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ハリウッド式撮影(21ー終)若さの強さ 2001/9/21 [撮影5日目(五)マキの成長]

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 ベテランの俳優やスタッフが、五里霧中になっているのに、

 いちご娘たちは全然、平気!!!?

  が、考えてみると当然かも。

 ほとんどが映画出演は始めてとか、2度目とか。

 なので、「いつもは****だけど、今回は****だなあ・・」

 という比較ができない。「この映画の撮影は、こうなんだ!」と理解し。疑問とならないのだ。

 歳を取ると過去の経験が増え、それを主として、新しいものを判断。「違うんだよなあ〜」と考えてしまう。

 でも、「若い人」は過去と比較するほど「経験」がない。疑問を感じて、立ち止まらない。

 現状を素直に受け入れるので、戸惑うことがなかったのだ。

 若さゆえの強さかぁ!

(つづく)

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ハリウッド式撮影(20)いちご娘の反応? 2005/9/21 [撮影5日目(五)マキの成長]

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 いちご娘たち・・。佐津川愛美、谷村美月、東亜優、芳賀優里亜。

 「なるほど。そういう意図で、何度も撮影するのんだぁ!」

 という理解した顔では、なかった。

 「へーーーーーーーーーーー、よく分かんないけど、そーなんだーーぁ〜」

 という表情。自分たちのことだ、という意識があまりない。

 さらに説明。

 「この撮影でしっかり芝居ができれば、ハリウッド映画に出ても全然困らないよ!」

 というと、谷村美月などは

 「へへへッ」

 と笑う。「得したなあ!」という感じ?

 この子たち。ハリウッド式撮影に、全く戸惑っていない?! 

(つづく)

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ハリウッド式撮影(19)効果の説明 2005/9/21 [撮影5日目(五)マキの成長]

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 そんなことがあり、数日前。

 撮影開始時。いちご娘たちに、ハリウッド式撮影の説明をした。

 その利点。その効果。

 現場は大変だが、通常のやり方以上の可能性が広がること。

 同じレベルの演技、繰り返しすることは大変。

 「でも、完成した作品。大きな感動を生むことができる!」

 そんなことを話した。意義が分かれば、戸惑いも減るはず。

 だが、いちご娘たちの反応。意外なものだった・・。

(つづく)

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ハリウッド式撮影(18)いちご娘の戸惑い? 2005/9/21 [撮影5日目(五)マキの成長]

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 挑戦せずに、従来と同じことを続けてきたのが日本映画。

 観客のことより、自分たちが作りやすい作品ばかり製作。

 人々は、アメリカ映画ばかり見るようになった。

 それがここ数年、面白い日本映画がどんどん出て来ている。

 古い価値観を壊し、新しさを追求している若手監督の映画。

 それによって日本映画、活気を取り戻したのだ。
 
 だが、新しいことすると、経験ある人たちは戸惑う。
 
 そんなとき、スタッフから報告。

 「撮影に、戸惑いを感じている子がいます・・」

 ヤバい・・。

(つづく)

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ハリウッド式撮影(17)過去の方法論 2005/9/21 [撮影5日目(五)マキの成長]

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 もの作りというのは、常に「挑戦」し、「新しいこと」を目指さすことが必要。

 「今という時代」を反映した「作品」を作ることが大切。

 スタッフや俳優が仕事をしやすいように、配慮すること。とても大切なことだが、それを一番にしては素晴らしい作品はできない。

 何より、今回の作品『ストロベリーフィールズ』。過去の方法論ではその世界を作り上げることはできない。

  そして、素晴らしい俳優やスタッフというのは・・

 これまでになかったチャレンジをするとき、より大きな力を発揮してくれる。

(つづく)

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ハリウッド式撮影(16)いちご娘の戸惑い? 2005/9/21 [撮影5日目(五)マキの成長]

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 それでも俳優さんたち。何とか対応し、いい芝居を見せてくれている。

