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撮影6日目(十三)美香との別れ7 ブログトップ

悪魔の選択(14ー終)大きな問題 2005・9・22 [撮影6日目(十三)美香との別れ7]

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 そして、もし、どの日にも余裕がなければ、本日の撮り残し。

 クランクアップ後に撮影せねばならない。

 でも、これも先に書いたが、その場合は膨大な追加費用が必要。

 そして何人かの俳優が別の撮影のためにいなくなる・・。

 いずれにしても問題は大きい。

 しかし、そのことを悩んでいる時間はない。

 本日はこれから、ナイター(夜間撮影)である・・。

(つづく)


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悪魔の選択(13)撮り残し 2005・9・22 [撮影6日目(十三)美香との別れ7]

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 クランクイン以来、ついに撮り残しを出してしまう・・。

 先にも書いた通り。基本的には他の撮影日に、取り残し分を撮る。

 でも、その日撮影している場所から、本日撮影した場所に来る時間。

 残ったカットを撮影する時間が、奪われるのである。

 そのために、その日の撮影で撮り残しが出る可能性がある。

  (つづく)

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悪魔の選択(12)闇 2005・9・22 [撮影6日目(十三)美香との別れ7]

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 しかし、1カット撮影しただけで、まもなく辺りは闇に包まれる。

 予想以上に早く日の光は、失われてしまった・・。

 早撮りのために、引き絵で、長まわしにして、残りのカットを撮れば間に合ったかもしれない。

 でも、それだけはしたくない。

 東亜優が演じる美香の最後のシーンだ。それだけはしたくない。

 ちゃんと大切に撮りたかった。

 なのに、結局、撮り残しが5カットほど出る。

 別日に撮影せねばならない。

 それは、別日のスケジュールを阻害することになる・・・。

 (つづく)

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悪魔の選択(11)まだ行ける! 2005・9・22 [撮影6日目(十三)美香との別れ7]

 
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 闇が迫ってきた。撮影はもう無理か?

 カメラマンに聞く。

 「もう、それそろヤバいかな?」

 「いや、大丈夫です。肉眼で見るとかなり暗いですけど、カメラだとまた大丈夫です。

 あと、編集時に明るさを調整すれば、なんとかなると思います」

 よし、それなら続行だ!

 しかし・・・・・。
 
(つづく)


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悪魔の選択(10)闇が迫る 2005・9・22 [撮影6日目(十三)美香との別れ7]

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 しかし、本日の撮影。第1のクライマックスであり、

美香を演じる東亜優。最後の場面である。

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 手を抜いて演出ことは、できない。

 なのに、あたりは目に見えて暗くなって来た。

 あと5カットほどで終わりだが、大切なカットだ。

 いい加減には撮りたくない!

 しかし、どんどんと辺りが闇に包まれて行った・・。

 (つづく)

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悪魔の選択(8)盛り上がりを捨てる 2005・9・22 [撮影6日目(十三)美香との別れ7]

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もちろん、カットを割らず、1カット1シーンでもドラマを盛り上げる方法もある。

 だが、それなりの方法論が必要だし、

 その準備にはカットをたくさん割る以上の時間が必要。
 
 基本。カット割りを少なくすることが、撮影時間を短縮することになる。
 ただ、「カット割」を少なくするというのは、

 物語としての盛り上がりを捨てることにも、つながるのだ・・・

 (つづく)


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悪魔の選択(8)カット割りと表現 2005・9・22 [撮影6日目(十三)美香との別れ7]

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 そのとき主役はどんな表情なのか?

 相手役は、どんな反応か?

 背景の絵は、何を意味するのか?

