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第22章 最後の希望篇 ブログトップ
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東京での夕食 /2005年6月8日 [第22章 最後の希望篇]

 田辺ロケハンでは、スタッフにおいしいものを食べてもらおうと奮発。

 僕自身の食生活もグンとよくなったが、帰京すると日常に戻る・・。

 まだまだ、ギャラも経費請求も出ない状態。少しでも安く生活。でも、資料作り等でどうしても、出費がかさむ。

 家賃も節約できない。できるのは食費だけ・・・。本日も夕食は牛丼。300円以内で食べられるのは助かる・・。

 <つづく>


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製作費予定額達成!/2005年6月 [第22章 最後の希望篇]

 また、大きな危機要因が出て来て、製作が危うくなっている。

 この世界はハイエナやコンドルのような人種がたくさんいて、個人の努力を平気で持って行こうとする。

 そんなとき、いい話があった。

 前々から応援してくれていた人の紹介で、ある会社が映画に投資したいとの連絡。正式に合意した。

 額は全体の3分の1。これで目標の額が達成! 完全に8月クランクイン決定である。

 ただ、全額揃ったとはいえ、それでも最低限の作品を作るだけの予算。余裕ができるとか、大作になるということではない。

 でも、これで行ける! 今後は夏に向って、撮影の準備を始める。

<つづく>


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酷い話/2005年5月 [第22章 最後の希望篇]

 大きな危機が去り、希望が見えて来るといつも、新たな危機が訪れる。

 今回も同じ。が、これもあまりにも酷い話で書けない。よく、そんなことができるな・・・ということを大手企業はする。

 遠回しに圧力を掛け、邪魔しようとしたり、甘い罠をぶら下げて引きずり降ろそうとしたり・・・。

 でも、そんなことで諦めはしない。

<つづく>


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正式依頼 2005年5月 [第22章 最後の希望篇]

 8月撮影が決定したので、スタッフィングもスタート。

 まず、4年前からお願いしていたカメラマンのSさんに、5年目にして正式依頼。撮影部技師を担当してもらう。

 そして、10年間からの付き合いである照明部Aさんにも依頼。

 あと、ここしばらく相談に乗ってもらっている助監督さんにも、近々、アプローチする。

 あとは、録音部。美術部。衣裳&メイク部と順に決めて行く・・・。いよいよ、本当にスタートしたと感じる!

 <つづく>


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新型ハイビジョン・カメラの威力Ⅱ/2005年5月23日 [第22章 最後の希望篇]

 つまり、業務用のハイビジョンに限りなく近い画質で撮れた上、編集作業の費用も抑えられるというメリットがある。

 その上、フィルムにも変換しやすく、映画をさまざまな街で上映する展開も考えられる! (ビデオを美しく上映できるDLPシステムが設置された劇場は、まだまだ少ないのでフィルムにする必要性が大)

 そして先方がいうにはかなりな高画質、微妙な色合いを再現するので、それを最大限に使用する作品はなかなか難しい。

 でも、「ストロベリーフィーズル」の田辺ロケで使えば、赤い夕陽、青い空、白い雲、山の緑と、新型カメラを最大限に活用。
 最大の目標のひとつである「美しい風景」を撮ることができる。

 ただ、問題は発売が秋。10月以後になること。何とかそれまでに、試作機でもいいから、レンタルしてもらえないか? これからの交渉。

<つづく>


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新型ハイビジョン・カメラの威力 /2005年5月23日 [第22章 最後の希望篇]

 先日、紹介した24Pのデジタル・カメラ。その先を行く新型が間もなく完成するという噂を聞いた。民生用初の小型ハイビジョン・カメラ。今年後半に発売される。

 友人の紹介で、その大手電気メーカーの技術部を訪ねる。カメラマンのSさんも同行。

 担当者の方は非常に好意的で、単にカメラの性能説明だけには終わらず、映画への協力という話まで展開。その詳細を報告する。

  テープではなくメモリーカードに非圧縮で録画できるもので、簡単に言うと小型のハイビジョンカメラ。

 そのメーカーの従来のタイプに比べ、キネコ(ビデオをフィルムにすること、通常の映画館でかけられるようになる)したときに画質で大きな差が着く。

 また、カラー再現も高いレベルで、他社の同じタイプの機種を超える。なのに、カメラ自体は以前のシリーズとほぼ同じ大きさ。狭い部屋や車内での撮影にも向く。

 録画したメモリーカードは直接ハードディスクにダビングできて、編集ソフトのファイナルカットで編集できる優れものだ!

<つづく>

 
 


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「理由」DVD発売/2005年4月下旬 [第22章 最後の希望篇]

 映画「理由」のDVDが発売された。さっそく店頭で手に取ってみる。そのパッケージに貼られた丸形の赤いシール。こう印刷されていた。

 「映像特典 大林宣彦作品 太田隆文構成 メイキング(50分)」

 全部、同じサイズの文字。あの巨匠と並んで僕の名前が記されている!

