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第二五章 衣装合わせⅡ ブログトップ
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映画「理由」メイキング(上)DVD特典映像 2005/9/11 [第二五章 衣装合わせⅡ]

 蛇足というか、補足をもうひとつ。

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 今年の春に発売された映画「理由」のDVD。特典映像も僕が担当。

 何事にも厳しい巨匠・大林監督からのオファー。撮影時の撮影からテレビ放送、劇場公開、DVD発売と、その全てのメイキング関係を任せてもらえた。

 これは本当に凄いこと。「レベルの低いものを作ったなら、即交代!」と関係者から厳しく言われていたので、嬉しいものがあった。

 そのDVD。これまでに僕が編集したものを合わせて、それを大林監督が最終的に編集。監督がナレーションを入れたもの。

 その編集の際。監督から「何か、これは入れたいというエピソードがあれば、新たに編集してもいいよ」と言われる。

 これは嬉しい提案! 僕の考えた企画が特典映像に加えられる! 凄いことだ。何がいいか?早々に考えた・・・。


(つづく)


*映画「ストロベリーフィールズ」クランクインまで、あと1週間! 


 

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映画「理由」の頃・・。  2005/9/11 [第二五章 衣装合わせⅡ]

 話はそれるが、「理由」にメイキングで参加したのは2003年の11月。今から2年前である。
 
 以下の写真が「理由」撮影中の僕。東宝スタジオのトイレで鏡に写った自分を撮った。 

理由のころーBWs.jpg

 撮影終了後。僕は「ストロベリーフィールズ」戦線に戻り、激動の日々を送る。

 あるスポンサーは2年間「**がほしい。**を用意しろ。そうしたら撮らしてやる」と、1円も払わずに振り回した挙げ句・・・

 「ま、うちと仕事をしたければ、あと5年待ってもらいましょうか?」

 そう言って投げ出した。クランクイン直前。製作費が出なくなり撮影が無期延期になった事件もあった。またスポンサーを探してまわる・・・。
 
 そして何度も自腹で、ロケ地である田辺市と東京を往復・・。

 製作費が予定額に届かないために、身を切られるようなシナリオのカット作業。理不尽な戦いの連続。借金の額だけがどんどん増える。さまざまな厳しい状況を越えて、ようやくクランクインが近づく。

 現在(2005年9月)、この日記を書いている年の僕の写真は、扉のプロフィールの文字(いちごマークの横)をクリックすると見られる。
   
 上の写真から2年。老けたなあ・・・と笑ってもらえると幸いだ。映画の仕事とはこういうものなのか・・と実感して頂けるかも・・。

(つづく)


*映画「ストロベリーフィールズ」クランクインまで、あと1週間! 



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映画「理由」について(7ー終)親と子  2005/9/11 [第二五章 衣装合わせⅡ]

 映画「理由」に登場した勝野さん。そして並木さんが演じる父親たち。それと「ストロベリー」に登場する親たちは、近い立場にいる。

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 悪意はない。子供たちに対する愛がある。でも、彼らには見えなくなっているものがある。そして、彼らの抱える戦後昭和の価値観が崩れ去ろうとしている。新しい価値観に気づかずにいる・・。

 その象徴が、大人には見えない幽霊のマキたち。若い10代の夏美には見えるのに、30代40代の大人たちには見えない。

 それは単にファンタジーとしての設定ではなく、自分たちの価値観にはないものが見えず、愛情があるのに、子供たちを踏みにじってしまう大人たちの象徴。

 だから、長塚先生も、鮭山先生も、悪役ではない。本来、彼らの行為は愛情が溢れる子供たちを思う気持ちが溢れたものなのだ。

 しかし、子供たちから見れば、理解されない、愛されていないという態度にしか見えない。何がいけないのか? 何が違っているのか? 

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 そんなことをふまえ描かれたのが、今回の「ストロベリーフィールズ」という物語。

 衣装合わせ後の打ち合わせで、ベテラン並木史郎さんには、そんなお話をさせてもらった。

(つづく)


*映画「ストロベリーフィールズ」クランクインまで、あと1週間! 


