俳優の意思を超え、役は動き出す!(24)想定外の面白さ 2001/9/21 [撮影5日目(七)成長するキャラ]
通常、監督というのは、脇役が主役を超えてしまうと、俳優を押さえて本来の物語に戻そうとする。
なのに、黒澤明という監督は暴走を押さえずに、さらに助長するところがある。
でも、その方が映画は面白くなる。
例え物語が違う方向に行っても、面白いこと。盛り上がること大切。
シナリオ通り、計算通りの作品ができることより、ずっとずっとエキサイティングな映画になる。
僕も、そんなところがある。
(つづく)
俳優の意思を超え、役は動き出す!(23)志村喬 2005/9/21 [撮影5日目(七)成長するキャラ]
黒澤明監督の「スキャンダル」
主役は新進画家を演じる三船敏郎。
なのに志村喬演じる蛭田。その悪徳弁護士がもの凄くよかった!
途中から登場する志村喬が、全部持って行ってしまう。
主役の三船は脇役に追いやられ、志村喬の独演会となる!
余談だが、「酔いどれ天使」で主役を奪われたリベンジ!
「今度はワシが主役を食ってやる!」
と志村が燃えたのも一因かも。
(つづく)
俳優の意思を超え、役は動き出す!(22)三船敏郎 2005/9/21 [撮影5日目(七)成長するキャラ]
実はあの作品。
撮影中から三船敏郎がもの凄くよくて、監督である黒澤明がそっちに話を進めてしまったのだ。
つまり、三船=松永というヤクザのあまりに魅力的で、暴走。
黒澤監督はそれを引き戻そうとはせず、さらに暴走させたのが「酔いどれ天使」なのである。
監督の気持ちもよく分かる。完成した作品を見ても、あのギラギラしたヤクザ松永。
粗暴でありながら、哀れで、とても人間的。
医者の話より、そちらの話を見たくなってしまう。
「酔いどれ天使」の反対パターンがある。
同じトリオで作られた映画「スキャンダル」だ。
(つづく)
俳優の意思を超え、役は動き出す!(21)酔いどれ天使 2005/9/21 [撮影5日目(七)成長するキャラ]
映画「酔いどれ天使」。
映画ファンなら必ず見ている名作。「何が印象的だった?」と見た人に聞く。
「三船敏郎のヤクザ役。松永がよかった。ギラギラしていて凄い!」
という感想が必ず出る。
三船敏郎は今回の「ストロベリーフィールズ」に出てもらっている、三船美佳さんのお父さん。
さすが世界のミフネ!
と思うが、思い出してほしい。あの映画の主役、実は志村喬。彼が演じる医者の物語なのだ。
タイトルだって「酔いどれ天使」アル中の医者を天使に例えた題名
だのに、戦後を舞台にした、三船敏郎が主人公のヤクザ映画のような印象が残る!
(つづく)
今年もCS放送で「ストロベリーフィールズ」放映!(3年連続)
今回は日本映画専門チャンネル
2009年05月13日(水) 22:00
2009年05月17日(日) 25:00
2009年05月20日(水) 12:00
俳優の意思を超え、役は動き出す!(20)描き直す 2005/9/21 [撮影5日目(七)成長するキャラ]
永井豪さんは、その漫画のその部分からのコミック化を封印。
出版しなかったという・・・。
数年後に、そこから書き直し、改めて連載した。
現在、コミックとして発売されているのは、ある巻からは描き直した話である。
ただ、個人的には描き直す以前の、キャラ暴走版の方が面白かった。
作家が「思うように」話を進めるより、キャラが「暴走」した方が物語としては面白くなることが多いと思う。
黒澤明監督も、同じことを経験している。
(つづく)
俳優の意思を超え、役は動き出す!(19)バイオレンス・ジャック 2005/9/21 [撮影5日目(七)成長するキャラ]
漫画で、作家がキャラクターを止められなくなる話。他にもある。
永井豪の漫画「バイオレンスジャック」
この作品でも、主人公の1人が作者の手を離れて暴走。
「自分の考えていた物語と、違う方向に行ってしまった・・・」
と漫画家は話す。
小説でも、シナリオでもそういうことがたまにある!