 困惑が大きいのは、むしろスタッフ側かも。

 「このカット。どういう意図で、撮影しているか?」

 もう一息、理解しきれない人もいる。

 「ハリウッド式でやる!」

 という話はしてあるのだが、戸惑いを感じている。

 僕自身は以前から、この方式で撮影。今回が初めてではない。これまで大きな問題はなかった。が、なぜか、今回は戸惑う人が多い。予想外。

 「だったら、従来の日本式撮影をすればいいじゃん? 皆、その方が慣れてんだから!」

 と思う人もいるだろう。でも、それでは従来と同じものしかできない!

 いや、従来以下のものしか出来ないだろう・・。


(つづく)

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ハリウッド式撮影?(15)器用な演技 2005/9/21 [撮影5日目(五)マキの成長]

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 というのも、背景にはこういう問題がある。

 従来の日本映画式なら、

 「アップ。行きまーす」

 と言われれば、俳優はいい表情を見せればいい。或いは・・。

 「私の台詞は『へー』だけだから、そこだけがんばればいい!」

 とか思って、俳優たちは部分的に器用に演じようする。

 そんな器用な演技が出来ることが、日本では「できる俳優」と呼ばれたりする。

 しかし、ハリウッド式撮影。

 そんな器用さは必要とされない。

 毎回、高いレベルで「同じ芝居」を繰り返さねばならない・・・。

(つづく)

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ハリウッド式撮影(14)戸惑う俳優 2005/9/21 [撮影5日目(五)マキの成長]

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 大人の俳優たち。皆、長い芸歴がある。豊富な経験がある。

 日本映画の作り方を把握。熟知している。

 が、今回の「ストロベリーフィールズ」は今までとは、あまりに違うスタイル。

 日頃は「強み」となる経験が、今回は「マイナス」となる・・。

 カメラは2台。同じ芝居を何度も撮影。

 それだけでも戸惑う。

 「今、どこを撮られて いて、どこが使われるか? が分からない・・・」

 不安を感じる・・・。

(つづく)

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ハリウッド式撮影(13)何を撮っているのか? 2005/9/21 [撮影5日目(五)マキの成長]

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 通常の日本映画。撮影現場は、こんな感じ。

 スタッフが大きな声で言う。

 「はい。次はアップ行きまーす!」

 そして、目の前でカチンコが叩かれる。

 撮影されるのは当然、顔のアップ。

 表情に力を入れて、芝居をすればいい。

 でも、今回の映画『ストロベリーフィールズ』は2台のカメラで、1人の俳優を狙う。

 「どこと、どこを撮っているのか?」 「引き」と「寄り」か?

 「相手役とのツーショットか?」 

 何を撮られているのか? 分からない!

(つづく)

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ハリウッド式撮影(12 )大人の俳優が苦戦? 2005/9/21 [撮影5日目(五)マキの成長]

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 ハリウッド式撮影。戸惑う俳優さんがいた。

 もちろん、そんな慣れないやり方の中でも、

 素晴らしい演技を見せてくれる。

 いつもと違う方式でも、それに対して不満を言ったりはしない。全力でかかってくれている。

 さすがにベテランであり、プロだと感じた。

 だが、彼らの戸惑い。決して小さくはないようだ・・。


(つづく)

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ハリウッド式撮影(11)日本で実践! 2005/9/21 [撮影5日目(五)マキの成長]

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 さて、僕の今回の映画「ストロベリーフィールズ」

 こちらも、ハリウッドスタイルで撮影している。

 フィルムで撮影していた時代は現像代、プリント代のことを考えると、高額の製作費がないと無理だった。

 が、デジタル・ビデオ全盛。

 現像代のかからないビデオなら、今回のような低予算映画でもハリウッドシステムで撮影が可能なのだ。(同じことする組、ほとんどいないけど・・)

 となると、大変なのは俳優。

 先に説明した高いレベルの演技、何度も求められる!

