忘年会?Ⅱ /2003年12月中旬 [第10章 メイキング監督篇]
思い出すのは「業界の底辺」と言われたあの映像会社で、仕事をしていたときのこと・・・。
あのまま、あの会社を中心に仕事をしていたら、こんな多くの人と知り合う機会はなかっただろう。それを考えると、飛び出し、行動してよかったと思う。
「ストロベリーフィールズ」はまだ形になっていないが、いや、形どころかスタート地点に戻った感もある。それでも、その関係でいろんな仕事ができた。
やはり、与えられることだけやっていては、何も始まらず、どこにも広がらないということなのだ・・。
さて、間もなく始まる忘年会シリーズ。
何といっても営業の機会!? そこでいろんな人と知り合える。いろんな業界情報も聞ける。がんばって出席するぞ!(つづく)
忘年会? /2003年12月中旬 [第10章 メイキング監督篇]
メイキング編集が始まるまで日があれば、「ストロベリー」の営業を再開しようと考える。が、すでに12月中旬。どの会社も師走でバタバタ。
こんなときに訪ねても、まともに対応してもらえない。その上、年が明けると前の年のことは忘れてしまうだろう。
来年になればD社も「考える」といっているし、年末は来年の準備をすることにする。
そう思っていたら、次々に忘年会のお知らせをもらった。
この2年間の「ストロベリー」活動で知り合った人。今年、仕事をした仲間等からで、凄い数。例年は学生時代からの友人と飲む程度だったのに!
思い出すのは2年前。業界の底辺と言われた映像会社で、仕事をしていたときのことだ・・・。(つづく)
メイキング撮影後のこと /2003年12月 [第10章 メイキング監督篇]
映画は撮影が終わると、ほとんどの技術スタッフの仕事は終了。次の段階は監督と編集者でフィルムを編集する。
メイキングも同じ。撮影したものを編集せねばならない。まだ、仕事は終わってないのだ。
撮影終了後。さすがに数日は呆然として過ごした。通常の倍以上の時間を寝た。あまりにも凄すぎる映画体験をしたから・・。
ようやく日常に戻る。メイキングの編集を考えた。僕もコンピューター編集もできるが、もしかしたら別の人がやる可能性もある。
そのために「どのテープにいつの撮影が収録されているか?」を書き出した一覧表を作る。
結局、まわしたテープは70本余り。再生すると70時間を越える。寝ずに見ても3日近くかかる計算。編集も大変になりそうだ。(つづく)
黒澤組照明部 /2003年12月 [第10章 メイキング監督篇]
これで本編の撮影は完全終了。撤収待ちの間に照明部技師の佐野武治さんのインタビューも撮らせて頂く。
この方は黒澤組で何度もお仕事された超ベテラン。「影武者」「乱」「夢」と黒澤明監督の後期の作品を担当されている。
当時の話を聞かせてもらい感動! もう仕事なのか? 勉強なのか? ということが今回何度もあったが、最後の最後にまた凄い方から話を伺えた。
そのあと、建物の外に出ると、夕陽があまりにキレイ。即、撮影。メイキングも撮影風景だけでなく、季節感やまわりの情景を入れると奥行きが出るのだ。
特に今回は監督からも、その手の絵を「たくさん撮っておいてほしい」と注文がある。
川辺の撮影中にも「あの船を撮っておいてほしい」と頼まれて、堤防に上がってカメラをまわした。ビデオで撮ったものをどう使うのだろう?(つづく)
クランクアップ後の撮影 /2003年12月6日 [第10章 メイキング監督篇]
クランクアップしたあとも昨日、本日と撮影。100人近くいたスタッフは解散してメインスタッフが10数人だけ残り、小物撮りをする。
弁護士事務所の扉とか、俳優がいなくても撮れるものを撮影。俳優のいるときは、俳優の芝居に時間をかける。
扉とか看板とか、あとでスタジオで撮れるものは、あとで撮ることで時間を有効に使うのである。
本日は少し遠くまで行き、特撮合成部分を撮影。俳優は加瀬亮君。この日。インタビューさせてもらった。若いがとても素敵な俳優。今後が楽しみだ。(つづく)
「理由」クランクアップ /2003年12月3日 [第10章 メイキング監督篇]
本日、映画「理由」の撮影がクランクアップ!