 そういう要素を次々に観客に提示することで、ドラマは盛り上がる。

 カットを割らないということは、その表現を強調しないということ。

 舞台中継では、たまにしかクローズアップもない。基本は舞台全体を映すこと。


 それで物語が、おもしろくなるはずがない。


 (つづく)

 
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悪魔の選択(7)理由  2005・9・22 [撮影6日目(十三)美香との別れ7]

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 観客は劇場に行くと、舞台上の好きな部分を見ることができる。

 主演俳優でも、相手役でも、背景のセットでも、自由に見られる。

 これは映画でいうと、クローズアップで見ているのと同じなのだ。

 ところがテレビ中継では、舞台全体を映した引き絵が多い。

 たまに、クローズアップになるが、劇場中継では引き絵を多用する。

 これがカット割りの少ない映画と、同じなのである。


(つづく)

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悪魔の選択(6)劇場中継  2005・9・22 [撮影6日目(十三)美香との別れ7]

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 確かにカット数を少なくすると、撮影は早くなる。

 だが、カットの積み重ねで、「サスペンス」や「テンポ」というjものを作っていく。

 カットを減らすということは、それらも失うことなる。

 いい例がある。

 教育テレビなどで、ときどき歌舞伎や演劇などを劇場で撮影されたものを放送している。

 客席にカメラを置き、引き絵で延々と芝居を撮影。

 劇場で見ると面白いのに、テレビだとなぜか退屈してしまう。

 これはカット割りに理由がある。


(つづく)

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悪魔の選択(5)カットを減らす  2005・9・22 [撮影6日目(十三)美香との別れ7]

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 そのシーン。13カットあるとする。

 ということは、13回。セッティングが必要。

 それぞれに20分かかるとして、260分。

 4時間半かかる計算になる。

 でも、ここでカットを減らしてみる。

 5カットにしよう! そうすると、100分で撮りきれる。

 しかし、ものごとはな弊害がかならずある。

 (つづく)

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悪魔の選択(4)カット 2005・9・22 [撮影6日目(十三)美香との別れ7]

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 撮影では1つのカットごとに、監督が「カット」と叫び、カメラを止める。

 そして次のカット。カメラの位置。レンズを変える。


 照明も変える。録音部のマイク位置も変る。

 機材の位置。荷物を置く場所。ロケ車が画面に入るのなら移動。

 それらにかなりの時間がかかる。


 全ての準備を終えてから、リハーサル。それに合わせて技術部はさらに手直し。

 カットごとに、それを繰り返す。映画撮影に時間がかかるのは理解できると思う。


(つづく)

 
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悪魔の選択(3)シナリオで説明 2005/9/22 [撮影6日目(十三)美香との別れ7]

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 手書きで線が何本も引かれているのは、僕が書き込んだもの。

 文章と文章の間に引かれた線。

 その次の線までが「1カット」。

 その間に書かれた芝居は、同じ画面サイズで続けて撮影するという意味だ。

 これがカット割りといい、通常、監督が撮影前に行う。

 1つのシーンがいかに細かく割られているか? よく分かるだろう。

 スタッフはこれを見て、カメラ位置。ライトの位置等を決める。

 
 (つづく)

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悪魔の選択(2)シナリオで説明 2005/9/22 [撮影6日目(十三)美香との別れ7]

 一番簡単なのは、カットを減らすということ。

 シーンのカット割りというのは、基本的に監督が行う。

 では、「カット」というものを説明しよう。

 シナリオで、説明するのが簡単。以前にシナリオを例にとる。

 写真は今回の映画「ストロベリーフィールズ」のシナリオ。

 P17。墓場のシーンである。

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悪魔の選択(1)撮影時間が半分? 2005/9/22 [撮影6日目(十三)美香との別れ7]

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 いろんな形で、撮影時間を短縮することができる。
 
 しかし、技術部がいくら急いで仕事をしても、撮影時間を半分にすることはできない。

 結局、「早く撮る」ということは、監督の「意思」と「決断」にゆだねられる。

 というのも、監督が決断すれば半分どころか、3分の1、4分の1の時間で撮影を済ますことも可能なのだ。

 ただ、それは作品クオリティを下げるということにも、大いに繋がる。

 それを分かった上でも、監督たちはときおり

 「悪魔の選択」をせねばならない・・・・・。

(つづく)

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続・時間よ止まれ!(5)レベル低下 2005/9/22 [撮影6日目(十三)美香との別れ7]

