三船美佳さんと春美(8) 2005/9 [撮影4日目(二)高山寺]
そう、三船さんはホントに素敵で性格もよく、可愛くて美形だが、怖い役もいいかもしれない!
でも、『リング』の貞子や『呪怨』の伽椰子とは違う、別の意味で怖い役がいいのではないか?
当時、すでに僕は「ストロベリー」の脚本を書き上げ、リライト中。そのホラーを担当する前後も、資金集めに走り回っていた。
キャスティングも考えていた。なので、三船さんの一言が突き刺さる。
主人公・夏美の姉、春美を三船さんが演じたらどうなるだろうか?
彼女のような大女優に出てもらおうとなんて考えたこともなかった。
が、単なる怖いお姉さんではなく、文学的な悲しみに満ちたLャラを演じてくれるのではないか?
そう思えたのである!
(つづく)
三船美佳さんと春美(7)貞子 2005/9 [撮影4日目(二)高山寺]
時間は前後するが、その撮影現場で実は閃くことがあった。
三船美佳は人気女優の役。本当に可愛くて、美人で、ぴったり。というか本物だし。
が、撮影とのき。三船さんは長い髪を前にもってきて、「リング」に登場する貞子のような髪型にして、
曲がり角からゆっくりと顔を出してきて「かんとく~ぅ」と言って脅かそうとしたりしていた。
三船さんはそんなふうに、冗談をいったりしてスタッフをなごませようとしたり、リラックスさせようとしたり、凄く気を使ってくれる。
こちらも合わせて、「わーーーー怖い!」と言ったりする。
と、三船さん
「怖がる役もいいけど、怖がらせる役もやってみたいんですよね」
という。たぶん、何の気なしに言ったと思う。
が、僕の中で何かが閃いた! 稲妻が頭を走り抜ける!
(つづく)
三船美佳さんと春美(6)キャロル [撮影4日目(二)高山寺]
矢沢永吉は昔、何度もコンサートに行き、「共犯者」までのアルバムは全て持っているのに、そのバンドは聞いたこともない・・・・
あーーー勉強不足の自分が悔しい!三船さんが解説。
「矢沢永吉さんたちは、そのバンドが大好きだったらしいんです。
でも、誰に聞いてもよく知らないっていうんですけど、太田監督なら知ってると思って!」
だが、本当に知らない。ロック野郎失格だ・・。
やはり、ロックンローラーの嫁は凄い。そのバンド。勉強するぞ!
そして撮影は再開。この話。実は「ストロベリーフィールズ」の撮影で続きが実現する!
(つづく)
三船美佳さんと春美(5)虎舞竜 [撮影4日目(二)高山寺]
「朝、お会いしたときから、気付いてましたよ! あっ、監督。ブルースのTシャツ着てるって!」
三船美佳さん。笑顔でそう言う。
「すげーなあ! ローリング・ストーンズならとにかく、よくスプリンスティーンで分かったなあ!」
と思うが、次の瞬間に全てを悟る。
そう、彼女の旦那はロックバンド・虎舞竜の高橋ジョージさんなのである。
そんなことから音楽の話になり、昼ご飯を食べながらずっとそんな話をしていた。
三船さんもロックに関してめちゃめちゃ詳しい! そんな中でこう聞かれた。
「あまり知ってる人はいないんですけど、監督は****ってバンド知ってますか?
矢沢永吉がいたキャロルがよくカバーしていたバンドで、コンサートでもよく演奏していたんですよ?」
知らなかった・・・
(つづく)
三船美佳さんと春美(4)スプリングスティーン 2005/9/21 [撮影4日目(二)高山寺]
三船美佳さんと春美(3)ランチ 2005/9/21 [撮影4日目(二)高山寺]
その撮影。3時間遅れでスタート。
が、主演の三船美佳さんの天才的な演技で、NGが1度も出ないで進んだ。
残りは日が暮れてから外での撮影。なのに陽はまだ高く、昼を過ぎたばかり。
仕方がないので昼飯時間を3時間(これもありえない!)取ることした。
で、控え室にいる三船さんを訪ね、後のシーンの打ち合わせをしていると、弁当が届く。
じゃあ一緒に!ということで、他の俳優さんも交えてランチとなった・・・。
(つづく)
三船美佳さんと春美(2) 2005/9/21 [撮影4日目(二)高山寺]
三船美佳さんと春美(1) 2005/9/21 [撮影4日目(二)高山寺]
三船美佳さんが出演に至った話。先に短く書いた。
が、せっかくなので、詳しく書く。
撮影の昼休みというと、ピクニックのようにスタッフや俳優が仲良くお弁当を食べるように思われがち。
和気あいあいと、冗談を言ったり、おやつを交換したり、何だかいい雰囲気。可愛い女優さんもいて、「あーー撮影っていいなあ!」みたいな?
