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第1章 挑戦スタート篇 ブログトップ
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2002年9月26日 /デッドエンド [第1章 挑戦スタート篇]

 3週間が過ぎた。が、未だに先方の会社からは、返事がない。

 当初「次の金曜日にビデオ会社にシナリオを見せる」というので、急いで脚本を2冊作り、製本し、速達で送った。

 が、金曜日はもう3回も過ぎているのに連絡はなし。で、あるルートを通じて様子を探った。

 先方が「やる気」をなくしていることが分かる。あそこまで言ってたのに他の仕事でもう手がまわらなくなり、興味を失っているとのこと。
  とにかく、もう企画のことは頭にないようだと言われる。念のために直接、先方にも確認。情報は正解だった・・。

 「どこか他に手を上げる会社が出て来たら、考えてもいいよ?」

 そう言われた。今までとはニアンスが違い、関心がないことがすぐに分かる。「一度、会いましょう」という話ももう出ない。他の仕事で忙しいとのこと。

 事実上のボツである。これで「ストロベリーフィールズ」に興味を持ってくれる会社は、ゼロになってしまった・・。

          (第二章へつづく・・)


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2002年9月20日・Ⅲ/返事! [第1章 挑戦スタート篇]

 夜、部屋に戻る。留守電は録音されていない。パソコンを機動。メールをチェックした。返事が来ていた・・・・・短いメールなので、すぐに読めた。次のような内容だ。


 
 「まだ、ビデオ会社には『ストロベリー』の脚本を見せていません。いろいろと雑事におわれておりまして。すみません」

 まだ、企画検討は続いているようだった。ホッとした・・・。が、このあとには相変わらず「主演はアイドルで行きたい」ようなことを書いてある。
 こちらは了承したと連絡したのに、なぜか?伝わっていないようだ。

 先方とは一度も会ってない。やはり顔を見ず、キャラクターも分からずに交渉するのは難しい。彼の価値観も方向性もよく分からない。電話から分かるのは無駄をせず、効率を重んじるやり手ということだけ。

  内容的には「ストロベリーフィールズ」を評価してくれているが、どこまで真剣かも分からない。こちらの思いも伝わっていないようだし、不安がつのる。

 取合えず、ボツの不安はなくなったが、また胃が痛い日々が続く。ホント、こんな交渉に比べれば、真夏の太陽の下の撮影も、徹夜のシナリオ書きも、締め切りに追われる編集も、楽しいものだと思えてくる。

  だが、あとはない。持てる全ての力と時間を「ストロベリー」に注ぎこんでいる。何とか形にしたい・・・。(つづく)


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2002年9月20日Ⅱ/ボロボロ [第1章 挑戦スタート篇]

 数日間。返事はないかもしれない。その間また胃の痛い日々が続く。が、すぐに返答があるかもしれない。電話がかかってくるかもしれない。

 「あの映画の件はなかったことにしてくれ・・」

 そう言われるかもしれない。 しかし、この半年、全てを「ストロベリー」に賭けている。経済的にも、精神的にも、もうボロボロだ。余裕がない。
 だが、応援してくれている役者やスタッフたちのことを考えると、監督として弱音は吐けない。

 が、今、返事の電話があると、ショックが大きく受け止められないだろう。
 メールを先方に送った直後にパソコンの電源を切り、外に飛び出した。冷静になろう。余裕を持とう。

 そして最悪の結果でも、それに対処し、次の展開を考えよう。でも・・・・今回より可能性が高い会社は、もう思いつかなかった・・。(つづく)


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2002年9月20日・Ⅰ/二週間経過  [第1章 挑戦スタート篇]

 相変わらず食欲はない。待ち状態が続いているせいかもしれない。「来週、一度会いましょう」と、先方は言っていたが、2週間たっても連絡なし。前回も書いたが、大手は企画がボツになっても、それを伝えてこないことがある。

 といって、こちらから「どうなりました?」と何度も問い合わせると、嫌がられる。先方だっていろいろとあって、企画を進められないこともあるので、催促されるのはいい気分ではない。
 
 ただ、「ストロベリー」のシナリオを送り、もう2週間も経つので心配。連絡せねばとも思うが、問い合わせをすると「ああ、あの企画はなくなったよ!」と言われるかもしれない。

