スタッフ再結集! /2005年8月18日 [第一部 完結編!]
でも、嬉しい話もあった。
シナリオ会議のあと、午後2時からスタッフが再集合。製作再開を決めたので、戻ってくれるかどうか?を聞くためだ。
ただ、製作部と撮影部はいない。「9月中の再開はない」と発表したので、撮影部は単発の仕事を入れてしまい今日は来れない。製作部は別の仕事に入り、もう戻って来れない。
それ以外、演出部と照明部が集まった。プロデュサーから話があり。撮影期間は短くなる。ギャラも安く、それでもやってくれるか?と問う。全員が了承してくれた。
短くしたシナリオに関しても、演出部チーフはこういう。
「あと10ページも切る必要はないだろう。もう少しだけ短くすれば、撮り切れる量になる。大丈夫! 中身も問題はない」
製作部の判断とはかなり開きがある。何より、チーフの言葉にはシナリオ削る作家の苦しみを理解してくれる暖かさを感じた。
とにかく、現場スタッフはやる気を見せてくれた。今日は本当に怒りが大爆発しそうになったが、スタッフに支えられる。何とか戦って行きたい・・。
<つづく>
殴ったろか!/2005年8月18日 [第一部 完結編!]
プロデュサーたちと会う。ロケ場所を集約し、リライトしたシナリオを見せる。
あれから、さらに夜間撮影のシーンを昼間のシーンに変えた。夜の撮影は昼の1.5倍から2倍の時間がかかるとされている。夜を昼に変えることで、撮影時間は短縮する。
ロケ場所も数カ所にまとめ、より短期間で撮影できるように書き直した。それでいて内容はいままでと同じにしてある。
にも関わらず、Pたちは「これでは撮り切れない。さらに10ページ切ってほしい」と言う。あるPに至っては「前と何も変わっていない!」とまで言い出す。
5年かけて完成させたシナリオをさんざん短くし、ロケ地の数を減らし、それでいてクオリティを下げないのは至難の技だ。
身を切られる思いで削り、あきらかにページ数も減っているのに「何も変わっていない」だと? あまりにも無神経な発言。「殴ったろか!」と思った。
10ページ切れと言われて、5ページ以上切った。それがなぜ、あと10ページ切れになるのか?
こちとら子供の手足を切り続けている心境だ・・。「これでは足りない。もう1本の足も切れ!」と言ってるのと同じだ!
他に方法がないから、必死で対応している。なのに、あまりにも想像力のない無神経な発言の連続。次第に殺意が増してくる・・。
<つづく>
シナリオ削減の最終手段Ⅱ /2005年8月 [第一部 完結編!]
すでにロケ場所と、それぞれの位置関係は把握している。撮影場所を集約させたり、同じ場所で2つのシーンを撮れるように考える。
意味もなく同じシーンで何度も撮影すると、映画になったときに「また、同じ場所か?」と思えるが、同じロケ地でも別の1角で撮影すれば、別の雰囲気が出る。
こうすれば1日に3シーンしか撮れないものが、4シーン撮れる。3日撮影すれば1日浮く。
また、遠い場所の撮影を近所に持って来たりすることでも、撮影日数は減り、製作費は削減できる。
これはすでに5年前からロケハンをして、撮影場所である田辺市の地理を把握しているからやれる業。
作業開始。シナリオにある場面のロケ地を全て書き出す。距離関係を確認。場所を変更していく。
1日に移動する量を最低限にして、撮影スケジュールを自分で立ててみる。それで成立するように場面を決め直す。
あと、それぞれのシーンを短くする。何とかカットできる場面を削る。こうして提案された10ページはカットできてないが、実質上は撮影し切れる量に書き直した。
<つづく>
シナリオ削減の最終手段/2005年8月 [第一部 完結編!]
シナリオを切るときの法則はまず、本論に関係のないシーンのカット。
でも、それが作品の味になっている場合もある。「太陽がいっぱい」がテレビ放送されたとき、いつもカットされる市場の買い物シーン。
なくてもストーリーは繋がるが、とても雰囲気のある場面。なくなると作品のレベルが1ランク下がる。
が、今はそんなレベルの問題ではない。枝葉のシーンはすでにカットしてある。物語を紡ぐ最低限のエピソードしか残ってない。
あとできるのは、製作的な考え方である。
シナリオ上では3シーンでも、それぞれの距離が離れていると、移動に時間がかかり、1日では撮り切れない。
それを1カ所で撮影できれば、移動の必要がなくなり、1日で撮影できる。これも経費削減に繋がる。
<つづく>
矢吹丈の気持ち /2005年8月20日 [第一部 完結編!]
