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撮影初日(三)俳優登場 ブログトップ
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Tシャツと上履き(下)素足はつらいよ 2005/9/17 [撮影初日(三)俳優登場]

上履きーm.jpg

 上履きは縁起をかつぐものではないが、学校なので土足厳禁。撮影時は皆、クツを脱いで、来客用のスリッパに履き替える。

 でも、それでは早く歩けない上に、パタパタと音がしてしまう。結局、スタッフはスリッパを脱ぎ、靴下のまま走り回る。

 以前、この東陽中学で撮影したとき、僕もそうした。が、それだともの凄く足が疲れる。床が板張りで固いせいもあり、朝から仕事をすると、昼頃にはもう足が重くて仕方なくなる。

 午後には座ったまま演出したくなる。足は痛いし、立ってられない。演出にも専念できない。日頃はスニーカーが、足を守っていたということだ。

 で、今回はバレーシューズを用意した。小学生時代に履いていたようなやつ。これなら廊下も教室もOK。渡り廊下のような下がコンクリートでも大丈夫。

 間違えて他のスタッフに履かれないように、「OTA」と名前も書いておいた。

(つづく)


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Tシャツと上履き(中)インディ・ジョーンズの帽子? 2005/9/17 [撮影初日(三)俳優登場]

 カウボーイハットではない。インディ・ジョーンズが被っているのと、同じもの。

 LA留学時に買ったもので、ここぞというときにのみ被る。

インディ帽.jpg

 また、撮影チームはたくさんのスタッフがいる。「監督はどこだ!」といちいち探さなくても、分かるようにしたい。

 野球帽は皆被る。が、1940年代に流行ったステットソンを被っている人は、まずいないので目立つ! これは以前参加した作品で、学んだこと。

 ハリウッド製時代劇「GAIJIN/外人」。撮影に参加したとき、監督のイブ・シモノーさんはいつもグリーンのジャンパーに、グリーンの帽子だった。

 緑が彼のトレードカラー。撮影のときはいつも、その色で服装を揃えるそうだ。

 それにより多くのスタッフ(アメリカ作品なので100人以上)の中で、イブ監督を探すときには、緑色を探せばすぐに見つかるということ。

 大したことではないと思えるかもしれない。が、とても重要。「監督がどこにいるのか?」分からなくて連絡が遅くなり、そのために撮影ができなくなることもあるからだ。

(つづく)


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Tシャツと上履き(上)ここぞというとき! 2005/9/17 [撮影初日(三)俳優登場]

以下の写真。この日の僕の服装。

サムガールズーs.jpg

 まず、Tシャツ。ここぞ!というときには(って、撮影しかないのだけど)、アメリカ留学時代に行ったロック・コンサートで買ったものを着る。

 ブルース・スプリングスティーン。ドゥビーブラザース。オールマン・ブラザース・バンド。ジャクソン・ブラウン。ビーチボーイズ。ジョン・リー・フッカー。

 と、1日に1着着ても、撮影の間中、毎日別のものを着れるだけの枚数がある。

 本日はクランクイン。初日ということもあって、やはりローリングストーンズ!

 その中でも、派手派で元気な「サムガールズ」のときのシャツにした。

 そして、帽子はステットソンだ!

(つづく)


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渡り廊下の撮影(4ー終)絵コンテの解説 2005/9/17 [撮影初日(三)俳優登場]

