉ！」

夏美「・・・（理沙の祭壇を見ると、ケースに入ったイチゴ）」



理沙「（砂時計を取り出して見ると、あと僅か）マキ、もういい
　　・・・・それより・・行きたいところがあるの・・・」



夏美「・・・・（理沙を見つめる）・・・」


（つづく）


＊映画「ストロベリーフィールズ」クランクインまで、あと８日！

映画「ストロベリーフィールズ」脚本紹介／シーン27ーＢ・高山寺 2005／9／9

　　　　　　　＜シナリオ＞

（27ーＢ）高山寺



理沙「（話を聞かずに座っている。ふと入り口を見る）」

　　　　　　　　理沙の取り巻き三人組が廊下を歩いている。
　　　　　　　　開かれた障子から本堂を確認。恐る恐る入って来る。
　　　　　　　　手には小さな箱。

理沙「・・・・・・・（立ち上がる）・・・」

ラン「あのー理沙のクラスメートなんですけど・・」

鉄男「そう、お焼香しに来てくれたんや？」

ラン「理沙が好きだったから（手にしたケースにイチゴ）」



夏美「（知らなかったという顔。理沙を見る）」
理沙「・・・・」

鉄男「そうかあ・・・きっとあの世で喜んでると思うで・・まあ、
　　入って、さあ、こっちへ・・（と祭壇に案内する。子分たち
　　には）おい。御茶とお菓子の用意や！」
子分たち「押忍！（と、飛び出して行く）」



ラン、スー、ミキ「・・・（仏前に座り、イチゴを供える）・・」
鉄男「（お焼香の用意をしようとして、マッチが空なのに気付く）
　　（本堂を出て行く）ちょっと待っててや！」
ラン、スー、ミキ「（手を合わせてお祈り）」

夏美「そうだ。理沙。何であの子達に会いに行かなかったの？」
理沙「・・・・・・」
夏美「何かいいたいことあれば・・・伝えるけど・・」
理沙「・・じゃあ・・・こう言って・・いろいろとあったけど・・」

ミイ「（理沙の台詞を遮るように笑い出し）あーあ・・（立って遺
　　影に近づく）本当に死んだんだね・・・・・・」
スー「でも、ホッとした（と、供えたイチゴを手掴み）・・・」
ミキ「ほんとそう（頷いて、イチゴをスーからもらって食べる）」

理沙「（取り巻きを見詰める）」

ラン「・・ああ、夏美。いたの？（と気付くが、側に理沙がいる
　　ことは分からない）お前も安心しただろ？」

夏美「・・・（困った顔。理沙を見る）・・・・・」
マキ「・・・（怒りを感じる）・・・・・」

スー「・・・何、その顔？」
ラン「死んだの分かったから、帰ろ・・・」
スー「そうだね・・・・お祝いしようか？」
ケイ「賛成！（イチゴ食べながら、頷く）」

（つづく）


＊映画「ストロベリーフィールズ」クランクインまで、あと８日！

映画「ストロベリーフィールズ」脚本紹介／シーン27ーＡ・高山寺 2005／9／9

　　　　　　　　　　　　＜シナリオ＞

（２７ーＡ）本堂・内　／午後 高山寺・旧本堂　　
　　　　　　　　 　　　　　

　　　　　　　
夏美（佐津川愛美）「（美香ー東亜優ーの遺影を、黙って見詰めてい
　　る。視線を外すとマキ、理沙が離れて座っている）」

理沙（芳賀優里亜）「（離れたところで、壁にもたれて砂時計を見つ
　　めている）・・・」



マキ（谷村美月）「（歩み寄り）理沙・・何で美香を助けようとし
　　た？」
理沙「・・・・・・・・別に（と、髪を掻き上げる）・・・・」
マキ「正直になれよ。次にいなくなるのは理沙。お前だぞ！」
理沙「・・・・あと、２時間１０分・・・ね・・」