(つづく)

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ハリウッド式撮影(10)日本の現状 2005/9/21 [撮影5日目(五)マキの成長]

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 でも、英語が出来て、演技力があり、根性もある人。日本にはなかなかいない。

 どうしても、国内では見た目、美貌、スタイル、等で主役が選ばれる。

 そこそこの演技力がれば、日本の女優はやっていけるのだ。

 もちろん、素晴らしい女優さんもいる。が、日本の観客は女優に「演技力」より「美しさ」を求める。

 「あの女優さん。本当に奇麗ねえ!」とはよく言う。

 「あの女優さん。本当に演技派ねえ!」とはあまり言わない。

 美貌で勝負できない女優が「演技派」の看板を使ったりする。

 そんな環境が「世界レベルの日本人女優」が誕生できない背景になっている。

(つづく)

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ハリウッド式撮影(9)工藤夕貴は凄い! 2005/9/21 [撮影5日目(五)マキの成長]

ヤシの木.jpg

 そんな日本から飛び出して、がんばっている女優もいる。

 工藤夕貴はアメリカに住み(注・05年当時)。ハリウッドに挑戦した。

 そして、メジャー作品に出演。その後も数々の映画に出ている。

 先の「メモリー・オブ・ゲイシャ」でも、女優での三番手の役をゲット。なかなか、出来ることではない。

 僕も6年ほどロサンゼルスに住んでいたが、日本人がアメリカで生活をするというだけでも大変。

 それでいてネイティブの英語を話す実力俳優たちと、オーディションで争う。そして役を勝ち取るというのは、並大抵なことではない。

 工藤夕貴。といういう女優さん。本当に凄い!

 (つづく)

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タグ:工藤夕貴
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ハリウッド式撮影(8)女優たちの戸惑い? 2005/9/21 [撮影5日目(五)マキの成長]

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 日本の女優たち。そんな厳しいハリウッド方式に出会うと、戸惑う。

 高いレベルで同じ演技、繰り返した経験がない。当然、うまく行かない。

 ハリウッド映画で日本の女優が主役を掴めず、中国人勢に持って行かれた理由のひとつである。

 日本映画は極々一部の監督を除いて、ほとんどが日本式撮影。ハリウッド式で鍛えられる環境はない。

 そう考えると、ハリウッド映画に選ばれた渡辺謙や真田広之という俳優。もの凄い力があるということ。世界レベルの俳優ということだ。

 対して日本の女優の場合。国内では美貌やスタイルが優先される。高いレベルの演技力がなくてもやっていける環境。

 それに甘んじている女優。多いように思える・・。

(つづく)

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ハリウッド式撮影(7)執拗な撮影 2005/9/21 [撮影5日目(五)マキの成長]

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 日本映画は、いい芝居が出来てOKが出れば、そのカットは終了。

 だが、ハリウッドではOKが出ても、別のアングルから同じ芝居を撮影する。

 それもOKが出たのと同じ「高いレベルの演技」で、繰り返さなければならない。

 5回、6回、7回と繰り返す。でも、同じ演技、同じレベルで続けなければならない。

 先に説明したように、俳優の演技レベルは曲線を描いて上がり下がって行く。

 それを同じ高いレベルで繰り返すのは、並大抵なことではない。

 日本式に慣れていると、それができない。

 常に緊張が強いられ、油断できず、何度も高いレベルの演技を要求される。

 俳優は精神的にもの凄く厳しく、追いつめられるのだ!

