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第二三章 最終準備篇Ⅲ ブログトップ
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演出について(6)監督ー俳優。互いを知ること 2005/9/10 [第二三章 最終準備篇Ⅲ]

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 なので僕は俳優が決まると、彼らに自分のプロフィールを渡すことにしている。

 生年月日、出身地、学歴、作品歴、仕事歴等が書かれている。

 それを見れば、和歌山県出身で、自主映画をした経験があり、アメリカ留学、そして脚本家としてスタート。

 ホラーから「モーニング娘。」まで、いろいろと手がけていることが分かってもらえる。
 
 そして、作品の代表的なものを収録したビデオも渡す。それにより、僕が作る作品傾向を伝える。

 次に、出演してくれる俳優さんたちの、作品を徹底的に見る。そうやって互いを知ることで、ようやくスタートラインに着けるのだと考える。
 
 こうしてコミュニケーションがスタート。ようやく作品についてのアプローチが始まる。

 まず、俳優さんにはドラマの方向性を伝える。

 簡単にいうと、東に向かって走るのか? 西なのか? いや、北北西なのか?を分かってもらうこと。 それが伝わらなければ皆が同じ方向に進んで行けない・・。

(つづく)



*映画「ストロベリーフィールズ」クランクインまで、あと1週間!


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演出について(5)俳優のプロフィール 2005/9/10 [第二三章 最終準備篇Ⅲ]

 俳優はオーディションのときに、名前、生年月日、身長&体重、3サイズ、芸歴、特技、趣味などを書いたプロフィールを出す。

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 それによって、監督とスタッフは情報を得る。

 ところが監督は、履歴書も何も渡さない。

 有名監督なら、皆知っているだろうが、無名、新人、中堅の場合、俳優側は何のインフォメーションもない。

 これから一緒に仕事をしていくというのに、これでいいのだろうか? と考えた事がある。

 互いを知ってこそ、いい作品作りができるのだ。
 
(つづく)



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演出について(4)山本五十六 2005/9/10 [第二三章 最終準備篇Ⅲ]

 主人公の山本五十六長官をリアルに演じさせるために、こんなことをしたという。

 主演の俳優が控え室からスタジオまで移動するときも、わずかな距離なのに車で送り迎え。
到着すれば赤いじゅうたんを車から入り口まで敷いて、海軍のラッパを鳴らす。

 スタッフ全員が作業をやめて立ち上がり、彼に向って敬礼させたという。毎日、それを繰り返す。

 が、同じ撮影所で仕事をしていた黒澤組以外のスタッフは(いや、彼のスタッフでさえも)「バカじゃないか!?」と思ったらしい。

 でも、それが俳優を山本五十六長官そのものにするための黒澤式の演出であり、その方法論で数々の名作を作り上げたのである。

 そんなふうに巨匠たちは様々な方法を試しみる。

 僕の場合はどうか? とても巨匠たちには及ばないが、いつも一番最初にするのはこれだ・・・。

 (つづく)



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演出について(3)「トラトラトラ」2005/9/10 [第二三章 最終準備篇Ⅲ]

 撮影現場で、監督がメガホンを使い、

 「もっと、激しく叫んで!」

 と、怒鳴るのが演出だと思われがち。

 だが、それはボクシングの試合で言うところのあれ。

 「ジャブ!ジャブ! 右にまわって!」

 と、セコンドが叫ぶようなもの。 それで根本的な違いがでる訳ではない。本当の演出は撮影以前に始まる。

 印象的なエピソードが多いので、もうひとつ黒澤明監督の話をしたい。

 残念ながら途中で降板することになった日米合作映画、真珠湾奇襲を描いた「トラ!トラ!トラ!」。あのときも凄かったらしい・・。



 (つづく)



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演出について(2)フリードキン監督の場合  2005/9/9 [第二三章 最終準備篇Ⅲ]


 「エクソシスト」「フレンチ・コネクション」のウイリアム・フリードキン監督。

 僕の留学時代。南カルフォルニア大学・映画科の授業で、お会いしたことがある。(写真下が校舎。1987年に入学した)

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 フリードキン監督は、元々ドキュメンタリーの仕事をしていた。なので、リアリティを重要視!

 以前にも書いた話だが、牧師の役には「牧神が演じられる俳優」を探すのではなく、「演技のできる牧師」を探す。
 
 また「フレンチ・・」のときは、主演のG・ハックマンにイライラした演技をさせるために、わざと「お前は本当に下手クソな役者だ!」と毎日罵倒した。

 だから現場でハックマンは常に爆発寸前!!冷静に演技ができない。

 でも、それがあの暴走刑事ポパイのリアル感となり、彼はアカデミー主演男優賞を授賞した。そんなふうに監督たちは、さまざまな方法で俳優の力を引き出して行くのだ。
 
 僕自身はそんなにユニークな方法論は持ってないと思っているが、毎回撮影では、凄く戸惑うスタッフがいる。
 どうも、かなり型破りなことをしていたようだ。日本映画の常識からも逸脱しているらしい(!)

 でも、完成した作品を見ると、いつもスタッフは「その演出が大きな効果を上げている」と指摘してくれる。

 一体、通常の映画と何が違うのか? その辺を紹介する!


(つづく)



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演出について(1)黒澤明監督の場合 2005/9/9 [第二三章 最終準備篇Ⅲ]


 衣裳合わせの話から少しそれる。が、すぐに戻るので、読んでほしい。

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 ある女優の卵、こんなこと言っていた。

 「以前に、日本アカデミー賞の授賞式をテレビで見たときに思ったんですけど、同じ俳優でも監督が違うと、全然演技もイメージも変わるんですね?」

 放送では同じ俳優の別の作品が続けて紹介されたので、違いがよく分かったらしい。

 もちろん、俳優本人が違いを出していることも多いが、監督によってその俳優が良くなったり、駄目だったりすることは多い。

 プロ野球と同じで万年最下位のチームが、新監督の元では優勝したりもする。

 つまり、監督という人たちは選手や俳優本人が「気づかぬ能力」や「魅力」を引き出すのが仕事なのである。が、その方法論は多種多様だ。

 例えば、黒澤明監督は徹底したリハーサルを行う。撮影の何カ月も前から刀や鎧を付け、本番さながらに稽古。

 刀や鎧の重さ、時代劇の衣装の着心地。さまざまなところから、体で当時の侍の感覚をつかませ、役に入って行けるようにするのだ。

 そんなふうに巨匠たちは、さまざまな方法論を持っている。他の監督のやり方も紹介してみよう・・・・。

 (つづく)



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タグ:黒澤明
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衣装合わせ/2日目  2005/9/10 [第二三章 最終準備篇Ⅲ]

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 本日は、以下の俳優さんの衣装合わせ。

 長塚先生役・・・・・並木史郎

 京子先生役・・・・・伊藤裕子

 夏美の母・・・・・・吉行由実

 マキの母・・・・・・水沢有美

 マキの父・・・・・・飯島大介

 夏美の父・・・・・・小西博之

 死神・・・・・・・・奈佐健臣

 春美・・・・・・・・三船美佳

 昨日と同じように、衣裳を決め、その後、役作りについて打ち合わせをする。

 地元・中田食品さんから頂いた梅干を用意。宿題ビデオも大量に持ち込む。場所は昨日と同じ、五反田にある衣裳部の会社である・・。

 (つづく)



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