ここまでのまとめ(下) 2005/9/18 [撮影3日目(二)排水口]
と書いても、イメージしにくいと思う。
完成したものを見てもらうと「なるほど!」と思ってもらえるのだが、言葉では表現しにくい。
簡単にいうと、今回撮った場面を2つに割り、別々のシーンで使用するということ。
それが物語の奥行きを表現し、より心に響くという演出。
シナリオ執筆時には想定していなかったことだが、映画レベルを上げる展開で満足。
また、8ミリというのが、今回の背景である昭和40年代を感じさせ、ノスタルジックな雰囲気。醸し出しはずだ。
(つづく)
ここまでのまとめ(上) 2005/9/18 [撮影3日目(二)排水口]
無事に、記念写真の場面前まで撮影。
ここまでの部分。1カット1シーンではなかったが、かなり長く撮った。
編集時を、これを2つに分けて使う。
後半の応援練習と、美香(東亜優)がしゃもじをマイク代わりにして、マキ(谷村美月)にインタビューするシーンは予定通り、シーン7として使う。
前半の鉄男(波岡一喜)を皮切りに、マキ、美香(東亜優)、理沙(芳賀優里亜)、京子先生(伊藤裕子)が集まってくるシーン。
これは少しあとの8ミリ上映会のシーンとして、白黒にして使用する。
本来は後半の部分を白黒にして、見せようと思っていた。が、8ミリによって時間の流れを遡ることができる。
同じ部分を繰り返して見せるのではなく、先のシーンでは見せなかった場面を見せることでより奥行きが出るだろう。
(つづく)
マキの応援シーン撮影/本番(3)波岡君、活躍! 2005/9/19 [撮影3日目(二)排水口]
本日の撮影を見ていて気づく。
アドリブが苦手な人。アドリブが初めての人。
自由にやっても、自分の役を計算し演じる人。
自由になると、役を自分に近づけて演じる人。
今回のレギュラーメンバーの特性。よく出ていた。
そんな中、波岡一喜君。昨日に続いて活躍。
子分たちが応援の練習をするところに乱入。一緒に踊ったりしていた。
しかし、それも彼の計算で、エキストラの若者を盛り上げようとする気遣い。
途中でマキの頭を撫でたり。いろんなことをしてくれる。
物語的にも絵になってプラスだが、緊張している新人俳優やエキストラのみんなをリラックスさせる意味もあるのだ。
波やん。本日も感謝!
(つづく)
タグ:波岡一喜
マキの応援シーン撮影/本番(2)俳優の特性 2005/9/19 [撮影3日目(二)排水口]
が、俳優にもいろいろいる。
アドリブを言わせると、うまい人。
本番1度きりならうまいが、何度も演じるとテンションの下がる人。
台詞はダメだが、表情がいい人。
いろんな俳優さんがいる。
それぞれに、いろんな手法のときに実力を発揮する。
今日のような方式で撮影すると、それがよく分かった。
(つづく)
マキの応援シーン撮影/本番(1)伊丹映画 2005/9/19 [撮影3日目(二)排水口]
先にも書いた。
俳優というのは基本的に与えられた台詞を、監督の指示に従い動く。そして話す。
故・伊丹十三監督。その辺に実に厳しかった。
台詞は「〜が」「〜を」「〜は」という部分さえ間違いを許さない。
一字一句正確に言わないと、OKを出さない。
また、立ち位置。動きにも厳しく。「ここからこう来て、この場所で台詞前半」
「ここで振り返り***を手にして、次の台詞」
てなことを指示する。
かなり優秀な俳優でないと、それら全てをクリアーできない。
だから、伊丹映画はベテラン俳優がズラリと並ぶ。
今回、僕がやる手法は、その正反対かもしれない・・。
(つづく)
俳優というのは基本的に与えられた台詞を、監督の指示に従い動く。そして話す。
故・伊丹十三監督。その辺に実に厳しかった。
台詞は「〜が」「〜を」「〜は」という部分さえ間違いを許さない。
一字一句正確に言わないと、OKを出さない。
また、立ち位置。動きにも厳しく。「ここからこう来て、この場所で台詞前半」
「ここで振り返り***を手にして、次の台詞」
てなことを指示する。
かなり優秀な俳優でないと、それら全てをクリアーできない。
だから、伊丹映画はベテラン俳優がズラリと並ぶ。
今回、僕がやる手法は、その正反対かもしれない・・。
(つづく)
タグ:伊丹十三
マキの応援シーン撮影(14ー終)鉄男子分の場合 2005/9/19 [撮影3日目(二)排水口]
逆に、決められた台詞や動きだと、苦戦する鉄男の子分たち。
こちらは「自由にやっていい!」というと、悪のりして大はしゃぎ。
でも、それが・・・。
「鉄男兄貴の妹分・マキちゃんが大会に出る!」
という、大喜びの感じに見える!
よし! これで行ける!!!