(つづく)


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ハリウッド式撮影(6)最高潮の演技を継続? 2005/9/21 [撮影5日目(五)マキの成長]

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 そしてハリウッド映画、同じ芝居を何度もアングルを変えて撮る。

 つまり、会話シーンでも、前から、後ろから、右から、左から、寄りで、引きで、撮影する。

 その際、それぞれの演技、同じレベルでなければならない。

 でも、演技というのは、最初はエンジンがかからないが、何度かリハーサルをして、調子が出て、だんだんよくなる。

 ただ、何度もやるとだんだんレベルが下がって来て、最初の方の演技が良かったということになる。

 日本映画の場合。何度かリハをやって、盛り上がったところで本番に行く。

 つまり、最高潮の演技を狙って撮る。

 でも、ハリウッド映画。その「最高潮の演技」を、何度でも続けなければならないのだ・・。 

(つづく)

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ハリウッド式撮影(5)日米の違い? 2005/9/21 [撮影5日目(五)マキの成長]

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 これに対して、ハリウッド式撮影。

 Aさん、Bさんの芝居共に全部を撮る。

 台詞が3つでも、Bさんの芝居も全部撮る。

 というのは日本映画と違い、撮影前に編集を決めずないからだ。

 例えば、Bさんの表情がいい場合は、話しているA さんばかりではなく、編集時に聞いているBさんの表情を多く選び、使用することもある。

 「いろいろと撮影して、編集時にベストを選ぶ!」

 それがハリウッド映画なのだ。

(つづく)

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ハリウッド式撮影(4)日本式は経済優先? 2005/9/21 [撮影5日目(五)マキの成長]

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 日本映画式撮影は、そんなスタイルなので、

 「今、どこを撮られているか?」

 俳優は察知できる。基本的に撮られた部分は使われる。

 つまり、カメラが向いているとき。1度だけがんばって演技すればOKなのだ。

 「では、なぜ、日本映画は先に編集を決めて撮影するか?」

 というと、先に説明した・・

 「フィルムを無駄に使わない!」という習慣があるからだ。

 Aさんの台詞を聞いているBさんのアップがなくても、会話内容や物語を紹介するのに支障はない。

 「だから、撮らなくても大丈夫!」

 という考えが日本映画に根付いたのだ。


 (つづく)

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ハリウッド式撮影(3)日本式撮影 2005/9/21 [撮影5日目(五)マキの成長]

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 通常の日本映画。監督は撮影前に編集を決める。

 例えば、AさんとBさんの会話シーン。

 Aさんが話している部分は、Aさんの顔を使う。Bさんが話すカットはBさんの顔という編集にする。

 ということは、話を聞いているBさんの顔は、いらいない。

 そう決めてから撮影。まずAさんの台詞を通して撮影。

 そしてBさんの台詞が「そう」「凄いね」「へー」の3つだとしたら、その部分だけを撮影。

 最終的に使わないシーン、撮影しない。

 これが日本映画式撮影の基本パターン。

(つづく)

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ハリウッド式撮影(2)引きずる伝統? 2005/9/21 [撮影5日目(五)マキの成長]

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 僕もハリウッド作品に、スタッフとして参加したことがある。

 日本でのオーディションから、撮影現場まで。ハリウッド・システムの中で仕事をした。

 そして、まさにその「日本人俳優がぶつかる壁」を実感。

 まず、「日本映画」と「ハリウッド映画」の撮影スタイル。大きく違うのだ。

 この話。以前にも書いたと思うが、それを探してもらうのも大変。

 もう一度、書いてみる・・。

 日本は昔から貧しく、こういう発想があった。

 「フィルムを無駄にしては、いけない!」

 現像費のいらないハイビジョン撮影が主流の現在でも、その伝統は生きている・・・。

(つづく)


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ハリウッド式撮影?(1)日本の女優 2005/9/21 [撮影5日目(五)マキの成長]

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 話は少し逸れるが・・。

 渡辺謙、役所広司、真田広之・・・。

  日本の俳優が次々に、ハリウッドに進出。高い評価を得ている。

 「なのに、日本の女優。活躍が少ないな・・」

 と思ったことはないだろうか?
 