 10代から憧れた大監督。その人と共にパッケージに名前が載るなんて・・・。感激を通り越して、呆然・・・。

 僕の名前を載せたからと、売り上げが伸びる訳ではない。では、なぜ・・・? あとで聞くと、大林監督自ら「太田君の名前も入れるように!」と指示を出してくれたという。

 これはもの凄く大きいこと! 誰も太田なんて新人監督も知らない。だが、こうやってパッケージに名前を入れてもらうと、「大林監督の『理由』メイキングを担当した監督かあ。じゃあ、いい加減な人ではないだろう』と思ってもらえる。

 初劇場映画「ストロベリーフィールズ」を作る上で、もの凄くプラス!

 大林監督からの大いなる応援なのだ。と、その日の大手新聞の広告を見ると、同じように、僕の名前! 本当にありがとうございます・・。

 必ず、素晴らしい作品を作ります!

 <つづく>
 
 


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アナログ人が映画界をダメにする? /2005年4月 [第22章 最後の希望篇]

 でも、彼は長年やってきた「アナログのリニア編集」こそが、編集だと言いはる。

 武士にとっての刀と同じ。長年使い続けてきたものに固執してしまい、新しいものを認めることができない。

 戦国時代から何百年経っても、人は同じことを繰り返すのだろう。そんな人々の発想が日本映画を遅らせている。

 無意味な作業に経費と時間を注ぎ込み、貧しい作品を作り続ける温床になっているのではないか?

 今回の映画「ストロベリーフィールズ」は監督業のみならず、製作費集めのプロデュサー業もやっている。

 それゆえに単に作品の中身だけでなく、製作方式、機材から考えることで、経済的に、それでいて高いクオリティで映画を作りたいと考えている。

<つづく>


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時代遅れの編集者 /2005年4月 [第22章 最後の希望篇]

 先に紹介したPもそうだが、同じような人は業界に多い。少し前に友人から聞いた話。

 ある中年の編集者。今も、VHSを使ったテープ・トウ・テープのリニア編集をしている。(AとBの2本のテープを使って、Aー>Bにダビングすることで作業するやり方)

 これはベーカム時代の産物。ビデオがデジタル化されてから、どんどんとなくなっている。なのに彼は、こう言う。

 「これが本当の編集というものだよ。デジタルなんてダメなんだね。あんなものを編集とは言えない。早ければいい、というもんじゃないんだよ? ほら、テープがキュルキュルとまわっているだろ? その間に次の編集を考えるんだよ・・」

 バカじゃないの?と思えた。こんな恐竜のような編集者が、まだ存在するとは驚きだった。アナログのVHS編集でのメリットなんてゼロ。

 遅い。画質悪い。性能悪い。経費かかる。特殊効果が使えない。時間かかる。パソコンでノンリニア編集(コンピューターを使った編集。画面上で特殊効果も、色、音、ディゾルブと、ほとんどの作業が出来る)すれば、時間も経費も何分の1かになる。

 それを「これが本当の編集」なんていう神経を疑う。でも、この手の恐竜人間が、まだまだ業界には多いのだ・・・。

<つづく>


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時代遅れのPたち/2005年4月 [第22章 最後の希望篇]

 本来、その手の新技術導入は監督ではなく、プロデュサーの仕事。が、勉強不足の人が多く、未だに経費と時間がかかる方法を続けていることが多い。

 先日も友人の撮影で、困ったちゃんがいた。Pが時代遅れの旧式ビデオ・カメラを使うことを主張するのだ。もう、生産されていないタイプ。骨董品ともいえる。なのに、こう言う。

 「なーに、型は少し古いけど、新しいものとそんな違いはないよ!」

 いや、大有りなのである。監督は頭を抱え、カメラマンは呆れ返った。戦争に行くのに「竹槍を持って行け!」というのと同じ。時間も経費も大いに無駄になる。
 

 思い出すのは織田信長の話。戦国時代、信長は新兵器である鉄砲で世を制した。今の時代、それはデジタル技術だと思う。それを使いこなしたものが、信長と同様に、時代を勝ち進むのだ。

 が、昔から不思議だった。刀と鉄砲なら、どちらが有効か?すぐ分かりそうなもの。なのに戦国の武将たちはなぜ、信長を見習い鉄砲を使わなかったのか?

 いろんな理由があるが、当時の侍は「武士は刀で戦うもの。鉄砲なんて邪道!」という意識があったらしい。そのために古い発想の武将は刀にこだわり、惨敗して行った・・。

 これは昔の話ではない。同じ構図が今もある・・・。

<つづく>

 


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