ロケハンとは何か?(12)将棋と同じ 2005・9・22 [撮影6日目((十六)撮影場所]
ロケハンとは何か?(11)佇む 2005・9・22 [撮影6日目((十六)撮影場所]
ロケハンとは何か?(10)ここで撮る 2005・9・22 [撮影6日目((十六)撮影場所]
そんなことをやったので、製作費が集まる前に、
撮影場所のほとんどが決まっていた。
通常は製作部が「監督、ここどうですか?」とロケ地候補を訪ね歩くのだが、
今回は僕が製作部を連れて、「ここで撮るからね!」と説明して歩いた。
ロケハンというのは、単に撮影するための「美しい場所」を見つけるだけではない。
その場所で、どのシーンをどのように撮影するのか?
バタバタで決めることなく、時間をかけて、あらゆる角度から検討する。
それが太田組式ロケハンである。
(つづく)
ロケハンとは何か?(9)殺されてもやる! 2005・9・22 [撮影6日目((十六)撮影場所]
なのに多くの監督は製作部が車で迎えに来ないと、ロケハンには行かない。
ただ、地方ロケの場合は個人負担では大変。交通費も、宿泊費も、食費も自腹となる。
しかし、今回の「ストロベリーフィールズ」。
僕は仕事とは思っていない。殺されても撮りたい映画だ。
これが完成し、無事にお客さんに見てもらえれば、死んでもいいと思っている。
自腹で5年間。ロケハンを続けた。
交渉や協力をお願いに、毎月のように田辺を訪れたとき。
必ず、ロケハン。
製作部が見つけた来た候補地に行くのではなく、自分でゼロから探した。
(つづく)
ロケハンとは何か?(8)現場百回 2005・9・22 [撮影6日目((十六)撮影場所]
刑事ドラマでよく聞く台詞だが、「現場百回」というのがある。
「事件現場に百回行け!」ということ。 そこに全ての答えがあるからだ。
同じ意味で映画は「ロケハン100回!」だと考える。
さすがに100回は行けなかったが、テレビドラマの演出をしたときも都内のロケ場所。
事前に5回は行った。
日を変えて行くと、最初は気づかなかったことに気づいたりする。
また、撮影をする場所以外。その周辺も把握しておくと違った発想が出てくる。
(つづく)
ロケハンとは何か?(7)太田組式 2005・9・22 [撮影6日目((十六)撮影場所]
だから、太田組では、ロケハンに時間をかける。
が、先にもあげたように製作会社は節約第一!
「長期間ロケハンに行く余裕なんて、ないんだよあな~」
製作部ならこう言う。
「気持ちは分かるんですけど、車を借りる経費がもうないんですよね」
必ずそういわれる。でも、都内のロケ場所なら、電車で行ける。
製作部が車で迎えに来てくれなくても、監督一人で行けばいいのだ!
そんなことをすると嫌がる製作部もいるので、僕はときどき隠れてロケハンに行く。
そしてスタッフと一緒だとすぐに
「監督、時間がないので、そろそろ次へ・・」
と急き立てられるが、一人なら気が済むまで、現場にいられる。
そして、別の日にまた、その場所に行くこともできる。
(つづく)
ロケハンとは何か?(6)場所の魅力 2005・9・22 [撮影6日目((十六)撮影場所]
ロケハンとは何か(5)刑事でいえば 2005・9・22 [撮影6日目((十六)撮影場所]
パターンというのは、表面的な物語を見せるのに便利な手法。
だが、それは観客の立場を考えるというより、撮影する側にとって便利という意味合いが強い。
新しい表現を模索するとか、その場面に最もふさわしい撮影法を考えるではなく、
パターンに押し込めて、それで安易に済まそうとしていることが多い。
だから、パターンで撮られた作品。安易であり、力を感じない。魅力がない。
ロケ地のよさを引き出すとか、物語の奥行きを伝えるのもむずかしい。
変な例だが、こういうとわかり易い。
殺人事件に来た刑事が、死体を見て、「ああ、これは自殺だ」と決め付けるのがパターンの撮影。
でも、「本当に自殺か?」「殺人ではないか?」「事故ではないか?」「原因はなんだ?」と
いろんな方面から考えていくのが、本来撮影にも必要な思考である。
(つづく)
ロケハンとは何か?(4)パターン 2005・9・22 [撮影6日目((十六)撮影場所]
「ロケハンや段取りにダラダラ時間をかける奴は、頭が悪いんだよ!」
先輩監督はそういう。
確かにその先輩。とても頭の回転が速く、段取りもスピーディー。
でも、誰もがそんなふうにはいかない。
どんなに頭がよくても、時間のない中で、ものごとを考えるとパターンに陥ってしまわないか?
映画の撮影。基本的な撮り方というのがある。
引き絵で入って、俳優登場。相手役が振り返る。それを横から撮って会話を見せる・・。
2時間ドラマでパターンというのは、出演者全員がカメラの方を向いて会話すること・・。
そんなふうにドラマにも、パターンの撮影法がある。
つまり、そのパターンを使えば、頭がよくても悪くても、
時間をかけずに撮影の段取りを、決められるのだ。
(つづく)
ロケハンとは何か(3)作品レベルの低下 2005・9・22 [撮影6日目((十六)撮影場所]
ロケハンというのは、撮影にふさわしい場所を選ぶだけの作業ではない。
どこにカメラを置き、どこに俳優を立たせ、どのように動いてもらい、
物語を進行させるか? を考えるのもロケハンでの仕事。
でも、あまりにも短い時間で移動すると、その場所がいいか?どうか?
判断するだけで終わってしまう。それが作品レベルを低下させていると、僕は考える。
が、先輩監督の中には、こういう人もいる。
「俺は例えロケハンに行かなくても、撮影現場に行けば1分で撮影の段取りを決められる」
つまり、ロケハンで時間をかけて現場で撮影プランを考えなくても、どこにカメラを置き
俳優をどこに立たせて、どのように撮影するか?を瞬時に考えつくというのだ・・。
(つづく)