 それもあって不安。何度も問い合わせをしようとしたが、躊躇していた。が、いつかはハッキリとさせねばならない。昨日、ついに決意して、催促しているようにはせずにメールを書き、先方に送った!(つづく)


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2002年9月17日 /疲労 [第1章 挑戦スタート篇]

 このところ連絡待ちが続き、精神的プレッシャーが続く。こちらはいつでも対応できるように、返事がなくても他の仕事をせずに待っている。電話をすると、先方が多忙なところへ催促することになる。

だが、1カ月ほどして電話すると、「あれはなくなったよ!」と、言われることがある。(最近も、似たようなことがあった)
 映像関係の会社の中には企画がボツになっても、何も言って来ないところもあるのだ。 でも、まだ1週間。駄目にはなっていないと思いたい。

 が、そんなときに先月やったゲームの担当者から今ごろになって、「もう1本ダビングしてほしい」とか、今更、「請求書を出してほしい」とか言ってくる。

 イライラ!がつのる。でも、待っていると、知人が舞台を見てくれと連絡してくる。友人がライブをするので撮影してほしいと言ってくる。両者ともに、義理もあるし、お世話にもなった人々なので、疲れていたが笑顔で出かけた・・。
 
 休む間がなく、疲れが加算されて行く。昨日に続き今日も、昼間ベッドで横になると、そのまま寝てしまった。気付くと2時間も経っている。子供時代も昼寝なんかしなかったのに、これは過労の兆項か?

 昨年からの営業に時間を取られて、本業がほとんどできない。収入は激減。返事待ちでストレスが溜まり、かなりイライラしている。
 おまけに酒がまずく、量を飲めなくなった。自分が感じる以上に疲労しているのかもしれない。でも、チャンスは目の前だ。負ける訳にはいかない! (つづく)


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2002年9月15日 /待つ [第1章 挑戦スタート篇]

 さて、こちらは待ち状態。先日、E社からは「今週中に一度会いましょう」と言われていたのだが、連絡なし。

 「もしかしたら、やる気をなくしたのかも・・」

 そう考えてしまい、プレッシャー。胃が痛む。映画関係の人は企画がボツになっても連絡して来ないことが多い。

 が、今は待つしかない。ただ、時間があるからと言って、他の仕事はできない。もし、先方から連絡があればすぐ対応せねばならないからだ。

 「今、来月の家賃を稼ぐために、仕事をしているので打ち合わせは来週に・・・」

 なんていったら、やる気ないと思われて即OUT。いくら生活が苦しくても、膨大な借金をしていても、今一番大切なのは、チャンスをつかみ、「ストロベリーフィールズ」を撮ることなのだから。

 状況は厳しいが、「お金もある。体力もある。やる気もある。そしてチャンスもある」なんてことは有り得ない。
 何かを得るためには、何かに耐えねばならないものだ。「ストロベリー」は必ず形にする! もう一度、自分にそう言い聞かす・・・。(つづく)


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2002年9月4日Ⅲ/映画ビジネス [第1章 挑戦スタート篇]

 映画は例えシナリオがつまらなくても、人気俳優が出演することになったり、ベストセラーの原作権が押さえられれば、製作資金が集まる。そして撮影することができる。それが映画ビジネス。
 
 つまり、先方がいうのは、こういうこと。

   「シナリオが面白いだけでは製作はできない。資金を出すスポンサーの意見を取り入れることで、映画がスタートできることもある。ストーリーをねじ曲げ、話を詰まらなくすることであってもだ。でなければ撮影には入れない」
 

 いや、そんなケースは多い。日本映画に面白くない作品が多いのはそのせいなのだ。「だが、金を出してもらうからは、我慢せねばならない。それが映画界だ!」と彼は主張。「それでもやりますか?」と迫るのである。

 そうは言いながらも、シナリオをあるビデオ会社に見せるという。そこが乗って来たら、我が社も乗る可能性があると言う意味だ。そして彼は最後にこう言った。
 
 「その打ち合わせが終わったら、太田さんと一度会いましょう・・」
 
 普通は逆だ。全てを始める前に会うのが基本。だが、彼は電話でシナリオの話をさせ、「おもしろい!」と思って、初めて脚本を送って欲しいというタイプ。合理的な考えをする人なのか?

