死神はアナログで!(2)2005・9・22 [撮影6日目(十五)死神の意味]
「予算がないから、死神をCGにできないんだろう?」
という映画人も何人かいた。
でも、その指摘はおかしい。なぜ、CGありきで発想するのか?
確かに最近の映画、怪物をCGで描くことが多い。
だからといって、猫も杓子もCG。そんなのは変!
その怪物を描くに一番ふさわしい手法は何か?を考えた上でCGを選ぶのならいい。
が、最近の映画は「CG以外は駄目」という感覚に陥っている。思い出してほしい。
CGで怪獣を描いたアメリカ版「ゴジラ」より、
ぬいぐるみで撮影した日本版「ゴジラ」の方が、圧倒的に素晴らしかったではないか?
(つづく)
死神はアナログで!(1)2005・9・22 [撮影6日目(十五)死神の意味]
死神のことで思い出すこと。
多くの映画人。こう言った。
「死神はCGで描くんだろ?」
CG、コンピューターグラフィックスである。
「ロード・オブ・ザ・リング」「ハリーポッター」等、CGを使ってリアルなクリーチャー(怪物)を表現していた。
ハリウッド映画ではなく、日本映画でもCGを使った作品。増えてきている。
高額な予算がなくても、技術の進歩で可能になったのだ。
しかし、今回の「ストロベリーフィールズ」では、CGは使わない。
シナリオ段階から、そう宣言していた。
(つづく)
シーン14の解説(5) 死神テスト 2005・9・22 [撮影6日目(十五)死神の意味]
死神の撮影テストも何度も行った。
「死神は田辺市の風景とマッチするか?」
「死神は存在感がもてるか?」
「死神はどんなふうに写るか?」
「死神の動きは、どうあるべきか?」
さまざまな角度からテスト。それを撮影。検討した。
その結果。死神はカメラ位置。角度。さらに光が大きく影響することがわかる。
しかし、照明のテストまではできなかった。
それを今夜、実践するのである・・。
(つづく)
シーン14の解説(4)ホラードラマ 2005・9・22 [撮影6日目(十五)死神の意味]
実は今回の「ストロベリー」の前に、別の作品でも死神には挑戦している。
「ストロベリー」の準備をしているときに、手がけた作品。
原作の中から好きなエピソードを選び、ドラマ化できるというホラー番組の仕事だった。
その中に、ちょうど「死神」というのがあった。
それも西洋風の死神。僕のイメージ通りだ。
それを選び、シナリオにし、監督した。
実際にやってみると、いろいろと問題があることが分かる。
その経験を生かし、よりリアルな死神を表現するため。
テストを始めた・・。
(つづく)
シーン14の解説(3)リアリティ 2005・9・22 [撮影6日目(十五)死神の意味]
そんな意味で、大切なのは「ストロベリー」は「ファンタジー」であり
「ホラー」や「コメディ」ではないということ。
その観点で死神を表現せねばならない。
これが、シーン14の最も大切な部分である。
死神のリアリティを失っては、コメディになってしまうし、
「仮面ライダー」の怪人に見えては、子供向きの作品だと思われる。
そのため、衣装部、メイク部とは早い段階から打ち合わせ。
死神の衣装は、
在りものを借りてきたのではない。
素材から選び作ってもらった。
(つづく)
シーン14の解説(2)ファンタジー 2005・9・22 [撮影6日目(十五)死神の意味]
今回の映画「ストロベリーフィールズ」は青春ファンタジー。
ファンタジーといっても、妖精や恐竜が出てくるヒロイック・ファンタジーではない。
日本ではSFやファンタジーというのが、非常に根付きにくかったので
理解されにくいが、ここが大切なところである。
シナリオを書いた段階では、35歳以上の男性はほどんど理解できなかった。
女性は漫画家・大島弓子の作品を読んでいた人たちが多く、35歳以上でも
理解してくれた。
そして若い人になるほど、理解者は多くなった。
(つづく)