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第22章 最後の希望篇 ブログトップ
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新兵器24Pで映画撮影 /2005年4月 [第22章 最後の希望篇]

 ビデオは1秒間に30フレーム撮影する。フィルムは24コマ。

 変換したときに、その違いが大きくキネコがうまく行かない。30ー>24なのだから、6フレーム余ってしまう。

 それが24Pのカメラを使うと、24フレームで撮れる。24ー>24。スムーズにフィルムに変換できるのである。

 画質もシャープで鮮明なだけでなく、フィルムに近い奥行きがある。これまでのベターとしたビデオ映像ではない。

 それも家庭用ビデオとして売られているDVミニテープを使っても、かなりなレベルで撮影できる。これは驚愕的なことだ。実際、テレビの深夜ドラマなどは、そのカメラで撮影されている。

 それを使って映画を撮れないか? この数年、考えて来たこと。それが可能ならフィルムを使うより、安く作れるのではないか?

 フィルムに負けない映像が、撮れるのではないか?

<つづく>


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24Pとは何か? /2005年4月 [第22章 最後の希望篇]

 それからビデオ・カメラの勉強を始めた。大手電機メーカーの展示会等に毎年通い、関係者に会って説明を聞く。

 勉強家のカメラマンSさんから、いろいろと教えてもらう。
 
 ただ、その当時のカメラで撮影したものをキネコし、フィルムにしても、クリアーな画質にはならないといわれることが多かった。また、キネコ自体に高額な費用がかかる。16㎜で撮った方が安い。

 しかし、技術の進歩は早かった。小型デジタル・カメラの登場。年を追うごとに優秀なカメラが開発される。

 さらにハイビジョンを使って映画を撮る企業が、数年前からドンドン増えていた。が、ハイビジョンはまだ高価。

 そんな中で、革命的だったのは24Pという機種が発売されたことだ!

<つづく>


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「ダンサー・イン・ザ・ダーク」に学ぶ/2005年4月 [第22章 最後の希望篇]

 1999年のデンマーク映画「ダンサー・イン・ザ・ダーク」。全編、ビデオ・カメラで撮られた作品だ。キネコ(ビデオを変換)で、フィルムにして劇場公開された。

 それ以前にも、ビデオで撮ってフィルムにした作品はあったが、技術的に問題多く、赤ぽい、色あせたような映像になり、見るに耐えないものだった。

 が、「ダンサー・・・」は映画館で見ても、遜色がなく、ビデオもここまで来たか!と感動したものだ。

 当時、日本映画の最低製作費は3千万円と言われていた。フィルムの諸経費が大きい。フィルム代、現像代、プリント代がかかる。編集も編集室を借りねばならない。

 撮影現場ではフィルム節約のために、ハリウッド映画のように何度も繰り返し同じシーンを撮影できない。さまざまな制約があった。

 でも、ビデオで映画が撮れると、問題が全て解決するのではないか?

<つづく>


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ビデオとフィルムの差Ⅱ /2005年4月 [第22章 最後の希望篇]

 ビデオとフィルムの違い。

 フィルムは撮影後に現像しないと見られない。それも一度きりの撮影。現像費とプリント代が必要。

 それに対してビデオは、その場でも再生して見る事ができる。失敗すれば消してまた録画できる。現像費はいらない。非常に近代的。

 そのビデオの場合。Vシネマやテレビドラマはベーカムという業務用テープで撮影。それをVHSにダビングして監督が仮編集。最終的にはスタジオで、ベーカムの本編集をする。

 そこに最近ではデジタル・ビデオが登場。それで撮った映像は、そのままパソコンに取り込み、本編集に限りなく近い段階まで編集することができる。

 仮編集がほとんど必要なく、時間も経費も節約できる。フィルムよりも、ビデオよりも、スピーディ。仮編集のための部屋や機材を借りることもない。

 なのに、そのパソコン編集ができない若手監督が多い。「やっぱ、フィルムでないと!」とか巨匠のようなこだわりを見せる。
 どこか間違っている。最新の技術を使うことで、安く、早く、作品作りができるのである。

 そんな現状を見ていて、さらに1歩進めることはできないか?考えた。

<つづく>


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フィルムとビデオの差/2005年4月 [第22章 最後の希望篇]

 とはいえ、1日は24時間。どんなに寝ずにがんばっても、24時間を越えての撮影はできない。
 現場費も与えられた額はどんなに大切に使っても、増えてたりはしない。

 そうではなく、大元を見直すのである。昔、映画は35㎜フィルムを使うか? 16㎜フィルムか?の選択があった。通常、映画は35㎜。テレビドラマが16㎜だった。

 品質の向上とスーパー16㎜が登場してからは、16㎜で撮影して出来てから35㎜にするという方式が取れるようになった。

 その分、フィルム代が安くなる。その後、テレビドラマはビデオで撮影されるようになった。
 が、ビデオはフィルムにすることができず、映画館では上映できない。

 それが最近登場して来たデジタルビデオ。これが映画の世界に革命を起こす。ここに予算削減の鍵があった・・。

<つづく>


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低予算映画の戦い方/2005年4月 [第22章 最後の希望篇]