漫画「あしたのジョー」。
主人公の矢吹丈が東洋チャンピオン・タイトルマッチのため、ライト級に近づきつつある体重を、壮絶な減量の末にバンタム級に落としたエピソードがある。
なのに試合の当日の計量で、体重オーバーが発覚。試合までに、あと2キロ落とさねばならなくなる。
ジョーはサウナを借り切って、下剤を飲んで、さらなる減量。壮絶な展開だった。それを思い出す・・。
それと同じことをシナリオでやらねばならない。無謀だと感じる。だが、今の製作費で撮影に入るためには、それしか方法がないという。
ただ、中身を変えず、テーマを歪めず、面白さを損なわず10ページも切れる方法などある分けがない・・・。
単に短くすれば、中身のない別ものになる可能性が高い・・。安易な別の短編映画を撮るために、5年もがんばってきたのではない・・。
が、現在の製作費での続行を、製作部は不安に思っている。情熱も失いかけているように見える・・・。
<つづく>
さらなるシナリオ削減提案/2005年8月 [第一部 完結編!]
さらにシナリオを削減すれば、何とかなるという結論が出た。
「あと10ページ。短くしてほしい・・・」
先日の削減でも、血を吐く思いだった。それをさらに短くしろという・・。
ボクシングで言えば、体重を落としてフェザー級からバンタム級に下げたのに、さらにフライ級に下げてくれというようなもの。
そもそもが低予算で、作れるようにしていたシナリオ。それを軽量化。さらに、削減するのは、もう無謀である。
関係者の中には、「4人の女子高生を3人にして、大人の登場人物は一切なしにすればいい」という者もいる。
何をバカなことをいう・・それではもう完全に別の物語。似て非なる作品。「ストロベリーフィールズ」ではなくなる。
そんな無神経な軽減の仕方はできない。でも、主要登場人物をすでに2人も削ったあとに、何をどうすればいいのか・・・。
ボクサーで言えば、髪を切り、骨を削る。肺と腎臓をひとつずつ取れというのと同じである。でも、それをしないと、撮影には入れないのだ・・。
<つづく>
結論 /2005年8月 [第一部 完結編!]
足りない製作費の半分は、集まった。
が、製作サイドは、これ以上は、もう難しいという。
協議が続く。
その後。地元からも製作側にある大きな提案があり、続行が決定。
製作部が「現在の額で、何と撮影できないか?」製作費を計算し直す。その結果が発表された・・・。
<つづく>
中止にはできないⅡ /2005年8月 [第一部 完結編!]
応援してくれた友人たちにも、申し訳が立たない。
膨大な生活費を貸してくれ、声援を送り続けてくれた。一緒に会社まわりをし、何度もシナリオを読み、感想を聞かせてくれた。
僕が諦めれば済む段階ではない。多くの人の血と涙でここまできた。それを終わらせる事は絶対にできない・・・。
製作側とも何度も相談。何とか製作を続けてほしいと懇願。何度も頭を下げた。やめないでほしい。
「ストロベリーフィールズ」を続けてほしいと、お願いした・・・。
<つづき>
中止にはできない/2005年8月 [第一部 完結編!]
5年かかりで、製作費の3分の2は僕自身が集めた。が、撮影数週間前に、あとの3分の1が消えた・・。
なぜ、こんなことになるのか・・・。
その額を1か月以内に集めるのは、厳しかった。製作会社が足りない分の4分の1ほどを集めてくれたが、それ以上は進んでいない。
今ある額だけでも撮影は十分できるのだが、反対する会社もある。
このまま製作を中止しても、延期しても、協力してくれていた地元に迷惑をかける。いや、迷惑なんてものではないだろう。
地元で応援してくれた人が信頼をなくす。「映画だけはアカン」と誰もがいった町で、「ストロベリー」を推進してくれたのだ。
中止にすれば「やっぱりなあ。映画人を信用するからや!」と言われるだろう。今後、仕事をするのも大変になる。「中止になりました」では済むことではない。
僕が死んでお詫びしても、ダメだろう・・・。
<つづく>
製作費の4分の1ゲット!! /2005年8月11日 [第一部 完結編!]
制作会社経由で、足りない製作費の4分の1をゲットしたという連絡。
あと少し、行けそうとのこと。再開できるかもしれない!
再開の場合。8月22日にメインスタッフが、田辺で実行委員会と会う。
そして9月15日にクランクin予定だ!
神様。何とか、お願いします・・・。
<つづく>