キャラが一人歩きする。暴走する。
そんなバカなと思われるかもしれないが、物語を作ったことのある人なら実感できるだろう。
それが分かる人は、かなり力のあるといえる。
(つづく)
タグ:バイオレンス・ジャック
俳優の意思を超え、役は動き出す!(18)矢吹丈 2005/9/21 [撮影5日目(七)成長するキャラ]
俳優の意思を超え、役は動き出す!(17)あしたのジョー 2005/9/21 [撮影5日目(七)成長するキャラ]
漫画「あしたのジョー」。ボクシング漫画の名作。
あの漫画の中、矢吹丈の顔がどんどん変わって行く。
作家が意識して「成長を描いている」というのもあるだろうが、それよりむしろジョーが漫画内で成長しているのだ。
同じ作家のちばてつやの他の漫画を見れば分かるが、あそこまで顔が変るキャラクターはないだろう。
ちばてつやさん。あるインタビューでこうが言う。
「今、あのときのジョーの顔を描いてくれと言われても、もう描くことはできない」
タグ:あしたのジョー
俳優の意思を超え、役は動き出す!(16)2005/9/21 [撮影5日目(七)成長するキャラ]
谷村美月=マキに続き、芳賀優里亜=理沙も、シナリオに書かれた以上にキャラが成長していたのである。
1日にそれが2度もあるなんて、奇跡の撮影である。
芳賀優里亜。恐るべし! 演技というレベルを超えている。
役というのは、俳優が演じるもの。
でも、 ときには本人でさえコントロールできなくなるほど、成長する!
理沙はまさにそういう状態。少し分かりにいくので、例を上げる。
(つづく)
俳優の意思を超え、役は動き出す!(15)2005/9/21 [撮影5日目(七)成長するキャラ]
「この主役の2人。本当に、出来ているんじゃないか?」
ある映画で、そんな恋人同士を演じた俳優たちがいた。
撮影後、2人は結婚・・・なるほどと思った。
仲の良さ。何もしなくても出る。それを知っているので芳賀たちは「まだ、仲良くしてはいけない」と言ったのだ。
17歳とは思えぬ、凄い子たちである!
そこまでしているのに、理沙=芳賀から「友情ビーム」を感じる。
これはもう理沙が成長し、マキや夏美、美香に対する友情が育ってしまっているということだ!
(つづく)
俳優の意思を超え、役は動き出す!(14)2005/9/21 [撮影5日目(七)成長するキャラ]
俳優の意思を超え、役は動き出す!(13)2005/9/21 [撮影5日目(七)成長するキャラ]
見た目、芳賀はシナリオ通りの演技をしている。
だが、目に見えない友情が溢れてしまったのである。
谷村美月といい、芳賀優里亜といい、若いのになかなかの女優たちだ。
通常、若い女優たちは、まず、現場の同世代と仲良くなろうとする。
学校の新学期のようなもの。撮影よりも、仲間とうまくやることを優先する子も多い。
でも、いちご娘たちは違う・・。こんなことを言っていた。
(つづく)
だが、目に見えない友情が溢れてしまったのである。
谷村美月といい、芳賀優里亜といい、若いのになかなかの女優たちだ。
通常、若い女優たちは、まず、現場の同世代と仲良くなろうとする。
学校の新学期のようなもの。撮影よりも、仲間とうまくやることを優先する子も多い。
でも、いちご娘たちは違う・・。こんなことを言っていた。
(つづく)
俳優の意思を超え、役は動き出す!(12)2005/9/21 [撮影5日目(七)成長するキャラ]
俳優の意思を超え、役は動き出す!(11)2005/9/21 [撮影5日目(七)成長するキャラ]
マキの悲しい現実を体感した理沙は、
シナリオ通りに、その悲しみを撥ね付けることができなかった。