 スピルバーグ製作の「メモリー・オブ・ゲイシャ」(日本タイトルはのちに「SAYURI」に決まる)では日本人芸者の主役を、中国人女優が射止めたらしい。

 2番手役も日本人ではなく、中国人女優・・。

 なぜ、日本の有名女優が、それらの役を射止められなかったか? 

 男優陣は皆日本人 (渡辺謙、役所広司。日本の女優も出ているがメインではない)、非常に残念でならない。

 そこには、大きな理由がある・・・。

 (つづく)

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天才少女と「心の扉」(12ー終)2005/9/21 [撮影5日目(五)マキの成長]

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 その行動の早いこと早いこと!誰もが、思ったのだ。

 「谷村に先の芝居。もう一度、やらせたい!」

 スタッフも理解していた。30分かかった切り返し。15分くらいで終わる。

 そして、もう一度、先の場面。マキ。閉ざしていた心を少し開いて、美香に語りかける。

マキ(谷村美月)「その深町に告白しよう!今は・・社会人野球をしてたよな!」

夏美(佐津川愛美)「うん。きっと美香のこと。いつまでも覚えてくれるよ」

マキ「美香。会いに行こう! そこで夏美が話せ。美香がずっと好きだったって伝えるんだ!」

美香(東亜優)「(嬉しそう)」 

 マキの優しさが伝わる。谷村美月、やはり最高!

 さすが、天才少女・・。

 だが、谷村だけではない。驚くべき事に、もう一人。大きな成長を見せた子がいた・・。

(つづく)

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天才少女と「心の扉」(11)2005/9/21 [撮影5日目(五)マキの成長]

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 スケジュールを考えると、不安。さらに、1度撮ったシーンを再度撮るということに反発するスタッフもいるだろう。

 「どっちの演技も、同じじゃねえか?」

 と思っている人もいるかもしれない。それで、スタッフがダレる可能性もある。映画スタッフというのは、監督が言えば何でもやるという人たちではない。

 納得しないと、動かない頑固な職人たちでもある。他の作品のとき、何かを頼んでも拒否する技術部もいた。とかく新人監督に対し、ベテランスタッフは厳しい。

 でも、大切なのは映画のクオリティだ。もう一度やろう!

 「聞いて下さい。谷村さん。とても素敵な演技を見せてくれました。これが先のシーンで僕が求めたものです。

 先の芝居。もう一度、撮らせてもらえますか!」

 僕がそう言った瞬間。演出部チーフが間髪を入れずに言う。

「よし! 切り返し!」

 そしてスタッフ。誰1人。「またかよ・・」「さっき、やっただろう!」とか不満を言う事もなく、一斉に機材を動かし出したのだ!

(つづく)

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天才少女と「心の扉」(10)2005/9/21 [撮影5日目(五)マキの成長]

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 美香(東亜優)に聞いた。監督である僕の言葉より、仲間である美香の気持ちを伝えることが、マキには一番分かりやすいはず。

 「美香! どう。さっきのマキと比べて、今のマキはどう感じた?」

 「・・・・そうですね。何か、さっきより、私のことを真剣に考えてくれているような・・・暖かいもの・・・感じました!」

 さすが、東亜優! 分かってるね。その通りなんだ。14歳の東も、それを感じてくれた。

 谷村は「・・・・・・・へーーー」という顔。「そうか・・・」と、まだ実感はないようだが、懸命に考えている。

 ただ、別の問題があった。せっかく、谷村美月という素晴らしい少女が、マキという役を成長させたというのに、こんなこと、なかなかないことなのに!