 まず、渡り廊下の暗いところからスタート。

 <カット1>
 夏美(佐津川愛美)がトボトボと歩く。明るところまで来て、ふと左上を見る。

シーン2カット1ーm.jpg
渡り廊下の内側.jpg
  夏美ー渡り廊下.jpg

 <カット2>
 空には大きな入道雲。これはあとで撮影。この日、あまりいい雲は出てなかった。すでに風景撮りでも、かなり撮っているので、その中から選ぶ。

シーン2カット3.jpg
入道雲ーs.jpg

 <カット3>
 夏美、渡り廊下から中庭に飛び出して、8ミリカメラを取り出して撮影。

 このカットはイントレという高い台を用意。2階くらいの高さから「俯瞰撮影」。空を流れる雲の視点で、小さく、孤独な夏美を見つめている絵にした。

シーン2カット2.jpg
11653164.png

<カット4>
 夏美、撮影し終えて、カメラを下ろす。撮影の瞬間は夢中になれるが、すぐまた淋しい高校生の現実に戻り、やりきれない表情。

シーン2カット5.jpg

 以上の3カットを撮影。難しいシーンではないが、台詞がない表情だけの演技なので或る意味ではむずかしい。

 が、佐津川愛美の表情はとてもよかった。

 「淋しさ」ー>「ときめき」ー>「素敵な雲を撮影できた喜び」=>「孤独な現実に戻る」

 それぞれの気持ちを、言葉ではなく表情だけで表現。なかなか、出来る子だ。

 さて、このシーンはOK。次は、いよいよ、教室シーンの撮影。

 谷村美月、芳賀優里亜、東亜優と、いちご娘が全員登場する!

(つづく)

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渡り廊下の撮影(3)絵コンテ 2005/9/17 [撮影初日(三)俳優登場]

 いよいよ、本番。ガンガン撮るぞ! 

 このシーンでは以下のコンテのカットを撮影。

 まずは見てほしい。

シーン2コンテーs.jpg

(つづく)
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渡り廊下の撮影(2)テスト!  2005/9/17 [撮影初日(三)俳優登場]

 それぞれのパートの準備ができると、テスト。

 (映画の世界ではテストというが、リハーサルと言った方が分かりやすいかも)

 カメラはちゃんと役者の動きを撮れるか? 照明は光と影が作れるか? 録音部は音をしっかり拾えるか? 等をテストで確認。

塩じい.jpg

 佐津川愛美は自分なりに考えた、夏美の動きを実践する。

 「よーい! スタートぉ!」

 夏美役の佐津川。エキストラの生徒。カメラの後ろに控える30名のスタッフが一斉に動き出す。

 佐津川。明るい場所まで来て、ふと空を見上げる。笑顔。そしてフレームアウト。

 「カーーーーーーーーーートぉ!」

 問題はない。いい感じだ。いよいよ本番!

(つづく)

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渡り廊下の撮影(1)俳優に動き方の説明 2005/9/17 [撮影初日(三)俳優登場]

 主人公・夏美役の佐津川愛美に、動きを説明。

 「この渡り廊下。登校して来た夏美が歩いて来る。この辺の明るい場所まで来たときに、ふと空を見上げると、素敵な雲が出ている。(と、渡り廊下から空を見る)んーー今日も出ているね。あの辺の雲を見て立ち止まる(と指差す)」

渡り廊下の内側.jpg

 「雲はあとで撮影するけど、夏美はそれを見て急に笑顔になる。そして、この渡り廊下から中庭に出る。ここまでの動きがファースト・カット。いいかな?」

 と、実際に一緒に動きながら、説明した。佐津川は元気よく「はい。分かりました!」と答える。

監督と佐津川.jpg

 スタッフもその様子を見ている。カメラマンは、僕と佐津川が渡り廊下を歩いて行くときに、正面からそれを見ていた。僕らが前進すると、彼はバック。カメラの動きを把握する。

 照明部。録音部。光や音をどうするか?と思いながらも、どこに機材を置けば、画面に写らないかも考える。

 演出部は佐津川とすれ違う、エキストラ役の生徒たちの動きを考える。

 それぞれのパートが、それぞれの持ち場を考える。そして、レフ板を構え、カメラ位置を決め、マイクを下ろす。皆の準備ができるとテストだ!

(つづく)

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タグ:佐津川愛美
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大人はわかってくれない?(8ー終)十代の感覚を大切にする演出 2005/9/17 [撮影初日(三)俳優登場]