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映画「理由」について(6) テーマ  2005/9/11 [第二五章 衣装合わせⅡ]

 小説「理由」は発売当時に読んだ。

 新聞連載されていたときは知らなかったが、もともと宮部みゆきという作家が好きなこともあり読んだ。

ふかん東京.jpg

 そこで描かれた現代の日本。それこそ、当時から僕が気になっていたもの。その後、書き始める「ストロベリーフィールズ」のテーマにも関わるものだった。

 まさか、それを憧れの巨匠・大林監督がのちに映画化するとは思わなかったが、映画もまさにその点が焦点となっていた。

 監督の好意と応援で、「理由」の撮影に呼んでもらえただけでなく、もう一度、そのテーマを考え直す機会にもなった。

 その父親の友人役。同じ悩みを抱える同世代の友人。その役を演じたのが今回「ストロベリーフィールズ」に出演してくれる並木史郎さんである。

 何という偶然! でも、説明しやすい。そのことを並木さんにお話した。もの凄く真剣に聞いてくれて、

 「なるほど・・・そのテーマで、もう一度。考えてみます・・」

 と言ってくれた。

(つづく)


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映画「理由」について(5) 戦後から現代へ  2005/9/11 [第二五章 衣装合わせⅡ]

 物語には占有屋といういかがわしい商売をする連中も出て来るが、本当に悪辣な人はほとんどいない。

 なのになぜ、人々は傷つき、殺し合わなばならなくなるのか? そんな悲しい構図が見えて来る。

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 事件の発端も、勝野洋扮する父親が子供と家族のために、マイホームを持とうとする。

 でも、自分の稼ぎでは無理。そこで、格安のマンションなら・・と、事件の起きる部屋を契約するのである。

 その父親には何の悪意もない。家族に対する愛情があるだけ。家族に豊かで便利な生活をさせたいという思いがあるだけ。

 しかし、その思いが、結果として、警察から犯人だと思われ、失踪せねばならなくなる。心ない人たちが、家族を批判し、皆が悲しむことになる。

 父親たちは、戦後苦労して生きてきた。貧しい暮らしを続けてきた。だから、子供たちには苦労させたくない。

 でも、それは正しいのだろうか? 親の気持ちとしては分かるが、そこで何かを失っていないだろうか?

 その背景にあるのが現代の日本。過酷な現状と、大幅に変わって行く価値観。その中で何が大切なのか? 何が必要なのか?

 「理由」という物語は、そう語りかけて来た・・・。

(つづく)


*映画「ストロベリーフィールズ」クランクインまで、あと1週間! 


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映画「理由」について(4)メイキング担当  2005/9/11 [第二五章 衣装合わせⅡ]

 映画「理由」で僕は、メイキング撮影を担当。

理由イン映画館.jpg

 イベント用の予告編(メイキング素材を使ったもの)、

 番宣(番組宣伝用のドキュメンタリー番組)、

 映画公開時の作品紹介ドキュメンタリー、(テレビ放送&映画館のロビーでビデオ放送)

 DVDの特典映像「理由が映画になった理由」を担当させて頂いた。

 その中のキャッチフレーズでも使ったが、「主人公がいない。或いは全員が主人公」というものがある。

 まさに、そんな物語。さまざまな人生を抱えた200人を超える登場人物が、数々の証言をする。

 膨大な情報が読者や観客に手渡されるので、人間関係を追いながら、事件を整理するのも大変。だが、映画を見ると、その辺が非常に整理されていて、よく分かった。

 そんな中で、やがて、気づいてくることがある・・・。

(つづく)


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映画「理由」について(3)そのスタイル  2005/9/11 [第二五章 衣装合わせⅡ]

 本で読むと、小説を読むというよりルポを読んでいる感じ。

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 映画で見ると、主人公の視点から事件を見つめるのではなく、出演者(事件の関係者)が直接カメラに向かって話しかけるスタイル。