 でも、先日のビデオゲームのPと同じで、実際に会わずに話を進めるというのはどうなのか? 今、目の前にある可能性を信じるしかない。E社からの返事を待つことにした・・。(つづく)
 


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2002年9月4日Ⅱ/映画館の現実 [第1章 挑戦スタート篇]

  まともな作品ならば、映画館はデイタイムの時間帯で上映、ちょっと厳しい作品はレイトショー。かなり厳しい。特定の人しか来ないから、ダメでもいいや・・・というときはモーニングショー公開。

 だから、「レイトショー」というのなら「可能性は低いが、行けるかも?」と感じているのだ。これがもし、こちらから映画館に作品を持ちこんだときには、最低保証金として何百万円も払わなければならない。それが映画館のシステム。

 製作側が客の来なかったときの、赤字を埋めなければならない。理不尽にも思えるルールだが、それが日本の映画館。だとすると、彼のいう提案は作品へのある種の評価とも思える。そう考えていると、彼はこう言った。
 
 「ウチにはいっぱいシナリオが送られてくる。その中ではかなり出来がいい方だと思うよ・・」
 
 ニアンスとしては「ストロベリーフィールズ」が一番よくできていた!というように聞えた。嬉しい話ではあるが、現実的に考えると厳しい一面を見なければならない・・・。(つづく)


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2002年9月4日・Ⅱ/レイトショーの可能性? [第1章 挑戦スタート篇]

 こうして1週間が過ぎる。いつ、E社から電話があって、「シナリオ遅いね! だったら、もういいよ!」と言ってくるのではないかとビクビクしていた。

 そして本日、ようやくシナリオ2冊が完成、僕が以前に撮った監督作品のビデオも同封、手紙を添える。

 セブンイレブンから宅配便で発送。帰ってくると、担当者から電話が入り留守電にメッセージ!が入っていた。

 「また、連絡します」

 と冷めた声。もしかしたら「今さら送るなんて、遅い!」と怒っているのかとも想像。恐々と電話をかけた。
 彼は「ストロベリー」の脚本は気にいているという。でも、こうも言う。

 「今後、スポンサーを集め、いろんな会社が参入してくれば、物語を根本から変えなければならないこともある。
 作品を全て壊して別のもになってしまうこともある。この作品は細かい部分まで作り、世界観もできあがっているけど、それを破壊してでもやるか?」

 さらに彼はこうもいう。
 
 「今のままでは、僕はお金を出すつもりはないよ! でも、君が自分でお金を集めてきて、映画を作り、配給会社を探してくれば、ウチが持っている劇場のレイトショーでかけてもいいよ・・」
 
 一見、厳しい批判的な発言に聞える。でも、ある部分で彼は「ストロベリーフィールズ」を認めているのだ。

 全く箸にも棒にもかからぬ作品を、映画館でかけるとは言わないだろう。リスクは背負いたくないが、ヒットする可能性があると思っているようだ・・・。(つづく)


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2002年9月4日Ⅰ/ 同時進行? [第1章 挑戦スタート篇]

 シナリオを読み、興味を持ってくれたE社から連絡あり。

 「さらに2冊『ストロベリーフィーズ』のシナリオを送ってほしい」

 

 よし! 好感触! 早急に印刷、製本して送ろう。と思うのだが、直前にゲーム説明ビデオの仕事を受けてしまっていた。

 そのためビデオの編集作業をしながら、横に置いたプリターでシナリオを印刷。両面プリントがオートでできないので、1枚1枚手差し。
 すると、編集作業がストップしまう。同時進行にすると、集中力が散漫。同じページを2回印刷してしまい、また最初からやり直し。
 
 ビデオ編集の締め切りが間近なので、シナリオを製本屋に出しに行く時間がない。が、「編集」」と「シナリオ発送」はどちらが大事かというと、シナリオに決まっている。といって、ビデオ編集を投げ出していいことにはならない。

 製本に出したあとも、今度は取りに行く時間がない。ゲーム会社に行く途中にある店なのだが、午後8時で店は閉まる。
 なのに編集がなかなか終わらず、ギリギリまで作業をするので、いつも店前を通るのは8時過ぎ。ようやく、取りに行けると思うと日曜で店は休みだ・・。(つづく)


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