(つづく)
マキの応援シーン撮影(13)マキの場合 2005/9/19 [撮影3日目(二)排水口]
あと、マキ(谷村美月)や美香(東亜優)。そして理沙(芳賀優里亜)。
土手から河原に降りてくるところ。
急斜面で危険。降りやすいコースを決めた。
ここで滑って落ちたら、大怪我!
決めごとはしたが、あとは自由。
1度、リハーサル。俳優たちは皆、緊張気味。
こんなスタイルの撮影なんて、なかなかない!
通常、俳優は決められたことをするのが仕事。「自由にやれ」と言われると、結構大変なのだ。
でも、例えばマキの場合・・・。
この風変わりな撮影での「戸惑い」が、あったとする・・。
けど、それは観客から見ると、大会に出るという「緊張感」に見えるはず。
「思いもかけず、クラスメートや鉄男の子分たちが、応援に来てくれた」
そんなマキの「戸惑い」にも重なる。
俳優の戸惑いさえも、リアルな芝居に見えるのだ!
(つづく)
マキの応援シーン撮影(12)2005/9/19 [撮影3日目(二)排水口]
まず、段取り。流れをスタッフ&キャストに説明!
夏美役の佐津川愛美。8ミリカメラを構える。
その後ろに、本物のカメラマン。
佐津川には「自由に話して!」と伝えてある。
「今日の調子は、どうですかあ?」とかいうと、相手がそれに自由に答える。
もちろん、役になり切った上で。
ただ、このスタイルだと、夏美が画面に映らない。
で、撮影者が分かるように、途中で鉄男役の波岡一喜君、
「夏美。カメラ貸せ! 俺も撮りたい!」
といってカメラを渡す。
それによって鉄男が夏美を撮る。
佐津川愛美も、画面に出るという流れにする!
(つづく)
マキの応援シーン撮影(11)2005/9/19 [撮影3日目(二)排水口]
多少、動きが違ってもいい。
決められたことだけをやるのではない。
自分で考えて、役になり切って好きにやってもらう。
それによってマキを大会に送り出す仲間たちが、盛り上がる感じをリアルに表現したい。
幸い、演出部と美術部。たくさんの応援グッズを用意してくれている。
「マキ」「勝利」「がんばれ」というプラカード。大太鼓。旗。
それらを使って、実際に応援をやってもらうのだ!
(つづく)
マキの応援シーン撮影(10)8ミリの目 2005/9/19 [撮影3日目(二)排水口]
つまり、鉄男(波岡一喜)がやって来るところから。美香(東亜優)がマキ(谷村美月)にインタビューするところまで。
全てを中断せずに、8ミリカメラからの見た目として一気に撮るのだ。
俳優たちには、特に台詞を渡さない。
河原に降り立つまでのコースと、最終的な立ち位置だけを伝える。
あとは自由に演じてもらう!
(つづく)
マキの応援シーン撮影(9)夏美のカメラから? 2005/9/19 [撮影3日目(二)排水口]
基本的に1シーン1カット、好きではない。
が、今回は或る意味で、そういうことかもしれない。
といっても、カメラを置いて、延々と撮影する、1シーン1カットではない。
あれは手抜きとしか思えない。
撮影する方は或る意味で楽だが、見る方は苦痛。舞台中継のようなで、映画的はない。
この場面。通常の1カット1シーンではない。
夏美の8ミリカメラを利用。そのフレームから見た風景という形で撮影する!
(つづく)
マキの応援シーン撮影(8)1カット1シーン? 2005/9/19 [撮影3日目(二)排水口]
「え! それは長過ぎない?」
映画作りをよく知っている人が聞くと、そう思うかもしれない。
「てことは・・・相米慎二監督のように1カット1シーン?」
そう言われるだろう。
解説すると、通常1つのシーンはいくつかのカットに割る。
1カットが終わるたびに、カメラ位置を変えて撮影する。
が、「1カット1シーン」は、1つのシーンをカメラを途中で止めずに、最後まで撮ってしまうやり方。
「セーラー服と機関銃」「台風クラブ」の相米慎二監督の多様する手法として有名だ。
(つづく)
マキの応援シーン撮影(7)プラン変更! 2005/9/19 [撮影3日目(二)排水口]
演出プラン。急遽変更した。
シナリオにない部分も作り、撮影の段取り説明を開始。
本来は集合場所である排水口に、全員が到着しているところからスタート。
マキ(谷村美月)を送り出すところまでを撮影する。
それを「皆が集まって来る」前からスタートとした。
最初に来ているのは夏美(佐津川愛美)。いつもの8ミリカメラを持っている。
そこに鉄男(波岡一喜)がやって来る。そして子分たち。
そして、応援の練習を始める。
さらにマキ。美香(東亜優)。理沙(芳賀優里亜)。京子先生(伊藤裕子)が到着。
そこからシナリオ通り、美香がマキのインタビューを始める。
ここまでを通して撮る!
(つづく)
マキの応援シーン撮影(6)若者パワー? 2005/9/19 [撮影3日目(二)排水口]
それが今朝、エキストラに参加してくれた若者たち。
彼らを見て感じた!
皆、元気で、パワーがある。地元で映画が撮影され、出演する。
そのドキドキ感。同時に、ワクワク感!
