製作中止か? /2004年12月 [第20章 裏切り地獄篇!]
急遽、地元に行く。「もう、やめましょう! 話が違います」と言われても仕方ない状況。
詳しく事情を話し、何とか理解を得て、来年の春まで待ってもらえることになる。
御陰で、全てが終わりなることはなかった・・。
こんなときではあったが、カメラマンのSさんにも同行してもらっている。
というのも、彼には田辺の春、夏、秋は見てもらったが、冬だけまで体験してもらってなかった。冬の町もぜひ見てもらいたかった。
幸い。製作中止ということにならなかったが、もし潰れていたら彼にとって最後の田辺訪問となっただろう。
続行は決まったが、問題は解決しないまま。本当に最後の訪問になる可能性もまだある。帰京次第にスポンサー探しも、続けなければならない・・。
<つづく>
このままでは終わる/2004年12月 [第20章 裏切り地獄篇!]
そんなとき、さらに酷い事件が起こる。
いまさら、それはないでしょう?
でも、もう、これは書けない。あまりにも情けない話。
信じられないことに**が、約束していた*****も、****の連絡も何もやってなかったのである!ここまで来ると激怒するより、唖然とする・・
業界の友人は言う。
「そんなことじゃ信頼ゼロ。誰も参加しないし、皆に迷惑をかけますよ! もう、99.9%潰れますね!」
地元にも不信感が走る。このままでは、本当に・・全て終わってしまう・・・。
<つづく>
再営業開始 /2004年12月 [第20章 裏切り地獄篇!]
D社Pが投げ出したことで、甚大な被害が出る。ヘタすると全てが終わるかもしれない・・・。
でも、そうはさせない! この怒りと悲しみを胸に必ず、潰さずに最後までやる! 僕は投げ出さない!
代わりになるスポンサーがいればいいんだ。大丈夫。必ず見つかる! 急遽、別のスポンサーを探すべき動き始まる。
D社が出すと言った金額を、投資してくれる会社を見つければいいのだ。そうすれば全てが上手く行く。
とにかく、新たなスポンサー探しに奔走。先輩、友人、知人。以前に仕事をした人。片っ端から電話して、情報を集める。或いは会ってもらう。
「シナリオを読まないと、何とも言えないねえ?」
そう言われると、また自宅で印刷。製本屋に行って、仕上げ、宅配便で送る。今年中が勝負だ。年が明けると本格的なスタート。
今年中にスポンサーを見つけないと、来年のスタートはできない・・・。いや、全てが・・・終わるかもしれない・・。
<つづく>
折れた翼 /2004年12月 [第20章 裏切り地獄篇!]
でも、そんなことをしたら終わり。もう、友人として酒を酌み交わすこともできない・・・。
しかし、この5年間。僕も辛くて、辛くて、もう、ダメか・・・と思うことがあった。どうしていいか? 分からなくなることが、何度もあった・・。
なぜ、ここまでして映画を作るのか? と自分に問いかけた。投げ出してしまえれば、楽なのかもしれないと考えたこともある・・。
だから、彼を批判できない。ただ、本当のことを言ってほしかった・・。
「どうしても金が集まらなければ、またウチを頼って来てください。そのときは何か考えて上げますよ」なんて強がりを言わずに、本当のことを言ってほしかった・・。
残念な結末・・・。でも、ようやく映画は正式にスタートしたばかり。なのに片翼が折れた状態・・・。
「地元で製作費の半額を集めれば、D社が残りを出す」そういう約束でここまで来た・・。
それを彼は反古にし、投げ出してしまった・・・。どうすればいいんだ・・・。やっと、ここまで来れたのに・・・やっと、ここまで、来たのに・・。
<つづく>
真相/2004年12月 [第20章 裏切り地獄篇!]
D社に詳しい友人が語る。
「多分、3つの条件を上げた頃は、彼も企画会議を通す自信があった。でも、それから立場がどんどん悪くなった・・。
もう、ロイヤル・ストレート・フラッシュともいうべきカードを使っても、会社から製作費を引き出せなくなった・・・。
けど、何年もの間、あれが欲しい。これが欲しいと言って来た。それを何と! 太田は全部、揃えた。誰もが不可能という最強カードまで集めた。それなのに、彼は企画を通せない。
『ダメでした・・』というのは自分が無能だと言うのと同じ。そう考えたんだろう。だから、高飛車に出た。
『俺がダメなんじゃない。時間がかかるだけ。待てないなら、ウチ抜きでやってもらってもいい・・・』
でも、それはこういう意味。『自分は3年後くらいでないと、企画を通すのは無理。ウチの会社を参加せることはできません』それが正直な気持ち・・。
『俺はやればできる。でも、今できないだけなんだ』と弁明。プライドを守っているだけ。それが、あのセリフだよ・・悲しいヤツだね・・・」
一時は僕も怒り狂って「絶対に許さん!」と思った。が、彼も苦しんでいたのだ。でも、それなら本当のことを言ってほしかった。
「すみません。いろいろと言いましたが、今の俺には無理です。本当にすみません・・」
そう言ってくれれば理解した。海のものとも、山のものとも知れない、僕のような新人の企画を支持してくれたのだ。それを通すのは並大抵なことではない。
本当に嬉しかった。本当に感謝していた。本当に厳しい中、戦ってくれていたと思う。でも、自分の弱さを隠し、投げ出してしまった・・。
<つづく>
撤退の理由/2004年12月 [第20章 裏切り地獄篇!]
