2002年11月14日・Ⅵ 不安な夜 [第2章 東京・営業篇]
翌日にはP(プロデュサー)から「シナリオをさらに5部ほしい!」との連絡。2日がかりでプリントアウト。安物のプリンターは時間がかかる。おまけに両面コピー。
1冊500円の製本屋に出し て、宅配便で発送したのが、ようやく一昨日だ・・・。
営業のときから考えると、もう100冊近いシナリオをコピー。製本している。その経費だけでもかなりなもの。
だが、ギャラはまだまだ出ない。経費も出してもらえる段階ではない。収入に繋がる仕事をする時間もない。
その上、企画が途中で潰れれば、無報酬。もう本当に生活が破綻しそうだ・・・。が、先のことは考えないようにする。
今回は遺作だと思って全力投球。でも、ときどき、疲れることがある。逃げ出したくなるほど、打ちのめされることもある・・。でも、負ける訳にはいかない・・・。(つづく)
次回からは「第三章 主演女優探し篇」へ!
2002年11月14日・Ⅴ いつもの部屋 [第2章 東京・営業篇]
灯りを付けて、部屋を見渡すと、いつもと変わらない光景。天井までそびえる本棚。27インチ・テレビに、積み重ねた何十本ものビデオテープ。
相変わらず散らかった室内。一度片付けなければ、泥棒が入っても分からない・・・
そう思えると、悪夢の不安は去っている。時計の針が午前3時を指すが、眠れず、パソコンの電源を入れ、久々にこのブログを書く。
この2カ月は「ストロベリー」の改訂稿。血のウンコをしながら数週間執筆。誰とも会わず、誰とも話さないで書いた。
と、A子問題が起こり。また胃の痛い日々を過ごす。そして完成。Pにシナリオを渡す・・・。(つづく)
2002年11月14日・Ⅳ 自分を励ます [第2章 東京・営業篇]
今回はメジャーな会社の仕事であり、大きなチャンスだ。低予算とはいえ、1000万円を越える製作費はこれまでにない額。
そんな巨額の製作費を生かすも殺すも監督次第。
いや、大丈夫・・・僕ならできる・・・きっとできる・・・・今までも、厳しい状況を乗り越えてきた。羽根をもがれて、地面に叩きつけられたことが何度もある。
けど、また飛びあがった。横浜時代も、LA時代も乗り切って来た。考えると、あの頃の方が辛かったはず。
それに比べれば今は、大したことないだろう・・・・何度も自分にそう語りかける。大丈夫。できるはずだ・・・・何度も自分に、言い聞かせる・・・。(つづく)
2002年11月14日・Ⅲ 悪夢の意味 [第2章 東京・営業篇]
ここしばらくハードな日々が続いていたせいだろうか? 夢でうなされるとは情けない。
先日は夢で「ストロベリー」が中止になったと告げられ、延々とPに再考を迫ってた・・・。
目が覚めてからも、しばらくは言い訳を考えつづけていて、「あっ・・・・夢だったんだ・・・・」と安心したことがある。
それも主演候補のA子問題が解決したあと。日頃は偉そうなことを言っていても、本当は不安で、全然強くない・・。
こんなで本当に数多くのスタッフ&キャストを引き連れて撮影をできるのだろうか?と不安になる。
いや、撮影するだけではなく、感動的な素晴らしい作品 を作らねば、ならない・・・。(つづく)
2002年11月14日・Ⅱ 悪夢 [第2章 東京・営業篇]
目が覚めると息切れがして、物凄い疲労感が襲う。
「ああ、夢だったのか・・」
そう呟き、同時に、「ここはどこだ?」と思う。LA? 東京? 横浜? 自室の暗闇の中 で目を凝らす。どうやら、東京らしい。西暦何年?
1980年? 1990年? ああ…2002年か・・と思い出し現実に戻る。そして枕もとの目覚しを見ると、寝てから2時間しか経ってなかったりする。
通常はそれで終わりだが、起きてからも悪夢を引き摺ることがある。もの凄い不安感を引きずって耐えられなくなることがある。一昨日もそうだった・・・。(つづく)
2002年11月14日・Ⅰ フロイト [第2章 東京・営業篇]
フロイトは精神状態を解き明かす鍵は夢にあるという。(「ストロベリーフィールズ」の主人公の1人、理沙はフロイトの愛読者という設定。なので少し勉強した)夢を解析する ことで、その人の心理が読めるという。
そう考えると世界の巨匠・黒澤が見た夢は、総天然色の芸術映画のようだったというのも分かる。
が、僕の夢は超ゲテモノのホラー映画。自分でも考えつか ない程のえげつない物語ばかり。
あるときは崩れてくる建物から逃れ、また、あるときは怪物に襲われる。逃げようとするがスローモーションになって走れない。(夢の中でも映画技法?)