虐めていたマキの哀れさを知り、他人事ではなくなったのである。
これは理沙が受け継いだ芳賀さんの「優しさ」から来るもの。
本来の理沙なら、マキの悲しみを否定しただろう。
でも、芳賀の中では・・いや、芳賀=理沙の中で・・。
「こんな哀れなマキを、私はイジメていたんだ・・」
と過酷な現実を目の前に反省し、同情したのである・・。
(つづく)
俳優の意思を超え、役は動き出す!(10)2005/9/21 [撮影5日目(七)成長するキャラ]
俳優の意思を超え、役は動き出す!(9)2005/9/21 [撮影5日目(七)成長するキャラ]
俳優の意思を超え、役は動き出す!(8)2001/9/21 [撮影5日目(七)成長するキャラ]
俳優の意思を超え、役は動き出す!(7)2005/9/21 [撮影5日目(七)成長するキャラ]
俳優の意思を超え、役は動き出す!(6)2005/9/21 [撮影5日目(七)成長するキャラ]
そう、マキ(谷村美月)の家を4人が訪れるシーンの撮影から、
理沙(芳賀優里亜)が他の3人に対して、友情を持ち始めたこと。感じていた。
でも、このシーン。いや、本日のシーンも、理沙は他の子たちに友情を感じている設定ではない。
マキや夏美(佐津川愛美)の悲しい現実は見た。共感する部分が多々ある。
熱い思いを持つマキは、そこで心を開く。
だが、青い炎・理沙はまだ心を開かない。
事実、美香(東亜優)の憧れの先輩に会いに行くときも同行しない。
シナリオ的にはまだ、「友情」を表現する場面ではないのだ・・・。
(つづく)
俳優の意思を超え、役は動き出す!(5)2005/9/21 [撮影5日目(七)成長するキャラ]
俳優の意思を超え、役は動き出す!(4)2005/9/21 [撮影5日目(七)成長するキャラ]
本日、撮影しているケーキシーン。
夏美(佐津川愛美)らは テーブルを囲む。最初に天国に行く美香(東亜優)のために何かできないか? 考える。
ケンカっぱやいマキ(谷村美月)さえも、心を開き美香のことを考える。
3人は少しずつ、仲良くなって来ていた。
なのに、理沙(芳賀優里亜)だけは少し離れたところで、壁に持たれて距離を置いている。
そのシーンの撮影。
見た目は、理沙が皆に背を向ける態度。
なのに、 なぜか、夏美やマキ、美香に対する友情を感じているように見えるのだ・・。
(つづく)
俳優の意思を超え、役は動き出す!(3)2005/9/21 [撮影5日目(七)成長するキャラ]
いちご娘の1人。理沙。17歳。高校生。
成績はクラスで1番。でも、取り巻きを操る影番。
演じるは芳賀優里亜。
そんな理沙。交通事故で死に、幽霊になってからも、マキ(谷村美月)や美香(東亜優)ら他の子たちと一線を引き仲良くならない。
それぞれに48時間後には、天国に行かねばならない。なのに、理沙は実家に戻り、両親に会おうともしない。
全ての人間関係。「拒否」している。
その理沙に大きな異変が起きていた・・。
(つづく)
俳優の意思を超え、役は動き出す!(2)2005/9/21 [撮影5日目(七)成長するキャラ]
今回は経験ある人ほど、大変な撮影。
過去の経験がプラスにならず、むしろ戸惑いの元となる。
新人は疑問を感じないが、ベテランほど分からなくなる。
理沙を演じる芳賀優里亜、子役時代から活躍している。
心配になった・・・。
撮影当初、戸惑っていたようにも見えた。
「どこを撮っているか?分からない・・」
と困惑していたのかもしれない。が、数日後には変化がある。
芳賀さん。 戸惑うどころか、いちご娘4人の中で最も早く役を掴み、
大きな成長を見せるのである!
(つづく)
タグ:芳賀優里亜