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撮影初日(五)聖林式? ブログトップ
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撮影について(8)頭の固い人々 2005/9/17 [撮影初日(五)聖林式?]

 映画界では、今もこう思う人が多い。

 「映画はカメラが1台で十分。完成形を想像、計算して撮る。無駄なものは撮らない。それこそが正当な映画撮影である」

 その発想。歪んでいると感じていた。

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 貧しくて2台のカメラが2台使えないのではない。1台で十分だと言う意味。

 経済性だけでなく、心まで貧しくなっているような気がする。

 金がなくて腹一杯メシを食えないのに、強がって「俺は腹へってないから、食べたくない」と言っているような状態。

 いや、それならまだ本音は、メシを食いたいのだ。

 が、先のような撮影法をする映画人たちは、予算が少ないので仕方がなくしているのではなく、「これこそが正当派で、伝統的な日本映画の撮影法なんだ」と信じ込んでいる。

 致命的な気がする・・。

(つづく)

 

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撮影について(7)演技のし易さ 2005/9/17 [撮影初日(五)聖林式?]

 そして一番大切なのは、俳優の演技のし易さである。

 長台詞で次第に気持ちが盛り上がり、最後には涙を流すシーンがあったとする。

 これは一気に演じないと難しい。途中まで撮影して、次に別の角度から涙を流すところ撮ってとか言われても俳優は演じにくい。

  気持ちというのは繋がっていて、涙というのはすぐに出るものではない。

風景撮り.jpg

 また、泣いて目が赤くなったあとに、それ以前のシーンを演じろと言われても、腫れが引くまでは無理。  

 そんなときも複数のカメラがあれば、その演技を頭から最後まで捉えることができる。俳優も演じ易いし、いい芝居ができる。

 複数のカメラでの撮影には以上のような利点があり、ハリウッドではそれを常識として映画作りをしている。

 ところが、日本では基本的にカメラは1台。なぜか? そこには映画人がどうすることもできない大きな壁があった。

(つづく)
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撮影について(6)危険な撮影 2005/9/17 [撮影初日(五)聖林式?]

 編集時に動きが、繋がらなくなるのだ。

 1回目は右にいた人が、2回目では微妙に左に? 現場では気づかないがフィルムを繋ぐと、その人が瞬間移動していることさえある。

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 これも複数のカメラで撮っておけば、同じ演技を撮っているので、繋がらないということは絶対にない。

 さらに、難しい演技とか危険な演技で2回、3回撮れないものもある。

 滝壺に高いところから飛び込むシーンとか、燃え盛る家に入るシーンとか本当に危険なことをする演技。

 これらも複数のカメラで撮っておけば、迫力あるシーンを1度で押さえられる。

 そして一番大切なのは、俳優の演技のし易さである!

(つづく)
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撮影について(5)爆破シーンでの利点? 2005/9/17 [撮影初日(五)聖林式?]

 が、それだと1つのシーンにつき、7回も撮影せねばならない。

 台詞を間違えてNGを出すこともあるから、当然7回以上となり、もの凄い時間がかかる。

 でも、カメラを2台使っていれば、同じことを3回することで、6回分が撮れて効率的。3台で撮ればもっと早い。

10939361.jpg10939361.jpg

 撮影時間が短縮される。それがハリウッドの撮影方式だ。時間の節約ばかりではない。

 例えば爆発のシーンとかだと、1回爆発をさせるために大量の火薬が必要。危険だし、費用もかかる。

 そんなときも数台のカメラで撮影しておけば、1度の撮影でいろんなカットが撮れる。

 経済的。カメラ1台で撮るより編集時により、迫力のある爆破シーンになる。

 3番目の理由は、俳優の演技。やはり、何度も同じ演技をしていると微妙に違って来る。

 特にアクションは動きが激しいので、そのたびに動きやスピードが違ってしまうことが多い。

(つづく)

関連記事?=>http://ameblo.jp/4609/entry-10115325500.html#cbox



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撮影について(4)「スタンド・バイ・ミー」 2005/9/17 [撮影初日(五)聖林式?]

 そして編集で、一番いいカットを選んで繋いで行く。

 それによりテンポやリズムを作る。 スピード感や圧迫感など、さまざまな表現もできる。

入道雲ーs.jpg

 例えば、アメリカ映画「スタンド・バイ・ミー」

 登場する4人の男の子(そういえば「ストロベリー」は女の子版「スタンドバイミー」かも?時代も60年代で、仲間の話!)が隠れ家で会話するシーンがある。

 何度、撮ったか数えてみた。

 まず、4人の子役が、1人ずつ写ったカット。(それだけで4回)

 それ以外に、3人が同じ画面に入ったカット、

 2人だけが入ったカット。

  4人とも入ったカットがある。

 全て合わせると、そのシーンは最低でも頭から最後まで通しで、7回は撮影していることになる。

 それだけのカットがあるからリズムがあり、テンポがある。4人の子役たちの表情も全部見せることができる。

(つづく)

「ストロベリーフィールズ」写真館=> http://pht.so-net.ne.jp/photo/albums/invited/ppttz15pr9nj5zh4vrhi




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撮影について(3)ハリウッド式撮影 2005/9/17 [撮影初日(五)聖林式?]