映画業界を扱ったドラマでは、たまにそういう光景が出てくる。本当にそんな撮影もあるのかもしれない。
が、少なくとも監督たちは、弁当を食べる間も次のシーンの演出を考えたり、確認したりせねばならないので、楽しい食事と言う訳にはいかない。
スタッフは5分もかからず飯をかき込み、少しでも早く次の現場の準備をしようとする。映画人が食べるのは、もの凄く早い。
あっと言う間。食べているのか? 飲み込んでいるのか?分からない・・・。
(つづく)
三船美佳さん登場!(下)2005/9/20 [撮影4日目(二)高山寺]
通常、出演交渉はプロデュサーを通して行う。
だが、今回は僕が直接、事務所に連絡。お願いした。
「三船さんしかいない! ぜひ、出て頂きたい!」
思いを伝えた。御本人宛に手紙も書いた。
その後、三船さんはシナリオを読み、快諾。
出演してもらえることとなった。
その三船美佳さん。このお通夜の場面から登場である!
(つづく)
三船さん出演までの物語=>http://t-ota.blog.so-net.ne.jp/2007-12-30-18
三船美佳さん登場!(上)2005/9/20 [撮影4日目(二)高山寺]
そして、このお通夜シーン。
あの三船三船美佳さんが登場!
以前、僕が監督したテレビシリーズで、ご一緒したときから、
ぜひ、また、もう一度! と思っていた元祖天才女優。
その願いが、早くも叶った。
今回は主人公・夏美(佐津川愛美)のお姉さん・春美役。
「この役を演じたい!」と多くの女優さんからラブコールをもらった。
だが、かなり難しい役。誰にでも演じられる役ではなない。
三船美佳さんしかいないと思えていた・・。
(つづく)
三船さん出演までの物語=>http://t-ota.blog.so-net.ne.jp/2007-12-30-18
お坊さんも本物? 2005/9/20 [撮影4日目(二)高山寺]
お通夜でお経を上げるお坊さん。
この方も俳優ではなく、本物。
お経も実にリアル。いや、本物。
撮影時には実際に、お経を上げて頂く。
こんなふうに出演者が、ほとんど本物。というのは実に画面が力強くなる。
「本物の迫力」というのは、本物である!