　　　　　　　　ふすまが外れて、鉄男（波岡一喜）と子分たちが
　　　　　　　　本堂にドタバタっと倒れ込む。

鉄男「（誤摩化すように）ああ、夏美。来てたんか？」

夏美「・・・はい」

子分たち「押忍！」
鉄男「引っ越しの準備は終わったんか？」

夏美「・・・・・・ええ」

鉄男「・・・よし、掃除始めよかあ！」
子分たち「押忍！（と掃除を始める）」

鉄男「（理沙の遺影を見る）オレ昔、理沙の親父の会社で働いて
　　いたことあったんや」

夏美「（理沙をチラッと見て）そうなんですか？」

鉄男「あの子は中学の頃から勉強も運動もできて・・・成績もク
　　ラスで一番やった。まあ、夏美の姉ちゃんみたいなもんや」

マキ「・・・・・・・・」

鉄男「けど、・・お母さんはきびしい人で、一番以外は意味がな
　　いという人なんや・・・」

夏美「でも、理沙の成績はクラスで一番でした・・」

鉄男「理沙の弟は学年で一番・・県内でもいつも１０位に入る」

マキ「・・・・・」
夏美「・・・・・・・・」

鉄男「お母さんは、弟ばかり可愛がってなあ・・・」

夏美「（離れて座る理沙を見る。私と同じ・・と感じる）」
理沙「（話を聞かずに座っている。ふと入り口を見ると・・）」

（つづく）


＊映画「ストロベリーフィールズ」クランクインまで、あと８日！

映画「ストロベリーフィールズ」脚本紹介❹ 解説 2005／9／9

　美香のタイムリミットが来て、死神に連れて行かれるところまでシナリオで紹介した。

　このあと物語は、芳賀優里亜演じる理沙のタイムリミットを迎える。



　理沙はクラスの影番であり、取り巻きを使い、夏美やマキに嫌がらせを続けてきた。その一方で、成績優秀。スポーツ万能の１７歳の女子高生。

　そんな理沙。幽霊になってからも、ずっと皮肉と批判ばかりを続けた。なのに、美香が連れ去られようとしたときには助けに現れる。

　理沙は何を隠しているのか？　そして、何を感じているのか？

　いよいよ、理沙の秘密が明らかにされる。そして、そんな理沙のタイムリミットがやってくる。

　物語２番目の見せ場である、天神崎の美しい夕陽を背景に、理沙との別離シーン。次回から紹介する！

（つづく）


＊映画「ストロベリーフィールズ」クランクインまで、あと８日！

映画「ストロベリーフィールズ」脚本紹介／シーン26ーＢ・屋敷町 2005／9／9

　


　　　　　　　　　　　　＜シナリオ＞

（２６−Ｂ）屋敷町の狭い通り／午後　　　



理沙（芳賀優里亜）「（美香の前に立っている）」
夏美（佐津川愛美）「・・・・・・・」
美香（東亜優）「・・・・理沙！」

マキ（谷村美月）「（倒れたまま、顔を上げる）・・・・」

理沙「（両腕を広げる）私の友達を・・・連れて行かないで・・」
死神（奈佐健臣）「・・・・・・・・・・・・」
理沙「その代わりに、私が行く・・・・・」

夏美「・・・・・・・・」

理沙「・・・私には会いたい人も、行きたい場所もない・・・だ
　　　から、先に連れてって・・」
死神「・・・・・・・・・・・」
理沙「・・・・（髪を掻き上げる）・・・・」

　　　　　　　　死神、理沙を持ち上げて、壁にぶつける。



　　　　　　　　そして美香を引っ張って行く。マキ、起き上がって、
　　　　　　　　止めようとするが駄目。



夏美「（恐怖で何も出来ず見つめるだけ）」
美香「（引きずられて行く）マキーーー。行きたくない！」
夏美「美香——————！」
美香「みんなと一緒にいたい！」

理沙「・・・・」

美香「（涙が止まらない）・・行きたくない・・・」

マキ「美香ーーー！（涙ぐむ）・・・」

美香「（号泣）マキ！　理沙！　夏美！」

夏美「（泣きながら）美香ぁーーー！」　　
　　　　　
美香「（泣きわめく）もっと、みんなといたいよーー」

理沙「・・・・・・・・・・・」
夏美「（涙が止まらない）美香ぁーー！（走り出す）」

　　　　　　　　死神と美香の姿、消えて行く・・・。

マキ「（涙が込み上げてくる）美香！　お前の分も思い出作る。
　　そしたら、すぐにあとを追うからな！」

夏美「美香ぁ・・（足下に美香の砂時計見つけるが、手を伸ばすと
　　すっと消えてしまう）・・・・」



　　　　　　こうして、17歳の美香は永遠へと旅立って行った・・。

（つづく）


＊映画「ストロベリーフィールズ」クランクインまで、あと８日！

映画「ストロベリーフィールズ」脚本紹介／シーン26ーＡ・屋敷町 2005／9／9

　　　　　　　　　　　　　　＜シナリオ＞



（２６）屋敷町の狭い通り／午後　　　　　　　　　　　屋敷町



　　　　　　　　マキ、夏美、美香、走って来る。が、理沙はいない。
　　　　　　　　走る。走る。走る！

夏美（佐津川愛美）「こっちが近道！（何かに気づいて、立ち止まる）」
マキ（谷村美月）「（何だよという顔をするが気づいて、立ち止まる）」
美香（東亜優）「・・・（立ち止まる）」
死神（奈佐健臣）「・・・（冷たい顔で、道を塞ぐように立っている）」



美香「（ポケットから砂時計を出す。最後の砂が零れ落ちる）」



マキ「こっちに行こう！」

　　　　　　　　皆、別の道を走るが、やはり、先に死神がいる。急
　　　　　　　　いで引き返しても、また死神。

マキ「（覚悟を決め）会いたい人が・・・その先にいるんだ・・・」
死神「・・・・（無言で近寄って来る）・・」
マキ「少しだけ待ってくれ・・」
死神「（首を振る）」
マキ「だったら、どけよ！（と、死神に向って行く）」
死神「（マキを掴み、壁に押し付ける）」
マキ「（苦しい）」

死神「（そのまま、投げ捨てる。そして美香の前に来る）」　　　　　
美香「・・・・・・・お願いです・・時間かかりませんから」
夏美「・・（どうしていいか分からない）・・・・・・・」
死神「（無理やり美香の腕を掴む）」



夏美「・・・・・（何もできない）・・・」
美香「行きたくない・・・」
死神「（美香の腕を引き、歩き出す）」
美香「みんなと一緒にいたい！」
夏美「（どうすることもできない）」

　　　　　　　　突然、美香を引き戻す者。

死神「（振り返る）・・・」

（つづく）


＊映画「ストロベリーフィールズ」クランクインまで、あと８日！