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 時間のない中、撮影をするということは・・。

 作品レベルが低下することを意味する。

 もちろん。スタッフががんばって、急いで準備をするという方法もある。

 でも、それは限界がある。早いのは適度なところで妥協すること。

 あと2〜3回リハーサルを繰り返せば、いい芝居になると思っても

 そのまま、本番に入る・・、

 時間をかければ、いいライティングになるシーンでも

 パターンで照明を当てる・・そういうことなのだ・・。

 (つづく)

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続・時間よ止まれ!(4)1日2〜3分 2005/9/22 [撮影6日目(十三)美香との別れ7]

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 映画の撮影というのは、本当に時間がかかる。

 朝から日暮れまで1日撮影したとして、映画として使えるのは2〜3分。

 1時間半の映画を撮るのに、1ヶ月はかかる。

 それを最近では3週間で撮ったりする。今回も、そんなスケジュール。

 つまり、1ヶ月かかるところを3週間で撮るということは、

 もの凄くキツいスケジュールで、撮影するということ。

 その中で、さらに取り残しの消化・・。

 それは何を意味するかというと・・。


 (つづく)

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続・時間よ止まれ!(3)スケジュール 2005/9/22 [撮影6日目(十三)美香との別れ7]

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 ただ、違うのは・・。

 野球の場合。3回裏に3点取られても

 4回の表でがんばれる。時間制限は基本ない。

 ただ、映画の場合。本日、取り残したカットを撮るには

 先にも説明したように、別日に撮ればいいというものではない。

 その日は、その日のスケジュールがびっしり。

 ということは、どうなるのか?

 いくつかのシーンを早く撮り上げることで、時間を作るしかないのだ。

 (つづく)


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続・時間よ止まれ!(2)三回の裏に三点 2005/9/22 [撮影6日目(十三)美香との別れ7]

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 ほとんどのスタッフは「ギャラの額」や「作品の規模」に関わらず、全力でかかってくれる。

 ただ、撮影現場では思いもかけぬ事件。小さなミスはある・・。

 それをひとつひとつ指摘し、責任を追及するのは無意味だ。

 映画もチームワーク。

 みんなで、カバーすることが大切。

 どこかで時間がかかれば、その分をどこかで取り戻せばいい。

 野球でも3回の裏に、3点取られたとする。

 それなら、4回表に3点取り返せばいい。

 しかし、映画と野球が違うところがある・・。

 (つづく)

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続・時間よ止まれ!(1)映画スタッフ 2005/9/22 [撮影6日目(十三)美香との別れ7]

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 この問題。誰かがさぼったために起こった事件ではない。

 皆、超・真剣。

 監督である僕自身が5年がかりで、製作費を集め、

 命がけで撮ろうとしている作品であること。

 理解してくれている。

 それを無駄にしてはいけない・・と誰もが思ってくれている。

 いや、そうでなくても映画スタッフというのは、

 ごく一部の人たちを除いて、真剣に仕事にかかる。

 (つづく)

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時間よ止まれ!(10)完成できない・・ 2005/9/22 [撮影6日目(十三)美香との別れ7]

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 とすると、

 その俳優のスケジュールが空いてから、撮影するしかない。

 スタッフ&キャストがもう一度、ロケ地まで来ねばならないのだ。

 東京を往復する。追加ギャラ。交通費。食費。機材レンタル費。

 膨大な額だ。

 当然、今回はそんな予備経費もない。
 
 それは映画が完成できない・・ということにも繋がる。

 撮影中に120分。いや、30分でも、3分でも無駄にするということは、

 そんな大問題に繋がるのである・・。

 (つづく)

 
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時間よ止まれ!(9)宿代、食費 2005/9/22 [撮影6日目(十三)美香との別れ7]


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 さらに宿泊費、食費が必要となる。

 スタッフ、キャストを入れると50人はいる。

 1人、宿代、食事を合わせて1日2万円かかるとすれば、

 50×2万=100万円だ。

 が、予備の費用はない・・・。

 それでなくても、切り詰めるだけ切り詰めた撮影だ。

 また、キャストはクランクアップの翌日から、別の撮影に入る者もいる。

 そうなると、予算を追加しても撮影はできないのだ。

 では、どうするか?