 今回の「ストロベリーフィールズ」のシナリオ。

 幸い、若い子たちの共感を得た。理由を考えてみると、思い当たることがある。

 僕はよく言われる。

 「子供っぽい!」「30才を超えたのに、まだ10代のようなことを言ってるの?」「お前はいくになっても成長しない!」

サラリーマんBW.jpg

 だが、ある先輩はこう言う。

 「もし、お前が会社員なら問題。だが、映画の世界では、それは武器。子供っぽいということは、子供の気持ちが理解できるということ」

 そういえば、僕は未だに「大人は信用できない・・」と言ってしまう。もう、40代も半ばなのに。

 あと、尾崎豊の歌を聴くと今も共感してしまう・・。

 「だから、あんなに10代から支持されるシナリオが書けるんだよ。

 ま、映画監督に向かって大人になれと言う奴も、問題だよな? スピルバーグだって、ルーカスだって未だに子供だよ。だから、あんな映画が撮れるんだ」

 先輩はそう言ってくれる。ちょっと安心した。

 ただ、40代になると、どうがんばっても、時代を察知するアンテナが錆びてくる。僕も頭の固いオヤジたちと同じように、過去の価値観に縛られ始める。

 正しいと思って決断しても、時代を逆行することもあるだろう。撮影現場で僕の思いを通せば、10代の俳優の感覚を踏みつけてしまうかもしれない。

 感性のアンテナは、いつの時代も若い人の方が鋭い!

 だから、出来る限り、佐津川愛美や谷村美月たちの「10代の感性」を大切にして演出したいと考えた・・・。

(つづく)


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大人はわかってくれない?(7)理解しない大人たち 2005/9/17 [撮影初日(三)俳優登場]

 今回の「ストロベリーフィールズ」のシナリオ。10代20代の感想は、こうだった。

10169360.jpg

 「感動しました!」「泣きました!」

 対して、35才以上の男性はほとんどこうだった。

 「いまどき、こんな子はいない!」「若い連中は、こんな物語では感動しない!」

 否定され続けた。が、両者の意見を比べる一目瞭然。要は大人たちが子供の気持ちを、理解していないということ・・。

 「私は感動できなかった。でも、子供たちはどう思うか? わからない・・」

 それなら分かる。でも、おじさんたちは「若い奴らは、こんな物語では感動しない」と言い切る人が多かった。
 40歳、50歳の親父たち。なぜ?10代の気持ちが分かったつもりになっているのか?

 理由は先に説明した通り。年を取り新しいことが、理解し辛くなる。なのに、自分には「知識」と「経験」があると思っている。
 現実を把握していると勘違い。簡単にいうと知ったかぶりになっている。本当は分かってない。

 雑誌やテレビ。センセーショナルな10代の事件を報道。若い世代に対して日頃から否定的。

 「やっぱり、今時の子はそうだ・・」

 と思い込む。頭が固くなっていて、現実を把握できない・・・。なのに分かったと思ってしまう。

 だから、実際の10代20代には「ストロベリーフィールズ」のシナリオは支持されたのに、おじさんたちはこう言い続けた。

 「今時の子供はこうじゃない! こんなもので感動するはずがない!」

 (つづく)

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大人はわかってくれない?(6)アイティ&イット 2005/9/17 [撮影初日(三)俳優登場]


 当時、森首相が「IT(アイティー)」を「イット」と読んでしまった。

 そんな彼がニュース番組の取材中、パソコンを前にして質問をする。

  「これはテレビなの?」

 そしてテレビを前にして・・

 「これもパソコン?」

  関係者は苦笑した・・。でも、おじさん族の戸惑いがよく分かる・・。

 過去の「経験」にないものを把握することは苦手なのだ・・・。

 つまり、時代が変化。移り変わりが激しい現代、おじさんたちはどんどん置き去りにされるということ。

 ただ、パソコンはマニュアルがある。

 でも、若い子たちの「思い」を知る解説書はない。

 おじさんたちが理解でないのは、当然だろう・・。

11008285.jpg

 なぜ、そうなるのか? 

 簡単にいうと、「脳の老化現象」

 新しいことを受け入れられなくなり、(特に男性がその傾向が強い)直面した事実を「過去に蓄積した知識」や「古い価値観」で把握しようとする。

 だから、時代から取り残されて行く。

 そして良かれと思ってやったことが、実は時代と逆行したことだったりする。

 当然、そんな人たちに10代、20代が共感。感動する映画が作れる訳がない。

 80年代の日本映画。時代錯誤な「青春映画」が多かった背景がそれ。

 そして、今も近い部分があるのだ・・・。

(つづく)

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