SSブログ
撮影5日目(二)夏美の家 ブログトップ
前の10件 | 次の10件

孤独を表現する方法(6)2005/9/21 [撮影5日目(二)夏美の家]

P1020143.jpg

 あの黒沢清監督も、同じ挑戦をしている。

 「アカルイミライ」では、フレームではなく、黒みの枠を作って、同じ車の中にいる2人を分けて画面に映し出した。

 車内にいる2人を普通に撮影すると、親密に見えてしまう。

 それを黒枠で分けることで、孤独感。理解がない関係。を表現している。

 車の中という同じ空間にいるのに、別の枠内にいる。

 そのギャップが悲しい。見事な表現法だった。

 そういった効果。気づかぬ人は全く気づかぬもの。

 だが、無意識に感じ取ることもある。

 そういう積み重ねが、感動や悲しみに繋がる。

 「撮影が早く済んだ方が、楽でいい!」

 という発想では、できない表現である。

(つづく)

_m_T-OTA-f299e.png
nice!(0) 
共通テーマ:映画

孤独を表現する方法(5)2005/9/21 [撮影5日目(二)夏美の家]


2604684

 それらを皆、同じフレーム内で納めると、何か仲間のような印象が出来てしまうのではないか?

 仲がいい関係に、見えはしないか?

 それをそれぞれが孤立しているように見せるなら、1度は「引き絵」で見せても基本的には「別のフレーム」で捉える。
 
 果たして、その効果が出るかどうか?分からないが、挑戦する。

 実は、それに近い方法論を実践しているのが、小津安二郎監督。

 彼も基本的にはフレーム内には俳優1人。同じフレームの中で2人の俳優が話をするというカットはほとんどない。


(つづく)

_m_T-OTA-f299e.png

nice!(0) 
共通テーマ:映画

孤独を表現する方法(4)2005/9/21 [撮影5日目(二)夏美の家]


2604688

 母、春美、夏美、そしてマキ、美香、理沙を全員、1人ずつ撮影する。

 これはもの凄く面倒。

 2台のカメラで撮影しても、3回撮らなければならない。

 単にそれぞれの表情を、見せるというだけではない。

 それぞれを別のフレームで捉えることで、それぞれが孤立していることも表現したいのだ。

 母と姉・春美。共に悲しみを抱える大人だが、理解し合っている訳ではない。

 マキ、理沙、美香。タイムリミットのある悲しい幽霊。

 でも、互いに反発し、理解しあっていない。

(つづく)

_m_T-OTA-f299e.png

nice!(0) 
共通テーマ:映画

孤独を表現する方法(3)2005/9/21 [撮影5日目(二)夏美の家]


 次によく使われるパターン。

 春美たちの「大人組」。夏美たち「子供組」に分けて撮影する。

母と春美.jpg

2577174

 先の1カットに対して、こちらは2カットに割るという方法。

 俳優たちの顔も多少は見やすくなるので、表情も分かる。

 「大人VS子供たち」

 という構図も伝わる。

 この手法も多く使われている。が、さらにもう一歩進みたい!

(つづく)

_m_T-OTA-f299e.png



nice!(0) 
共通テーマ:映画

孤独を表現する方法(2)2005/9/21 [撮影5日目(二)夏美の家]

2542092

 まず、日本映画でよく使う手を説明。

 春美帰宅から、妹に絡むところまで。全てを見渡せる場所にカメラを置き、1カットで撮影する。

 簡単にいうと、舞台中継のような感じ。

 これだと位置関係が分かりやすいが、引き絵になるので、それぞれの俳優の表情が見えにくい。

 が、このパターンはとてもよく使われる。時間をかけず、簡単に撮れるという側面も大きいだろう。

 カットを割ると、そのたびにカメラを動かして、照明もし直す必要がある。

 時間がかかり面倒。だから、このパターンを選びがち。

 しかし、舞台演劇を見せるのではない。映画だ。なのに、引き絵で延々と見せる。俳優の表情も分からないなんて最悪だ。

 僕が最も嫌いな日本映画の手法。同じことはしない!