それとマキ(谷村美月)の応援に来た鉄男(波岡一喜)の子分、という役柄が重なる。
これを大切にしなければ・・。
単なるエキストラとして、参加してもらうだけではもったいない!
(つづく)
マキの応援シーン撮影(5)ニューシネマ方式 2005/9/19 [撮影3日目(二)排水口]
映画で消えた「青春感」も同じ。
「決められた台詞」と「決められた動き」が、青春の輝きを消してしまったのだ。
では、そのドキュメンタリーならでは「リアリティ」。ドラマに取り入れることはできないのか?
そう考えて気づいたのが、ニューシネマ方式である。
この手法の強さは、そこにあったのだ。
監督デビューしてからも、その手法を実践。
評版はよく「若い子たちがイキイキと描かれている!」と評価された。
その方式。このシーンでも有効だと感じる・・・。
(つづく)
マキの応援シーン撮影(4)リアリティ? 2005/9/19 [撮影3日目(二)排水口]
違いは何か?
映画では、俳優の「台詞」と「動き」が決められている。メイキングは自由に話し、自由に動く。そこだけだ。
とすると、全てを決まった通りにやることで、若い俳優たちから「キラキラとした青春ぽさ」が消えてしまったことになる。
裏返して言えば、決められた通りにやらない。自由に動けるというのは、ドキュメンタリーならではのもの。
出演者は一般の人なのに、涙が溢れる感動ものがある。難病患者の闘病記。親子の再会。戦争の傷跡。幼い子供がお使いに行くだけのドキュメントでも、感動する。
プロの俳優は出ておらず、脚本家が物語を作った訳ではない。でも、グッと来る。
それは虚構ではなく、本物を描くことの迫力。リアリティ強さ。それが心に届くのだ。
ドラマは本物には勝てない。どんな名演技よりも、本当の人生を生きる人の言葉が胸を打つのである。
(つづく)
マキの応援シーン撮影(3)キラキラ感? 2005/9/19 [撮影3日目(二)排水口]
ところが、その映画自体の評版。あまり、よくなかった・・。
「メイキングに出ていた。あのキラキラ感がまるでない! 青春してない!」
僕の演出が「本編より、よかった」ということではない。
こちらはドキュメンタリー。演出はほとんどない。
でも、俳優も一緒。皆、演技派の若者たち。芝居もうまい。
ロケ場所も同じ。
違うのは・・・?
(つづく)
マキの応援シーン撮影(2)青春ぽさ? 2005/9/19 [撮影3日目(二)排水口]
ニューシネマ方式。自主映画時代から実践していた。
が、その意味を新ためて知ったのは、業界で仕事を始めてからだ。
当時、「メイキング」の仕事をよくやっていた。映画撮影の舞台裏を記録する作品である。
若い俳優がたくさん出演した青春映画を担当。その作品は非常に評版がよかった。
「10代のキラキラした感じが出ていて、青春!という感じだった」
「何十年も前の、自分の青春時代を思い出した。ドキドキしていたあの頃が出ている」
ところが、その映画自体の評版。あまり、よくなかった・・。
(つづく)
マキの応援シーン撮影(1)一番悩んだ場面 2005/9/19 [撮影3日目(二)排水口]
本日のシーン。いろいろと考えた。
今回、一番、悩んだ場面である。
物語的には、それほど重要なところではない。
演技的にも、もっと重要なものがある。でも、僕個人はここだ。
「これじゃあ〜!」というものが見つからなくて、いろんなパターンを考えていた。
が、現場に到着。地元の若者たち、30人以上も集まってくれた。その姿見て・・。
閃いた・・・。
定番のドラマ撮影ではない。ハリウッド方式でもない。ここはニューシネマ方式で撮影すべき!
これまで何ヶ月もかけて考えたプラン。全て捨てて、あれで行く。
撮影は机の上で計算するだけではいけない。
現場の空気、風、雰囲気。それを全て包み込み、最大限の効果を引き出すことが大切!
ニューシネマ方式。以前にも書いたあれである。
この回で書いた!=>http://t-ota.blog.so-net.ne.jp/2008-08-16-1
(つづく)
今回、一番、悩んだ場面である。
物語的には、それほど重要なところではない。
演技的にも、もっと重要なものがある。でも、僕個人はここだ。
「これじゃあ〜!」というものが見つからなくて、いろんなパターンを考えていた。
が、現場に到着。地元の若者たち、30人以上も集まってくれた。その姿見て・・。
閃いた・・・。
定番のドラマ撮影ではない。ハリウッド方式でもない。ここはニューシネマ方式で撮影すべき!
これまで何ヶ月もかけて考えたプラン。全て捨てて、あれで行く。
撮影は机の上で計算するだけではいけない。
現場の空気、風、雰囲気。それを全て包み込み、最大限の効果を引き出すことが大切!
ニューシネマ方式。以前にも書いたあれである。
この回で書いた!=>http://t-ota.blog.so-net.ne.jp/2008-08-16-1
(つづく)