どんどんと怪物は追って来る。追いつかれて、もうだめだ・・・と思ったときにいつも、ハッと目が覚める・・・・。(つづく)
2002年11月10日・Ⅱ 早稲田祭 [第2章 東京・営業篇]
ただ、クラビアアイドルとしてなら凄く魅力的だが、女優として考えたときにはどうだろう?
実際に演技を見ていないので何ともいえないが、むずかしさ を感じる。それと性格がいかにも芸能人。凄く前向きで自己アピールもできる。
それはアイドルとしては大切なことだが、夏美役という意味で考えると、かなり違う。彼女は自分を素直に表現できず、優等生を演じている哀しさがなけれ ばならない。
その意味で健康優良児のB子では、キャラが違うと思える。「そこを演じさせるのが演出」という人もいるが、本人にないものは引き出せないというのが僕 の考え。
Pには「B子は違う」と報告。3日分の生活費を入場料に使ってしまったので、しばらく貧しい生活が続く。忙しいのに生活費を稼ぐ時間なし・・。(つづく)
2002年11月10日・Ⅰ アイドル研究会? [第2章 東京・営業篇]
「ストロベリーフィールズ」主演・夏美役候補ナンバー2のB子を、ナマで見るために早稲田際へ。アイドル研究会主催のイベント。3時間も待たされた上に、入場料を3000円も取られた。
何が行われるのか?と思っていたが、単なる撮影会。
お客はほとんどカメラ小僧で、皆、望遠付きの一眼レフカメラでアイドルたちを連写。B子以外にも6人のアイドルが来ていて、司会者が順にインタビュー する。
が、基本は撮影会。これで3000円は高過ぎ!
でも、これがアイドルファンという人たちだと知る。雑誌や写真集を買えば彼女たちの写真は手に入るのに、わざわざ入場料払って、自分のカメラで憧れのアイドルを撮影するところに意味があるようだ。
で、お目当てのB子。確かに7人の中でも一番輝いていた・・・・。(つづく)
2002年11月8日・Ⅱ 主演女優の第2候補! [第2章 東京・営業篇]
結局、アイドルA子は自社が企画する映画に主演することになり、「ストロべリー」に出てもらえなくなった。また、主演候補を1から探す事になる。
で、上がった第2候補はB子。18歳のアイドル。といって、すでに超人気者の彼女。会社に呼んでオーディションはできないという。
でも、本人に会わずに決めることはできない。A子のように都合よくライブに出演していて、招待券をもらうということもなかなかない。
と、調べていると早稲田祭に出演しているというのを聞き、個人的に見に行くことにした・・。(つづく)
2002年11月8日・Ⅰ 印刷屋? [第2章 東京・営業篇]
さて、昨日の続きを書く。脚本のリライトでドロドロに疲れていた。が、危機が去ったあとも、次々にやるべきことが増えてしまう。
一昨日はPから「シナリオをあと5冊ほしい」と連絡があり、昨日から、印刷屋状態。ここ数日、続くだろう。
部屋のプリンターで、一面コピーして綴じるだけだと簡単でいい。が、それでは事務的。両面に印刷して、製本。
シナリオ形式にして渡す方が「やる気」を感じさせることができる。タ イトルもシールで貼る。見た目は完成された脚本になる。
が、僕の使っている安物のプリンターだと、5冊作るとプリントアウトだけで半日! ガタコン、ガタコンと、ゆっくりと紙に印刷されて行くので一枚に10分近くもかかる。
おまけに裏側の印刷は手差しで1枚ずつしないと、ページがずれると表も全部 やり直しになる。慎重に時間をかけてやらねばならない。
そしてようやく製本屋に出す。経費は1冊500円くらい。仕上がりは翌日。時間も手間もかかる。でも、シナリオ一冊でも、そこにやる気が宿る。
「やる気」を伝えることは大切。おっと、昨日の続きを話 さねばならない・・・。(つづく)