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第9章 和歌山死闘篇Ⅰ ブログトップ
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政治力のあるJさんⅡ /2003年10月  [第9章 和歌山死闘篇Ⅰ]

 大きな政治力を持つJさんは、こう言った。

 「そうですね。町のためには何かやらんといかん。映画作りもひとつの方法としてええ話です。何とかしたいです。

 でも、市民あっての我々です。映画作りにはお金がかかります。市民の賛同も必要でしょう。

 もし、市民から映画作りに賛同する声が上がり、それが市全体に広がったら、我々も動かざるを得ないでしょうね? まあ、がんばってください・・」

 どう、解釈していいのか?戸惑った。Jさんは「映画作りはええ話」と言った。その話し方も明るかった。誤摩化すような素振りもない。が、何か感情が伝わって来ない。

 結論も、市民が盛り上がれば「やる」ということなのか? 市民が盛り上がらない限りは「やらない」ということなのか? 解釈し辛い。
 あとで知人が解説してくれる。こういう意味だと言われた・・。(つづく)


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政治力のあるJさんⅠ /2003年10月 [第9章 和歌山死闘篇Ⅰ]

 翌々日、大きな政治力を持つJさんの仕事先を訪ねる。海に面した大きな建物の正面玄関で観光関係のお仕事をされるMさんと合流。中に入る。

 階上にある部屋に入ると、60才前後の老紳士Jさんが、笑顔で迎えてくれた。

 僕はまた、映画作りがいかに地元にプラスになるか? そして、この素晴らしい故郷で映画を撮り、多くの人に見てもらいたいこと。子供たちが故郷に誇りを持てるようになってほしいことを伝えた。

 Jさんは何度も頷きながら、真面目に話を聞いてくれた。Mさんも援護射撃。 「この町に活気を取り戻す方法としての映画。私もええと思います」その言葉を聞いてJさんは、大いに頷いた。
 
 が、次に彼が言った言葉をどう解釈していいか? 僕は戸惑った・・。(つづく)


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Mさんの答えは? Ⅱ/2003年10月 [第9章 和歌山死闘篇Ⅰ]

 観光関係のお仕事をするMさんは、こう言った。

 「今、この町はいろんな意味で辛い。可能性は観光しかない。多くの観光客が来てくれて、お金を落としてくれるのを期待してる。でも、皆、この町を飛び越えて、となりの温泉町に行ってしまう。何とかせんといかん。

 でも、何をしてええか?分からん。ずっと考えてたことです。映画の話聞いて、ええ話であることは分かりました。何とかしたいです。ちょっと待ってくださいね」

 Mさんはそういうと、手帳を取り出し電話番号を調べ出した。

 「この町で大きな政治力を持つ人がいます。行政に関わる人です。いつも観光のことで話合いをしています。その人に電話してみます。一緒に会いに行きませんか?」
 
 本当ですか!!!! ぜひ、ご一緒したいです! (つづく)

 

 


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Mさんの答えは?/2003年10月 [第9章 和歌山死闘篇Ⅰ]


 さらに説明する。今、東京のD社がこの作品を支持し「やりたい!」と言ってくれている。
 
 地元で製作費の半額を負担すれば、残り半分を出資すると言う。一時は「有名な尾道で!」という話になったが、今はこの町で了解してくれている。
 あと地元さえ盛り上がり、製作費集めを応援してくれれば、この町で映画が撮れます。全国に発信できるんです!

 何とかできないでしょうか? とMさんにお願いした。同じ話はすでに何十人にもしている。
 が、ほとんどの人は「映画はなあ・・」と言う。「10年前の件があるからなあ・・」という。Mさんはどうだろうか?

 彼は御茶を一口飲むと、こう言った・・・。(つづく)

  


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観光関係にアピール /2003年10月 [第9章 和歌山死闘篇Ⅰ]

 観光関係のお仕事をされているMさん宅を訪ねた。東京でたくさん買って来たお菓子をお土産に、ご挨拶。

 まず、地方映画の効果をお話する。地元をアピールすること。映画を見てたくさんの観光客が来てくれること。映画は映画館での公開で終わりではなく、テレビ、ビデオ、ケーブル、衛星放送と、30年以上に渡って多くの人が見てくれること。

 どれも多くの地方で実践されていることである。フィルムコミッションが次々と立ち上げられ、自治体自身が出資、映画を作る県もある。
 雑誌広告やテレビCMより映画ロケ地になることが有効であることは、すでに全国で浸透しているのだが、この町ではなかなかそれが理解されなかった。 