 映画製作は本当にお金がかかる。ハリウッド映画のような莫大な費用で、日本映画は撮れない。

 それどころか、今はテレビ・ドラマの方が多額な製作費がかかっていたりする。

 さらに巨匠監督ならとにかく、僕らのような新人監督は本当に厳しい予算で撮らなければならない。

 が、よく、仲間内では「もう少し製作費があれば、****が撮れたのに!」と不満を言う監督たちがいる。

 もう少し、金があればまともなセットを作れたとか、粘っていい絵が撮れたのにと、いう。が、製作費がないのを理由にして、努力を怠っていないだろうか?

 スピルバーグでも予算削減に勤めながら、いいものを作ろうとしている。ジョージルーカスでも、いかに特撮を安く上げるか?を考えて、ILMを創設した。

 監督は単に「作品作りを考えていればいい」時代ではないと思える。予算が少なくてもできる、クオリティの高い作品作りは出来ないだろうか?

<つづく>


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「理由」DVD特典映像/2005年4月 [第22章 最後の希望篇]

 大林監督の最新作「理由」。昨年のテレビ放送に続き、本年の正月映画として公開。そして、いよいよDVDも発売される。

 その特典映像として、撮影現場のドキュメンタリーが収録されることになる。テレビ放送時、劇場公開時に続き、3たび僕が担当させてもらうことなった。

 監督からのご指名とのこと。感謝!

 これまでに編集したものに加えて、新たなものを編集。全部をひとまとめにして収録される。

 今回、考えたのが現場の女性スタッフ4人の活躍を追ったもの。それを「ストロベリーフィールズ」(こちらは4人の女子高生の物語だが)風にまとめる。

 またまた、70時間近い素材を見直し、編集に入った・・。

<つづく>


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天才少女発見Ⅲ /2005年4月1日 [第22章 最後の希望篇]


 ところが、返事はこうだった。

 「まだ、主役も決まっていない段階で、依頼は早急過ぎる。もう少し待ってほしい・・」

 確かにそうだが、マキは彼女だ。谷村美月しかいない!

 あれだけの演技力がある10代は、まずいないだろう。早く、依頼しないのと、他の作品に取られてしまう・・。

 見る目がある人が見れば、谷村を放っておかないはず。すぐに依頼が殺到して、どんどんと出演作が決まるだろう。

 「ストロベリーフィールズ」の撮影は8月。こちらが連絡した頃に、「他からの依頼で、もう夏はいっぱいです」と言われたら悔し過ぎる!!

 が、依頼はまだできないとのこと。何とか、他からの依頼がないことを祈るばかりだ・・。

<つづく>


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天才少女発見Ⅱ /2005年4月1日 [第22章 最後の希望篇]

 圧倒的だった・・・。映画も素晴らしかったが、その少女が素晴らしかった・・。

 とても21世紀の子とは思えない、そのバイタリティ。力強さ。生命力。まるで戦後の子供のようだった。

 そう、それこそが、この夏に僕が監督する映画「ストロベリーフィールズ」の肝心要である、あのキャラクターに必要なもの。

 その子のキャスティングが一番、難しいと思っていたのに、ついに見つけた!

 帰り際にパンフレットを買った。その子の名前を知りたかったからだ。ページを捲る。名前は初めて目にするものだった。それを記憶する。

 映画館を出て、すぐに制作会社に電話!

 「見つけました! マキ役を見つけました! この子しかいません。すぐに出演依頼をしてください。今日見た映画に出てました。

 タイトルは『カナリア』。その子の名前は・・・・谷村・・美月・・・・谷村美月といいます!」

<つづく>


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天才少女発見!/2005年4月1日 [第22章 最後の希望篇]

 ようやく、余裕が出来る。久々に映画を見た。日本映画。少々、マイナー。有名俳優は出ていない。渋谷の劇場。客もまばらだった。

 が、その映画はもの凄いパワーがあった。特に、その少女が出て来てからは、作品が力を持ち始めた。

 主人公はもう一人の男の子なのに、目が少女に行ってしまう!関西弁が炸裂! 小さな体なのに、全てをさらって行く・・・。

 クライマックス。アイスピックのように削ったドライバーを持ち、雨の中を歩く少女のシーン。そこにかかる古い歌・・・。

 涙が溢れた・・・。体が震えた。

 映画に感動すると同時に、僕はあることを感じた。そう。ついに見つけた! この子しかいない・・・。

 「ストロベリーフィールズ」の、あの役で出演してほしい!

<つづく>


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