2002年12月16日・Ⅰ 地方ロケの難点1 [第3章 主演女優探し篇]
D社のP(プロデューサー)から連絡があった。F社が「ストロベリーフィールズ」のシナリオを読み、興味を示したという!
「*千万円出してもいい!」
と言ってるらしい!! そうなるとD社と合わせて総額*千万円!!!!!!ただ、先方には条件があった・・・。
「大林宣彦監督が監修で、ロケ地を尾道にすること!」
ロケ地は田辺市で。ということで今回の映画はスタートしている。が、映画として宣伝を考えると、それではダメだという。
関東では知名度のない和歌山県にある、ほとんどの人が知らない田辺市。そこでロケするより、大林映画で有名な「尾道」の方が知名度があるし、話題になるので売りやすい。
これで大林監督が監修をしてくれれば、かなりの宣伝効果。主演アイドルのファン以外の層を呼ぶことができる。彼らはそう考えたのだ・・。(つづく)
2002年12月12日Ⅱ 第4候補D子! [第3章 主演女優探し篇]
そこでPから推薦されたのがD子。テレビドラマで活躍中の15才。
そういう展開は予想していたので、アイドル雑誌を毎月買って勉強していた。その先月号の表紙を飾った子だ。
C子より庶民的な感じ。元気がありそうなので、どちらかというと夏美役よりマキの方が近いかもしれない。
ルックスはいいが、演技が気になる。ビデオ化されている主演作品を借りようとするが、現在レンタル中!
毎日ビデオ屋に通ってチェックしている。そんなとき、Pから驚くべき提案の連絡があった・・。(つづく)
2002年12月12日Ⅰ 役を減らす? [第3章 主演女優探し篇]
「ファンタジーなんだから、幽霊と死神以外にも一角獣や妖精を出せ!」
・・・ということか? Pと話合ったが、そういう意味ではないと思える。「ストロベリー」は「ハリーポッター」とは違う・・。
あと、Pから、さらなるシナリオの直しを要求される。「役をもう少し少なくしてほしい」とのこと。両親役とかクラスメート役のことだ。
田辺市で撮影するとなると、小さな役でも東京から連れていくことになる。交通費や宿泊費、食費がバカにならない。
なるべく登場人物を少なくする必要があるのだが、削り過ぎるとドラマまで薄っぺらくなる。むずかしい問題だ・・。
同時にC子がダメだったときのために、第4候補を決めて置く必要があると言われる・・・。(つづく)
2002年12月12日Ⅰ C子への出演依頼 [第3章 主演女優探し篇]
僕の連絡でP(プロデュサー)は「No1人気のC子で行けるなら!」と即、C子が所属する事務所に連絡。
それから1か月。ようやく返事が来たと言われる。
「シナリオはとてもいい話で、出演できればと思う作品です。でも、C子はこの先、数本の映画出演がすでに決まっています。
それらのスケジュールとぶつからなければ可能。予定が決まり次第、改めて連絡。出演できるかどうか? を年内に決めたいと思います」
が、こうも言っていたと言う。
「ただ、物語にファンタジーが足りないんですよねえ・・」
んーーー意味が分からない。ラブストーリーが欲しいとか、笑いが少ないというのは分かるが、ファンタジーが足りないとはどういう意味か?
Pもよく分か らなかったという・・・。(つづく)
2002年11月某日・Ⅵ 女優C子、怪しむ! [第3章 主演女優探し篇]
C子はさらに不思議な顔をしながらも、答える。
「撮影は5日間くらいでした・・」
なのに、僕は「ああ、そんなにかかったんだ?」なんて答えてしまう。彼女は「この人・・・何者なの?」という顔!