 そして、前回、あるお年寄りから聞いた話。若い人たちは自分故郷に誇りが持てないということ。
 でも、僕は素晴らしい町だと思う。世界に誇れる美しい町だと思うこと。何より、この町で映画を撮りたいことを伝える。Mさんは、僕の話を黙って聞いていた・・。 (つづく)


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観光関係 /2003年10月 [第9章 和歌山死闘篇Ⅰ]

 応援してくれている会長に、報告した・・・。

 「そうかあ。アカンかったか・・・。これで大口投資してくれる人は、おらんようになったなあ・・・」

 会長は目を閉じて、考え込んだ。でも、何とか、何とか、他に応援してくれる人はいませんか? 誰かいないですか? と懇願した。会長は天井を見てこう言う。

 「金を出す人を口説ける人に、話してみよか? 映画作って一番助かるのは、観光関係や。その関係者なら、協力してくれるはずや。その人とおうてみるか?」

 観光関係のお仕事をされているMさん。話だけでも聞いてほしと電話。翌日、お宅を訪ねた・・・。(つづく)


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絶対絶命Ⅱ /2003年10月 [第9章 和歌山死闘篇Ⅰ]

 10年前にいい加減なことをして、東京に帰ってしまった映画人たちが憎い! なぜ、彼らは撮影中止の理由も説明せずに、引き上げたのか!!

 そんなことをしたから、映画の、映画界の、映画人の信頼がなくなったのだ! 僕はこの町で映画を撮りたいだけ、全国の人に見てもらいたいだけなんだ・・。

 なのになぜ、彼らの付けを払わねばならない? なぜ、この町がチャンスを失わねばならないのか!

 ・・・・いや、批判しても何も変わらない。何とか前に進める方法を考えよう。この結果を東京に持ち帰ったら、本当に全てが・・・終わってしまう・・。(つづく)


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絶対絶命 /2003年10月 [第9章 和歌山死闘篇Ⅰ]

 これで当てにしていた*千万円が、ダメになってしまった・・・。その話で元気になったD社のプロデュサーは、またやる気をなくすかも・・・。
 あるいは、今度こそ、撤退するかもしれない・・・・。

 そうなると本当にゼロになってしまう。ロケハンも進め、スタッフも少しずつ集まり、安く映画を撮る方法も勉強しているのに、全てが無になってしまう。

 やっと尾道から話が戻り、この町で映画が撮れそうになっていたのに・・・。

 この町の素晴らしさを改めて感じ、『ストロベリー」はこの町で撮るべきことを再確認したというのに・・・。
 なぜ、10年も前に他の映画人のしたことが、こんなふうに祟るのか・・・・。(つづく)


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映画だけはアカンⅡ /2003年10月 [第9章 和歌山死闘篇Ⅰ]

 だが、言葉にはしないものの、社長の表情には「やっぱり無理やった。すまん!」という思いが滲んでいた。
 たぶん、会合で映画を推進することを告げたことで、批判が相次いだのだろう。

 「また、10年前と同じことになったら、どうすんの? あんた責任取るんか?」

 あちこちから言われたのではないか? 確かに、あの映画スタッフの対応はあまりにも酷かった。

 しかし、そのせいで他の映画人全てが、同じに見られてしまっているのか? 映画というだけで、「アカン!」という認識が根付いてしまっているのか?

 社長は多くを語らずに去ってしまった・・・。僕は・・・・どうすれば・・いいのか・・。(つづく)


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映画だけはアカン /2003年10月 [第9章 和歌山死闘篇Ⅰ]


 社長室に入ったとたんに、気付いた。前回とは違う社長の表情。刺々しい部屋の空気。強い違和感が漂っていた。そして感じた通りの言葉が、社長から伝えられる。

 「やっぱり映画だけはアカンわ! 10年前のあの映画のことがあるし、賛同得るのは大変や。まあ、寄附集めるんやったら、ワシも1口くらいは応援させてもらうわ。ほんなら、忙しいんでこれで!」

 そういうと社長は逃げるように、部屋を出て行った。「町のアピールになる。ええことや!」と言っていた彼に何があったのか? 「*千万円出す」と言っていた話はどうなったのか?

 確かな筋を通して聞いていたことなのに、社長はそれに触れもしなかった・・・。(つづく)


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