(つづく)


_m_T-OTA-f299e.png
nice!(0) 
共通テーマ:映画

孤独を表現する方法(1)2005/9/21 [撮影5日目(二)夏美の家]

母と春美.jpg

 このあとの撮影。流れはこうだ。

 母(吉行由実)と姉(三船美佳)。部屋に入って来る。

 マキ(谷村美月)らの葬儀からの帰りという設定。2人とも喪服。

 振る舞われた酒を飲み過ぎて、姉・春美はかなり酔っぱらっている。

 「なぜ、そんなに酔うほど飲んだのか?」

 は、すぐに説明される。

 自宅に帰った春美たちを待っていたのは、妹の夏美(佐津川愛美)。

 マキたちは幽霊。母たちには見えない。
 
 酔った勢いで、春美は妹・夏美に絡む。

 ここまでのシーン。それぞれの俳優を別のフレームで捉えた。

 もちろん理由がある。少し専門的になるが、説明しよう。

(つづく)

_m_T-OTA-f299e.png

nice!(0) 
共通テーマ:映画

再び、大人と子供たちの対比表現 2005/9/21 [撮影5日目(二)夏美の家]

 さて、実力派女優2人の登場。

 ここで、いちご娘たちは移動。

 夏美(佐津川愛美)以外は、背景が抜けていなかった。が、

 ここで登場する大人の女性2人。夏美の母(吉行由実)と姉(三船美佳)。

 生きていはいるが、それぞれに暗い人生を送っている。

 それを表現するために、いちご娘たちは、窓を脊に全員が座る。

2577174

 大人の2人は、ふすまやタンスを背に座る。

2577176

 これで両者の対比、分りやすくなる。

 幽霊になったとはいえ、10代のマキ(谷村美月)たち。

 対して、現実の中で絶望しながら生きる大人たちの対比である。


(つづく)


_m_T-OTA-f299e.png
nice!(0) 
共通テーマ:映画

実力派女優VS新人女優たち(5) 2005/9/21 [撮影5日目(二)夏美の家]

夏美の家/3人.jpg

 さて、その前に、いちご娘たちのみの場面。

 ここも本日、一番で撮影したシーンと同じ形で撮影。

 夏美(佐津川愛美)の背景=>緑溢れる庭。生きているので未来がある。

 幽霊(谷村美月ら)の3人の後ろ=>襖とか、壁。詰まっていて、未来がないことを表現する。

 それによって、俳優たちが悩んでいる芝居をするだけでなく、

 行き詰まりを見る人に、伝えることができるはずだ。

 そんな配置で、まず、母(吉行由実)たちが帰って来るまでを撮影する!

(つづく)

_m_T-OTA-f299e.png


nice!(0) 
共通テーマ:映画

実力派女優VS新人女優たち(4) 2005/9/21 [撮影5日目(二)夏美の家]

監督&マキ父.jpg

 そんな場合、監督は・・。

 「少し押さえ目に演技して!」

 ということが多い。

 あとのシーンをそれ以上に盛り上げるためには、手前のシーンは抑えめにせねば効果が出ないからだ。

 でも、僕はそんなとき、逆に「いいぞ。もっといけ!」とか思ってしまう。

 止めるどころか、火に油を注ぐようなことをする。

 編集で「しまった・・・」と思うかもしれないが、魅力てな演技をする俳優を押さえてはいけない。

 全体の構成を考える以上の効果、発揮するはずだ。


(つづく)

「ストロベリーフィールズ」写真館/夏美の家篇
=>http://pht.so-net.ne.jp/photo/strawberry-photo/albums/144754

_m_T-OTA-f299e.png

nice!(0) 
共通テーマ:映画

実力派女優VS新人女優たち(3) 2005/9/21 [撮影5日目(二)夏美の家]

 そこに夏美の母と姉が帰って来る。

 演じるは、三船美佳と吉行由実。

 映画的に言うと、ここからは「演技派女優コンビ」VS「新人俳優チーム」である。

 今回の映画「ストロベリーフィールズ」。対決場面が何度もある。

 先に撮影した「マキの家」では、まず「飯島大介」VS「波岡一喜」があり、

 次に「飯島大介」+「波岡一喜」タッグチームVS「谷村美月」という対決があった。

親父3sBW.jpg花火2.jpg
マキの家/3人B.jpg

 ベテラン俳優 VS 若手実力派 VS 天才少女という構図。

 それが火花を散らせ、盛り上がる。

 谷村は、涙を流さなくてもいいシーンなのに号泣。

 壮絶なシーンとなった!

(つづく)

_m_T-OTA-f299e.png

nice!(0) 
共通テーマ:映画
前の10件 | 次の10件 撮影5日目(二)夏美の家 ブログトップ