血が沸騰して、暴れそうになる・・・。
そう言えば、彼をよく知る助監督からも注意されていた・・。
「プロデュサーがいくらがんばっても、あの会社は固くて時間がかかるところ。製作費が絶対に出る保証はないから、覚悟は必要・・・」
なのに、信じた。そんな僕が馬鹿だったのか・・。
しかし、シナリオ営業をスタートした頃。どの会社でも「訳が分からない」「ベストセラー原作でないとね?」と誰も認めてくれなかったとき。
彼だけはシナリオを読み感動してくれた。涙が零れたと言った。何度も一緒に酒を飲んだ。
「この作品を映画にしたい・・泣けるいい話だ。絶対に映画にしたい・・」
そう繰り返し、言ってくれた。大監督の前でも共に誓った・・。
「必ず、形にしてご覧にいれます!」
それがなぜ・・・。D社に詳しい友人に聞いた・・・。
<つづく>
裏切り /2004年12月某日 [第20章 裏切り地獄篇!]
D社のプロデュサーに電話する。と、彼はこんなことを言い出した。
「ウチでやりたければ、あと5年ほど待ってもらわないとねぇ・・・。
今すぐは無理ですよ。まあ、どうしてもやりたければ、ウチ抜きでやってもらってもいいですけど?
それでも金が集まらなければ、またウチを頼って来てください。そのときはまた面倒を見て上げますよ!」
何だとぉー!!! 血が逆流して吹き出しそうだった。1か月前には 「もう、ウチも動かざるを得ません。大丈夫です。待ってて下さい!」と言っただろう!
それが何で・・・「あと何年か、待ってもらわないとねぇ?」と高いところからものを言うのか・・・。
あんたが「ストロベリーフィールズ」を映画にしたい!と言ったから、その言葉を信じて僕は3年も待ったんだ!
その間も、あれが欲しい。これが欲しい!というものを全部揃えただろ!
「絶対に動く。動かざるを得ない!」という3つの条件まで揃えたのに、何だその言い方は!
だが、・・・勤めて冷静に考える。彼は高飛車で極めて腹立たしい言い方をするが、これは事実上の撤退宣言である。いや、投げ出したのだ・・・。
<つづく>
1か月経過 /2004年12月 [第20章 裏切り地獄篇!]
D社に「地元が製作費集めに動く」との連絡をしてから、1か月近くが経つ。主役の夏美役探しも始まり、第1候補者にオファーした。
4年もかかったが、ようやく映画「ストロベリーフィールズ」の製作がスタート。諦めなければ夢は叶うものである。
が、あれからD社Pからの連絡がない。いつもは用がなくても、「どーですか?」とときどき電話をくれるのに、この1か月は連絡なし。
月1回の企画会議を控えて、準備に忙殺されているのだろうか? いや、すでに会議はあったはず・・・。不安になり連絡してみる。
電話に出たときから、彼の声はいつもと違った。そして、とんでもないことを言い出したのである・・・。
<つづく>
大詰めⅡ /2004年11月 [第20章 裏切り地獄篇!]
最後の一手。制作会社も決定する。決め手は社長がシナリオをとても気に入ってくれたこと。「この『ストロベリーフィールズ』は感動できるいい話です。うちでやりませんか?」と、向こうから言ってくれたこと。
そして、「これはレイトショーではなく、デイタイム上映します!」と言い切ってくれたことも大きい。さらに、こんな提案。
今の製作費でも映画は作れる。でも、宣伝費等の経費も必要。もう少し集めてみませんか? 地元とD社で1:1という今の比率に、もう1社入れて1:1:1にしましょう。その方が余裕ある製作ができます。
その会社も探してくれるという。テレビ局関係を当たってみるとのこと。それらの提案が決め手となり、お願いする。
その件を地元支援者にも連絡。了承を受けた。東京側が製作体制を確立し、主役が決定し次第。地元も本格的に動き始め、資金集めを始めるという段取り。撮影は来年春に決定。
いよいよ、本当の本当にスタート! ただ、気になることがひとるある・・。
<つづく>
大詰め! /2004年11月 [第20章 裏切り地獄篇!]
地元支援者から連絡。東京側の体制が整えば、いつでも「ストロベリーフィールズ」の製作費集めも開始できますとのこと。市と県の後援もOK。
さらに「理由」以来、大監督も応援してくれている。これでD社が出した「3つの条件」を全部クリアーしたことになる!
多くの関係者から「そんな都合いい条件が3つも揃う訳がない!」と言われたが、さまざまな人の支援と協力で、奇跡的に全てを揃えられた。
そのことをD社に連絡。プロデュサーの声は明るかった。
「もう、これでウチも動かざるを得ません!大丈夫です。待ってて下さい!」
だが、その後、とんでもない展開が待ち受けていた・・。
<つづく>