 それがハリウッド式になると、こうだ。

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 各カットをいろんな角度から何度も撮影する。右から左から、アップ、ワイド、ロングと何ショットも撮る。

 例えば、喫茶店に入って来る主人公の部分。

 店内全体を写して、引き絵で撮影。次にドアを開けて入って来る主人公をアップで撮影。

 さらに、手持ちカメラで主人公が入って来るのを撮影。

 そして、彼女の肩越しに入り口から入って来る主人公を撮影・・・。

 と、さまざまな角度、場所、サイズで何度も撮影をする。

 こうして撮っておくと、いろんな種類のカットができる。ここが日本映画と違うところ。

 編集では何種類もあるカットの中から、一番ベストなものを選び、繋いで行く。 これにより、いろんなパターンの編集が可能になる。

 日本映画の完成形は1つだが、ハリウッド式だと無数の可能性が作り出せる。

(つづく)

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撮影について(2)日本映画の場合 2005/9/17 [撮影初日(五)聖林式?]

 こんなシナリオがあったとする・・。

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_________________________
 主人公・義男。喫茶店に入って来る。
 すでに席に着いている彼女を見つけて、その前に座る。
 黙って紙袋を渡す。
 彼女、不思議な顔をするが、開けると誕生日プレゼント。笑顔。
 義男も笑顔。ふと窓外を見ると大きな入道雲。
__________________________

 これを監督が「カット割り」といって、何回に分けて撮影するかを決める。

 例えば1行づつ5つに分け、5カットとする。それぞれを以下のように撮影。

 「全体の引き絵」「主人公のアップ」「切り返して相手役のアップ」「主人公のアップ」「入道雲」

 この場合。最初と最後のカットは続けて撮れるので、4つのショットで撮影は済む。

 この場合。編集はNG抜きをして、物語の展開順にOKカットを繋いで行くと完成。でも、ひとつのパターンしか編集はできない。

 これが日本映画の伝統的な撮り方。

 それがハリウッド式になると、こうだ・・・。

(つづく)



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撮影について(1)ハリウッド式の撮影 2005/9/17 [撮影初日(五)聖林式?]

 
 簡単にいうと、太田組方式というのは、「ハリウッド式撮影」と「アメリカン・ニューシネマ式撮影」の混合だ。

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 と書くと、もの凄いことだと思えるかもしれない。

 それに今回は低予算作品。「高額な製作で作られるハリウッド式ができるのか?」と疑問に思うだろう。

 が、可能。巨額な製作費も必要ない。そこでハリウッド式撮影法とは何かを紹介しよう。

 と思ったが、その前にまず、日本式の撮影法から説明し比較した方が分かりやすい。

 日本映画の伝統的な撮り方は、必要な部分のみ撮影する。

 基本は台詞をしゃべる俳優を撮り、聞いている相手役の顔は「うん」「そうだね」とか台詞で応える部分のみを撮影。

 それに対して、ハリウッド式は1つのシーンをいろんな角度から何度も撮影する。

 台詞があろうが、なかろうが撮る。同じ演技をいろんなサイズで撮る。

 具体的に書こう。こんなシナリオがあったとする・・。

(つづく)


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「ストロベリーフィールズ」で実践する撮影法とは?(下) 2005/9/17 [撮影初日(五)聖林式?]

 では、太田組式撮影法とは何か?

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 映画監督というのは、それぞれに独特の手法を持っている。

 それによって、人が真似をできない独自のスタイルを作り出す。

 黒澤明監督なら、望遠レンズとパンフォーカスで撮られた厚みのある画面。

 小津安二郎監督なら、フィックスしたカメラで描く日本の美。

 単にカメラや技術のことだけではない。

 伊丹十三監督は、俳優の芝居に対して事細かな指示を出す。台詞も全て正確にいわなければならない。

 それに対して俳優にはアドリブを要求。現場で台詞をバンバン変えて行く監督もいる。

 さまさまな監督がいる中、僕のやり方はこうだ。

(つづく) 


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「ストロベリーフィールズ」で実践する撮影法(中) 2005/9/17 [撮影初日(五)聖林式?]

 それでなくても教室シーン。その他、大勢も撮らねばならない。

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 でも、それによって佐津川愛美、谷村美月、芳賀優里亜、東亜優ら、本物の10代の感性を逃さず捉えたいのだ。

 僕が要求した部分だけを捉えるのではなく、全てを捉えた中から、予期しないきらめきを選び出すのである。

 以前にも書いたが、単にカメラの前で演技するのではなく、少女たちの成長そのものを捉えようという発想。

 また、あの4人は、素晴らしい素質と実力を持っている。僕が期待していないものも出てくるだろう。

 それを従来の映画的な論法に押し込めては、それを引き出せないと考えた。

 では、そのためにはどうすればいいのか?

 そこで生きてくるのが、太田組式の撮影法である!

(つづく)
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