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撮影6日目((十六)撮影場所 ブログトップ
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死神の階段(9)やる! 2005・9・22 [撮影6日目((十六)撮影場所]

鉄男&死神2

 「それでなくても、訳の分からない撮影が続いている。こんな監督で最後まで撮影できるのか?」

 「まともな映画に、なるのか?」

 そう思えたという。

 言われなくても、感じていた。

 言葉にして言うものはいないが、スタッフの間で大きな不安が膨れていること。

 身を持って感じている・・・。

 不安にさせないためには、本来の階段で撮るべきだったのかもしれない。
 
 でも、大切なのは、よりよい作品を撮ること。

 別の階段で、この場面は撮影する!

 (つづく)

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死神の階段(8)新人監督は不安 2005・9・22 [撮影6日目((十六)撮影場所]

新人監督.JPG
  
 でも、お願いして、別の階段に変更してもらった。

 が、場所を変更することだけが、問題なのではなかったようだ。

 ある人があとで、こんな話をしてくれた。

 監督がベテランのときと違い・・・新人だと。スタッフは不安になる。

 ロケ場所を突然変更するのは、「よりよい場所で撮影するため」というより

 「しっかりと考えていないから、安易に場所を変更する・・・」

 「気分屋で、いい加減だから、急に場所を変更する・・・・」

 そんなふうに解釈される。という・・・。

(つづく) 

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死神の階段(7)変更だ! 2005・9・22 [撮影6日目((十六)撮影場所]

死神登場&鉄男の掃除

 思い切って、製作部に告げる。

 「悪いんだけど、あっち側の階段に変更してもいいかな?」

 製作部のSさんは、まじめな人だ。

 「わかりました。監督がいいと思う場所で撮るのが一番です・・」

 場所の変更。ほとんどのスタッフ、影響なかった。

が、ある部の技師は不機嫌になる。

最初の階段をロケ現場と考えて、機材を発注。準備したものがある。

 それが別の階段では機能しない。無駄になるという。

 「今さら何だよ!」

 そう言われた・・。

 (つづく)


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死神の階段(6)名プロデュサーの言葉 2005・9・22 [撮影6日目((十六)撮影場所]

言葉.JPG

 大林監督の映画。「時をかける少女」を始め、数々の名作・・。

 そのほとんどをプロデュースしてきた、夫人・恭子さんの言葉。

 クランクイン前、ご挨拶に伺ったとき。こんな話をしてくれた。

 「太田君。撮影中は本当に自分がやりたいこと、やらないとダメよ。

 スタッフに気をつかって、このくらいにしておこうとか? 

 皆、疲れているから、今日は早めに終わろうとかしてはダメ。

 監督は何よりも、作品のことを考えるべき。

 どんなに辛い撮影でも、映画が完成したとき、その出来が良ければ、スタッフは必ず認めるの。

 でも、どんに楽しい撮影でも、出来が悪ければスタッフは認めない。

 楽な撮影する監督より、いい作品を作る監督を認めるよ・・

 その言葉を思い出し、決めた。ロケ場所は変更しよう。別の階段でやる!

 (つづく)


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死神の階段(5)迷い・・・ 2005・9・22 [撮影6日目((十六)撮影場所]

 高山寺


 最初に決めた階段で撮影することで、滞りなく作業を進めるべきか?

 スタッフにも余計な不安を感じさせない方が、いいかもしれない。

 しかし、もうひとつの階段の方が明らかにいい。

 そのシーンを表現する上で、ふさわしいのだ。

 だが、もっともっと入念なロケハンをしておけば、早くにその階段を見つけられたのだ。

 でも、あの時期。さまざまなトラブルが起こり、監督業以前で忙殺・・余裕がなかった・・。

 悔しい・・・。

 でも、どうする! 