 映画作りには、厳しい現実的な問題がある・・。

 撮影の時間は限られている。先のシーンはすでに撮影した。もう一度、撮る為には、機材を全てもとの場所に戻して、さっきと同じことを1からせねばならない。

 切り返し、30分もかかった。同じことをしてさらに撮影。でも、まだまだ、撮るべきシーンは残っている。

 先のシーンを撮ることで、撮影できないシーンが出てきてはマズい・・・。

(つづく)

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天才少女と「心の扉」(9)2005/9/21 [撮影5日目(五)マキの成長]

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 でも、順撮り(シナリオの順番にシーン1、2、3と撮影して行く事。)なら、俳優は登場人物と共に、時間の流れ通りにドラマを経験していける。
 さまざまな事件を体感しながら、次のシーンに臨める。その中で、登場人物も俳優も、成長して行くことを期待した。

 「成長を演じる」のではなく、「本当に成長すること」を望んだ。
 
 そして今日、この瞬間。マキが本当に成長した。マキ=谷村が、さまざまなドラマを見つめ、考えて考えて、葛藤し、成長したのだ。

 谷村美月が意識して、成長を演じたのではない。この瞬間、マキ自身が閉ざしていた心を開いたのだ。マキ自身、谷村自身が成長したのである!

 ここまで来ると、僕の役割はひとつ。谷村=マキに、自身の成長を伝えること。
 人は自身の成長、なかなか自覚できないものだ。

 役の人物も同じ。それを認識することで、本当に成長するのである。マキにそれをどうやって伝えるか?

 「前と同じに、やったんですけど・・」

 その認識を変えるにはどうするか? そうだ!

(つづく)

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天才少女と「心の扉」(8)2005/9/21 [撮影5日目(五)マキの成長]

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 役というのは、俳優が演じるものだが、その役自体が命を持ち動き出す事がある。
 変な例だが、本当に凄い俳優が芝居をするというのは、霊媒師が霊を呼び出して取り憑いたような状態に近い。

 そのとき霊媒師は霊媒師でなくなり、呼び出した霊の生前の姿となる。本当に凄い役者とは、その霊媒師を超える。

 そして、その演じている役が成長していく。俳優の意思とは別に、一人歩きして行く。

 俳優が成長したという演技をしようとしてもダメ。監督が成長した芝居を要求してもダメ。その役自体が成長しなければ、それは出ない。
 ただ、それはいつ、どこで来るか?分からない。そして、その成長を捉えることができたとき、観客の胸を打つ素晴らしい演技、感動の物語となる。

 だから、今回の「ストロベリーフィールズ」。出来る限り順撮りで撮影している。物語の時間に沿って撮影することで、撮影というより、体験をしてほしいと考えた。

 これが従来の撮影スケジュールだと、ラストシーンを撮って、シーン4、6、3、9。そして最終日が「シーン1」ということがある。
 これでは役が成長できない。俳優が計算した演技をするしかない・・・。


(つづく)

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天才少女と「心の扉」(7)2005/9/21 [撮影5日目(五)マキの成長]


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 学級委員の美香(東亜優)が実は、大きな悩みを抱えていたこと。あの暴力親父(飯島大介)が娘であるマキ(谷村美月)のことを、本当に大事に思っていたこと。

 鉄男(波岡一喜)が真剣に親父に、抗議してくれたこと。おとなしく目立たない夏美(佐津川愛美)も、家庭で大きな問題を抱えていたこと。

 マキは「オレだけじゃない。みんな同じなんだ・・」と気づいたんだ。だから、「心の扉」を開いて、美香に語りかける。
 最初に天国に行かねばならない美香のために、「何かしたい」と思うんだ。そう、マキに話した。

 谷村ではない、マキ自身がそのことを考えた。切り返しでカメラを移動させている間も考えていた。

 「私はそんなことで・・心を開かない・・でも.・・」

 そして、撮影再開。再び美香と対峙。悲しい思いでが交差。

 「美香のために、何かしたい・・」

 そしてマキ自身が、かたくなに閉じていた「心の扉」を開いたのである!