これはマズイと思い。「ああ、泣けるいい話でしたね?」というと、彼女は、「ああ、そのことをいいたかったのか・・」と納得したように、 素直な笑顔で「ありがとうございます」と答えた。
この間、約20-30秒。そんなトンチンカンな拝謁式だった。終わるとすぐに退場させられて、すでにサインされた写真集を渡されてカーテンの外へ。
でも、いろんなことが分かった。彼女なら夏美を演じられる。そう確信した・・。(つづく)
2002年11月某日・Ⅴ 怪しい男 [第3章 主演女優探し篇]
なのに、アイドルの握手会初体験の僕は「撮影はど-だった?」なんてマニアックなこと聞いてしまったので、彼女は面食らったようだ。
C子ファンなら撮影はどうかより、映画の中の彼女がどうだったかを伝えるのが常識。なので、彼女は一瞬。
「この人・・・誰?」
という顔をした。が、コンマ何秒の世界で立ち直り、笑顔で撮影を思い出すように・・。
「もう、なんか・・・みんな楽しかったです・・・」
とコメント。僕はその戸惑いを察知しながらも、ずっとC子に手を握られていて緊張!!!機転が利かず、さらにこう聞いてしまう。
「で、撮影は何日間だったの?」
これもファンなら聞かない! 怪しいとしかいいようがない!(つづく)
2002年11月某日・Ⅳ ドキドキ! [第3章 主演女優探し篇]
もう、途中で帰ろうか?と思っていると、順番が来た。C子はさすがNO1アイドル。100万ドルの笑顔で微笑む。右手を差し出すと、彼女は両手で僕の手を握る。C子の手は柔らかくて、暖かい。
緊張が加速!!ああ、何か話さないといけない。しかし、15才の少女に両手で手を握られたまま話をするなんて!ドキドキ。混乱しながら、思いついたことを聞いてしまった。
「映画『****』の撮影はどーでした?」
その瞬間、C子は「えっ?」という顔をした。さっきのファンとの会話を思い出す。ああ、そうか、こういう場所では自分の思いを伝えるのが基本なんだな・・・。
「今回の写真集よかったです!」とか「映画の***でのC子ちゃんに感動しま
した!」とか・・。
ファンが自分の思いを伝える場で、彼女にインタビューする とこではないのだ!!! どうすればいい!?(つづく)
2002年11月某日・Ⅲ 拝謁式? [第3章 主演女優探し篇]
が、実は・・C子に対する知識はあまりなく、「****」という映画を見ただけ・・。何を聞けばいいのか?
それにしても会場の雰囲気は握手会というより、エリザベス女王との拝謁のような感じ!C子の前にはテーブルがあって、白いテーブルクロス。
その後で スーツ姿の年配男性2人が彼女をガード。前にも一人。何かあればすぐに阻止する体制だ。
あたりはシーンとして静まり返っていて、撮影も禁止で、まさに「ローマの休日」のラストシーンのような厳かさ・・・!緊張していると、すぐに 順番が回ってきた。
おまけにC子と握手するというより、手を握ったまま会話するという設定のようだ。それも、C子は相手の手を両手で握る。うわーーー。そんなの恥ずかしい!
(つづく)
2002年11月某日・Ⅱ 主演OK? [第3章 主演女優探し篇]
『ストロベリーフィールズ』主演女優の第3候補に上がったアイドルC子の握手会。長い列に並び、ようやく室内に入る。ガードマンに警護される彼女を見たとたん思った。
「夏美役・・・・OK!」
かなり夏美だと思えた。で、その辺を分析しようと、C子がファンと握手する風景を背伸びして見た。
握手会というのは、単に握手して・・・・。「がんばってください!」「ありがとうございます!!」というだけのものではなく、握手しながら何かを話さ なければならないようだ。
何を言えばいいのかと・・・前の人の言葉を聞いていると、こうだ。
「***という番組のC子ちゃん、よかったです。最終回まで見るのが楽しみです!」
ファンらしいことを言っている!(つづく)
2002年11月某日 握手会? [第3章 主演女優探し篇]
ついに、「ストロベリーフィールズ」主演第3候補のC子握手会、行った!場所は銀座にあるF書店。2階建ての大きな店。
当日は400人位のファンが押しかけ、書店の前の歩行者天国を埋めていた。集合時間の午後3時に行くと、整理券の順に番号を呼ばれる。
長い列に並び、1時間ほど待たされて書店へ。中に入ると一角がカーテンでし切られて、握手会コーナーが作られている。写真集を買い、整理券をもらって列にならばないと、外からは見えないようになっている。
数十分かかり列が進むと、カーテンの中の部屋に入る。10メートルくらい先、スーツ姿のシークレットサービスのような男性を両脇をガードされたC子がいた。
先日チェックしたグラビアより大人っぽく、印象が全然違う。幼さはなく、十五歳とは思えない感じ。健康的な女子大生というイメージ。
写真に写ると違ってしまうタイプか? それとも成長速度が早いのか? 列が動き、その部屋に入り、まじまじとC子を見る。こう思った・・・。 (つづく)