 そんなとき、思い出した言葉がある・・・。

 (つづく)

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死神の階段(4)こみ上げる不安 2005・9・22 [撮影6日目((十六)撮影場所]


高山寺

 「何だか、よく分からない撮影だな・・・何をしたいんだ。監督は?」

 そう思っているスタッフもいるようだ。

 おまけに撮影は、そろそろ1週間。疲れが出て来る頃。

 イライラが溜まっている人もいるだろう。

 ここで、突然、撮影場所変更!というと、さらに戸惑うスタッフも出るはず。

 それぞれの技術パートが考えたプラン、台無しになる可能性が高い。

 すでに本日は撮影スケジュールが遅れている。

 「なのに、撮影場所変更? 大丈夫かよ?」

 「クランクアップの日に間に合うのかよ?」

 スタッフの不安は、増して行くだろう・・・。

 
 (つづく)

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死神の階段(3)戸惑い 2005・9・22 [撮影6日目((十六)撮影場所]

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 しかし、幸運かもしれない。そのベターな階段は30メーター向こう。

 遠い場所ではない。

 ただ、気になるのは、今夜のスタッフの雰囲気。

 朝からトラブル続き、用意したものが駄目になったり、何度も移動したり。

 撮影中に日が落ちて、撮り残しまで出た。

 また、僕が実践するハリウッド式撮影にまだ戸惑うスタッフもいる。

 日本映画の撮影法とはかなり違う方法論での撮影。不安があるようだ。

 「監督新人だし、大丈夫かよ? こんなで最後まで撮影できるのか?」

 と感じている人もいるようだ。

 (つづく)

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死神の階段(2)間抜け 2005・9・22 [撮影6日目((十六)撮影場所]

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 ふと気づくと、よりよい階段がすぐ先にあった。

 だが、メインロケハンでは、別の階段で撮影すると説明。

 スタッフは皆、そこで撮ることを前提に準備を進めている。

 もちろん、カメラだけなら、あちらに持って行くだけで済む。

 が、場所が変わると、段取りが変わる部署もある。周到な用意が無駄になる。

 スタッフも混乱する。

 徹底したつもりだったが、ロケハンに穴があった。

 それもすぐそばに、より良い場所があるなんて間抜けだ・・・。


 (つづく)

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死神の階段(1)ロケハンが不十分 2005・9・22 [撮影6日目((十六)撮影場所]

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 話が逸れてしまった。

 そう。徹底してロケハンをした。5年もロケハンしたのに、手薄なところがあった。

 この高山寺の場面である。

 初期のロケハンでは、同じ場所を何度も訪れているが、ここは今年に入ったから決めた場所。

 徹底できていなかった。

 あるルートで集まった製作費が、撮影直前に駄目になった。

 クランクインを延期して、製作費集めに戻る。

 撮影準備の忙しい時期に「シナリオを直せ!」と言って来る人がいたり。

 トラブルが続出。足を引っ張る奴までいて、本当に時間がなかった。

 監督業より、脚本家業やプロデュサー業が忙しかったりした。

 そんなことで、今夜の場所。何度も訪れてはいなかった・・・。

 (つづく)

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ロケハンとは何か?(13)刑事と同じ 2005・9・22 [撮影6日目((十六)撮影場所]

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刑事も鑑識が撮った写真を見るのではなく、実際に殺人現場に立つことが大事。

 犯行が夜なら、現場にも夜行く。

 映画でも、撮影が昼であれば、その場所に昼行くのが大事。

 時間がないからと、夜撮影する場所に朝行くのは違う。

 また、同じ場所を朝、昼、夕方、夜と別の時間に訪れることで、新たな魅力を発見することがある。

 そして、夜撮影するとしても、その場所の昼の顔を知った上で撮ることも大事なのだ。

 さらに、雨の日、晴れの日、曇りの日に同じ場所を訪ねる。

 「そんなの関係なくない?」 

 と思う人もいるだろう。でも、そうやってロケ場所を知り、把握し、その場所を好きになることで

 必ずロケ場所も、笑顔で微笑んでくれるようになる。

 (つづく)



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