(つづく)
お通夜のシーンを撮影(下)2005/9/20 [撮影4日目(二)高山寺]
卒業式や結婚式も、同じ。
出演者が全て俳優だと、なぜか?リアリティがなくなる。
ドラマの1シーンにしか見えない。
俳優は演技力があるが、スクリーンやテレビ画面の中の人。どこか現実的な感じがなくなり、虚構の人になりがち。
それに対して一般の方は、リアリティがある。存在感がある。
俳優にはない現実感を持つ。
この日も地元の方々に参加頂いたことで、実に力強い画面になった。
(つづく)
お通夜のシーンを撮影(上)2005/9/20 [撮影4日目(二)高山寺]
鉄男と子分たち(下) 2005/9/20 [撮影4日目(二)高山寺]
ポン太君。僕と同じ、ここ和歌山県で育っている・・。
「えー、クルクルパーなんて知りません・・」
僕が子供の時代に流行っただけで、和歌山独特のものではなかったようだ。
そこで特訓。暗がりの廊下で、何度も「クルクルパー」を練習。
「ん〜、むずかしいなあ・・」と、ポン太君も真剣。
そこに波岡一喜君のアドリブも入れて、撮影。
(「しーーーー」と子分たちにいわれるところは、彼が考えたリアクション)
悲しい物語の中、鉄男が登場する場面。小さな笑いが生まれる。
(つづく)
ロケ地・高山寺の魅力!=>http://t-ota.blog.so-net.ne.jp/2008-01-20-2
鉄男と子分たち(中) 2005/9/20 [撮影4日目(二)高山寺]
ここで鉄男(波岡一喜)の一番の子分・ポン太(地元青年が演じてくれている)。
「夏美(佐津川愛美)は、おかしくなったんじゃないですか?」
ということを台詞ではなく、手振りで表現するアドリブを考えた。
僕が子供の頃。
人差し指を頭の側で「クルクル」とまわし、手のひらを広げて「パー」という身振りで「クルクルパー」=「バカ」というようなことをしていた。
それをやってもらおうと、したのだが・・・。
(つづく)
ロケ地・高山寺の魅力!=>http://t-ota.blog.so-net.ne.jp/2008-01-20-2
鉄男と子分たち(上)2005/9/20 [撮影4日目(二)高山寺]
撮影快調! 2005/9/20 [撮影4日目(二)高山寺]
旧本堂のシーン。撮影が進む。
通常、部屋の撮影は狭いので、カメラを動かすだけでも大変。
でも、ここは広い。いろんな角度から自由に撮れる。
まるでスタジオ。撮影は順調に進む。
(つづく)
ロケ地・高山寺の魅力!=>http://t-ota.blog.so-net.ne.jp/2008-01-20-2
旧本堂で撮影 2005/9/20 [撮影4日目(二)高山寺]
いちご娘。たちの遺影?(下) 2005/9/20 [撮影4日目(二)高山寺]
撮影準備の間。
ふと見ると、マキ役の谷村。葬儀用の自分の遺影を見つめている。
「撮影とはいえ、不思議な気分だろうなあ?」と思っていたら、何だか嬉しそう。
ヘンな奴だ。でも、あんまり嬉しそうなので、声をかけた。
「マキ。1枚写真撮ろうか?」
「ああ。監督! 撮ってください!」
カシャ!
と撮影。谷村、凄く嬉しそうだった。
ヘンな子だが、そんなとこも可愛い。
写真を焼いて、撮影が終わったらプレゼントする。
(つづく)
いちご娘。たちの遺影?(中) 2005/9/20 [撮影4日目(二)高山寺]
写真上の場所に祭壇を作った。
いちご娘たちの遺影写真を飾る。
これは事前に用意していた。
東京で衣裳合わせのとき。撮影。
それを引き延ばして遺影にした。
撮影用だと思っていても、何だか悲しいものがある。
(つづく)
ロケ地・高山寺の魅力!=>http://t-ota.blog.so-net.ne.jp/2008-01-20-2
いちご娘。たちの遺影?(上) 2005/9/20 [撮影4日目(二)高山寺]
先に紹介した高山寺旧本堂に祭壇。
前日に美術部さん。用意してくれた。
が、それ以前に何度も取材。打ち合わせ。
まず、高山寺のご住職からいろいろと教えて頂き、祭壇の作り方を学ぶ。
それと今回は3人一緒の葬儀。そんな場合はどうするか?等を聞く。
そして美術部さんと相談。
物語や予算との兼ね合いも考えて、どんなふうにするか?
いろいろと打ち合わせして、今回の形になった。
葬儀のシーンひとつにしても、宗派や格式。スタイルがいろいろあり大変だった。
(つづく)
高山寺、旧本堂での撮影 2005/9/20 [撮影4日目(二)高山寺]
次のシーンは、高山寺旧本堂の中。
先に撮った廊下の部屋側。
ここで撮影するのが、昨日撮った墓場での再会シーンの続き。
幽霊になって帰って来たマキ(谷村美月)たち。
本当に自分たちが事故で死んだことを確認するために、通夜をしている場所に行く。
そこがここ旧本堂。
写真上はロケハン時のもので、まだ祭壇とか作られていない。
おまけに昼撮ったもの。廊下側の雨戸を締めて、夜にして撮影する。
(つづく)