(つづく)

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天才少女と「心の扉」(6)2005/9/21 [撮影5日目(五)マキの成長]

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 谷村、「えっ?」という顔。

 「・・・さっきと同じように、やったんですけど?」

 そこで気づいた。やはり、谷村は凄い・・・。そして思った通りだった。

 マキという少女。クールに振る舞う。クールと言えば聞こえはいいが、心の扉を閉ざしている状態だ。
 そんなマキに谷村は成り切った。演技を超えて、マキ自身になっていた。

 意識して演じるのではなく、マキそのもの。谷村自身が「こんな風に演じたい!」と思ってもできない。
 谷村ではない「マキ本人」の意思で行動、言動しているからだ。

 その子はもう「谷村美月」ではなく、「上田マキ」なのである。先のカットで、そんなマキに、僕は語りかけた・・・。


 (つづく)

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天才少女と「心の扉」(5)2005/9/21 [撮影5日目(五)マキの成長]

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 クールなマキでOKを出し、次のショットへ。

 マキ(谷村美月)の背後にカメラを移動、美香(東亜優)を撮影する。芝居は先と同じ。
 美香がマキの台詞に答える部分を撮る。このように、先に撮ったシーンの反対側から芝居を撮ることを「切り返し」という。

 昼間の撮影だが、例によって照明も設置されている。カメラが動くときは、照明機材も移動。電源コード等も取り外す。
 反対側に設置して、先の芝居と同じライティングをする。かなりの時間が必要。30分ほどかかって、全ての機材を配置。再び、同じシーンの撮影だ。

  「その深町に告白しよう。今は・・社会人野球をしてたよな・・」

 マキがそう言い、美香がそれに答える部分。今回、カメラは美香を狙っている。まず、リハーサル。
 先に同じシーンを撮っているが、技術部にとっては条件が違うので、もろもろを確認が必要。マキと美香の会話がスタート。

マキ「美香。会いに行こう! そこで夏美が話せ。美香がずっと好きだったって伝えるんだ!」

美香(東亜優)「(嬉しそう)」 

 途中で、あることに気づいた。マキの台詞。言い回し。さっきとは違い、美香に対して「心の扉」を開いた話し方をしている!

 そう、僕が説明した通りの「マキの優しさ」が表現されているのだ! 思わず声を上げた。

 「マキ! それだよ! それがさっき、僕が説明した『心の扉』を開いた表現だよ!」

(つづく)

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天才少女と「心の扉」(4)2005/9/21 [撮影5日目(五)マキの成長]

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 ただ、この「ケーキシーン」の次は、いよいよ「美香(東亜優)との別れ」の場面。ここでマキ(谷村美月)は心を閉ざしたままで、別れを惜しみ、涙を流す。というのは違う。

 また、心を閉ざしているように見えて、実は・・・という形もありえるが、それは理沙(芳賀優里亜)の役割。このままでは、マキと理沙が同じ精神展開になり、ダブってしまう。

 なので、マキにはこの「ケーキの場面」で美香に対して、心を開く表現がほしいのだ。が、テイク2のマキも、心を閉じたまま。

 無理矢理演じさせるのは、嫌だ。予定とは違うが「このままでも、何とか行けないか?」考える。「美香との別れ」シーンで何かを付け加えることで、理沙との違いを表現できるかも・・。難しい・・。

 けど、今回は何よりも、十代の感性を大切にしたい。

 谷村が演じる・・というより、今や谷村はマキに成り切っている。そこが天才少女・谷村美月の凄さ。僕の目の前にいるのは女優・谷村美月ではなく、和歌山の田舎町に暮らす上田マキなのである。

 谷村が「心を開く演技」ができないのではない。すでにマキに成り切っている、いや、マキ自身になっている。そのマキ本人がこの段階で、まだ心を開くことができないということなのだ。

 「もう少し時間がほしいんだ・・・美香に心を開くには、時間が必要なんだ・・・」

 それが理由。それならば、谷村・・・いや、マキの気持ちを尊重すべきだ。

 解決法。何とか、あとで考えよう・・・。

(つづく)

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