 観客はダイレクトに証言を聞くという形になる。

 「ストロベリーフィールズ」に、出演して頂く並木史郎さん。そのシーンも居酒屋でカメラに向かって、事件の容疑者である友人のことを語る。

 事件の起きた高層マンションの管理人役の岸辺一徳さんも、カメラに向かって(つまりは観客に向かって)死体を発見した様子を語り続ける。

 何とも、不思議なスタイルだが、これが画期的。小説では可能だが、それを映画で再現できるとは思わず、唸らされた。

 そんなスタイルだからこそ、リアルな現代日本と日本人の姿が見えて来る・・。

(つづく)


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映画「理由」について(2)物語は?  2005/9/11 [第二五章 衣装合わせⅡ]

 ーー都内で発見された若い男性の死体。

 高層マンションから落ちて死亡したもの。その部屋を調べると、さらなる死体。居住していた家族だった。

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 しかし、彼らは本当の家族ではなかった。では、一体、彼らは何者だったのか? そして死んだ男は・・・・?

 というところから始める社会派ミステリー。そこから戦後日本が抱える問題点がクローズアップされてくる。そして親と子の絆。社会と家族の関係。

 通常、この手のドラマは刑事や新聞記者が主人公となり、事件を追う。

 ところが、この物語はそんな視点をおかず、0人称ともいえる相手に対して、関係者が証言するというスタイルで展開する。

 その視点があるときは記者、あるときは刑事、あるときは関係者だったりするのだが、その人物は登場しない。

 つまり、観客や読書が直接、彼らから証言を聞くという形で物語が進み、事件が解き明かされて行くのである・・・・。
 
 

(つづく)


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映画「理由」について(1)原作・宮部みゆき 2005/9/10 [第二五章 衣装合わせⅡ]

 「理由」は宮部みゆきの原作を、歪めずにほぼ同じ形で映画化した作品である。

 大林監督は台詞の一語一句まで変えず、原作を大切にした。それでいながら、ちゃんと大林ワールドを構築、これまでの作品の集大成のような作品となっていた。

 僕が「ストロベリーフィールズ」で劇場映画を初監督とすることを知った大林監督が、勉強のためにメイキング担当として呼んでくれた作品でもある。

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 そのときの話は以前、この日記でも少しばかり紹介した。

 あの映画に参加できたこと。今も本当に貴重な体験だったと思える。


 その「理由」を題材に、衣装合わせのときに並木史郎さんとお話した。

 映画を見るか、原作を読んでいるかしている方なら、このあとと話もすぐに分かってもらえるだろう。

 だが、映画も小説も未見。或いは、忘れている人もいるので、簡単に物語を紹介する。


(つづく)


*映画「ストロベリーフィールズ」クランクインまで、あと1週間! 




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衣裳合わせ/2日目 並木史郎さん 2005/9/11 [第二五章 衣装合わせⅡ]

 ベテラン俳優の並木史郎さん。

 今回は主人公・夏美(佐津川愛美)が通う高校の学年主任・長塚先生を演じて頂く。

 その並木さん。つい、この間までリメイク版の「日本沈没」に出演されていたという。そして以前参加された作品には、僕も参加していたものがある。

 大林宣彦監督の「理由」。(撮影は今から2年前。2003年だった)

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 元・七曲署のテキサス刑事こと、勝野洋さん演じる主人公の友人役で、子供を持つサラリーマンの苦労を見事に見せておられた。

 僕はメイキング担当。が、残念なことに、並木さんが出演された頃は別の仕事で参加できず、何日か遅れて参加。

 そのために撮影現場で並木さんとは、お会いできなかった。が、別の人が撮ったメイキング映像で並木さんの芝居を見る事ができた。

 ベテランの風格漂う演技、見せてもらった。お会いするのも楽しみにしていた。

 衣裳合わせのあと、今回の映画「ストロベリーフィールズ」のあり方と、並木さんに演じてもらう長塚先生の意味について、打ち合わせ。

 そこで「理由」が有効となった。というものテーマとして、ダブるものがあるからだ・・。

(つづく)


*映画「ストロベリーフィールズ」クランクインまで、あと1週間!



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