最終日は舞台とメインとなる高層マンション・バンダール北千住として使われたビルの撮影だった。
1か月少々。本当に長く、大変な日々だった。初めての大林組。初めての一流ベテラン・スタッフ。初めてのベテラン有名俳優。と初めてずくしの連続。
何よりも長年憧れていた巨匠が、演出する姿を目の前で見られたことは凄かった。
本当にいろいろなことがあり、言葉にできない。いずれこのメイキングは映画公開後、DVDが発売されたときに特典映像として収録されるはず。ぜひそちらを見てほしい。(つづく)
東宝スタジオ /2003年11月 [第10章 メイキング監督篇]
映画会社のいくつかはスタジオ持っている。大映、日活は調布。東映は大泉。この内の2つでは仕事をしたことがある。大映は仕事ではないが見学したことがあり、行ったことがないのは、成城にある東宝スタジオだけだった。
今回の「理由」はその東宝スタジオでの撮影が何日もあるので、楽しみにしていた。何といっても、そこで「七人の侍」「ゴジラ」等の名作が作られ、大林監督の「HOUSE/ハウス」も撮影されているからである。
日本映画の黄金期。黒澤明、本多猪四郎、市川崑、岡本喜八等の日本映画史に残る監督たちが、ここでさまざまな作品を撮ったのだと思うと、嬉しくなってしまう。
が、「ゴジラ」シリーズ等に使った巨大なプールは、少し前に取り壊されたとのこと。見る事ができず残念。(つづく)
メイキングは監督への道Ⅱ /2003年11月 [第10章 メイキング監督篇]
映画技法には基本はあるが、決まりはない。それぞれの監督が独自の方法論を編み出して表現していくのだ。そのためにはまず先駆者の仕事から学ぶことが大事。
多くのハリウッド監督たちは、過去の巨匠たち。ヒッチコックや黒澤明の作品から学んでいる。
スピルバーグはヒッチコック監督が「ファミリープロット」を撮影しているときに、そっとスタジオに忍び込み、演出を見ていたという。
ルーカスやコッポラは、黒澤監督の「影武者」の撮影を見学。皆、巨匠たちのテクニックや映画術を学んでいる。
彼らは本当にカメラや照明に詳しく、その知識と技術を駆使して魅力ある映像を作り出しているのだ。
いくら素晴らしいテーマがあっても、面白い脚本があっても、それをどう映像で表現するか?が監督の力量。
そのためには映像表現術を磨き、自分なりの方法論を持たねばならない。そんな意味で僕にとって今回の大林組参加は、またとない機会なのだ!(つづく)
メイキングは監督への道? /2003年11月 [第10章 メイキング監督篇]
というのも、最近、不安に思っていたことがあるからだ。この2年。「ストロベリーフィールズ」を映画化するための、製作費集めの営業を続けている。
ほとんどの時間をそれに取られながら、資料作り、製作費の内訳、経費の詳細、ギャラ、交通費、企画会議の仕組みなども勉強。でも、それはプロデュサーになるための勉強だ。
本来、僕は監督。でも、まだまだ新人であり、勉強不足。もっと、もっと勉強が必要なのだが、この2年。まるでそんな時間がなかった。
悲しみを描くには何が必要か? どんな手法が効果的か? そのためのカメラポジションは? 照明は? 録音は? それが演出。
演技指導だけが、監督の仕事ではない・・・。(つづく)
メイキングを監督した巨匠たちⅢ /2003年11月 [第10章 メイキング監督篇]
今回、僕が参加させてもらった「理由」の大林監督も、実はメイキングを監督されている。
黒澤明監督の「夢」のメイキング。巨匠が巨匠のメイキング撮るなんて、豪華な企画。
こちらはもうメイキングというより、大林映画としての1本になっている。ドキュメンタリーというより、純文学な作品。
大林監督の本を読むと、黒澤組の現場で学んだことが書かれていた。その大林監督の現場で、今度は僕がメイキングを撮影。さまざまなことを学ばせてもらっている。
一瞬たりとも目を放さず、いろんなことを吸収せねば!(つづく)