 (つづく)

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時間よ止まれ!(8)別日 2005/9/22 [撮影6日目(十三)美香との別れ7]

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 そうなると、別の日にまた同じ場所に来て、

 残った撮影をせねばならない。

 でも、その日はその日で別の予定がある。

 また、ロケ場所が遠いところであれば、

 撮り残しの場所へ行く時間的な余裕。ないかもしれない。

 そのために、予定より1日多く撮影せねばならないこともある。

 そうなると、さらなる問題が出て来る!

 (つづく)

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時間よ止まれ!(7)120分・・ 2005/9/22 [撮影6日目(十三)美香との別れ7]

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 このことは何を、もたらすのか?

 無駄にした時間。120分としよう。

 本日の予定。日の入りまでに撮影を終了する予定だったとする。

 日の入りが6時だすると、その120分を無駄にしたために、

 2時間押し。撮影終了は午後8時になる。

 しかし、日が沈んでは撮影ができない。

 ライトを使うという手もあるが、途中まで太陽光で撮影していると

 色が変ってしまうのでダメ。

 結果、最後の120分は撮影できず、撮り残しを出すことになる。

 (つづく)

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時間よ止まれ!(5)砂浜で・・ 2005/9/22 [撮影6日目(十三)美香との別れ7]

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 で、想定していた絵に、限りなく近い絵を探す。

 それに時間がかかる。15分ほど。

 何とか撮影したが、それだけで終わらなかった。

 もう一度、先の排水口に行かねばならない!

 その行き帰りの移動時間。機材の積み降ろし。40分ほどかかる。

 そこを終えてから、次の現場へ。

 この段階で、すでに1時間以上が無駄になっている。

(つづく)

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時間よ止まれ!(4)排水口で・・ 2005/9/22 [撮影6日目(十三)美香との別れ7]

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 路地で早い時間に、太陽が遮られるから・・。

 それが理由。と、いうだけではなかった。

 今朝からの撮影・・。

 まず、排水口に行くと、満潮で水位が下がっておらず撮影できなかった。

 30分ほど待ったら、逆に水位が上がった・・。

 下ろした機材を積み直して移動。45分ほど無駄にする・・。

 次に行った海・・。

 こちらも満潮。

 砂浜が極端に短くなっていて、予定した絵が撮れない・・。

 (つづく)

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時間よ止まれ!(3)映像が堕ちる 2005/9/22 [撮影6日目(十三)美香との別れ7]

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 まずい! 光は映画にとって命。

 真っ暗にならずとも、先ほどのカットと光の量が変るだけでも

 編集時に違和感が生じるん。

 さらに映像の美しさが落ちて行く・・・。

 しかし、ここが路地だとしても、あまりに陽の入りが早いのではないか?

 実は、もうひとつの理由があった・・・。

(つづく)

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時間よ止まれ!(2)撮影の命・光 2005/9/22 [撮影6日目(十三)美香との別れ7]

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 あたりが暗いことに気づく。

 薄暗い。

 しかし、日暮れまでにはまだ時間がある。

 なぜ、暗いのか?

 考えれば当然だ。広い草原や海辺ならいいが、

 ここは路地。2階建ての建物に挟まれた狭い狭い路地。

 通常より早く、日が射さなくなるのである!


 (つづく)

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時間よ止まれ!(1)路地の撮影 2005/9/22 [撮影6日目(十三)美香との別れ7]


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 よし、号泣で行こう!

 そう決意して、そのカットはOKにした。

 しかし、早くも次なる問題が勃発する。

 これだから撮影現場は大変だ。

 佐津川愛美や谷村美月の渾身の芝居を見ていて、気づかなかったが、
 
 とんでもないことが展開していることに気づく。

 今、撮影しているのは、路地。

 木造の家や商店に挟まれた狭い狭い路地。
 
 車は通れない。バイクでも危ないくらい。

 そんな場所だけに、問題が起きたのである・・。

(つづく)

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