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第三章 春美を探せ!編 ブログトップ
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僕のシナリオ執筆法(Ⅸ)2005/8 [第三章 春美を探せ!編]

 よく、「太田作品は少女が、生き生きと描かれている」といっもらえる。でも、実は演出というより、シナリオ段階で本人に近づけておくことでの効果。
 
 つまり、「いかに俳優が魅力的か?」ということ。演じるより、本人の素が一番魅力的だからだ。

 あの名作「理由なき反抗」でジェームズ・ディーンは10代の孤独感をもの凄く見事に演じていた。もちろん、ジミーが名優だからということがある。

 でも、撮影前に彼は結婚しようと思っていた彼女と別れたばかり。その淋しさが映画にも出てしまったのである。

 「男はつらいよ」の渥美清が演じるテキ屋の寅さん。実際に渥美清はその種の仕事をしていたし、「金八先生」の武田鉄矢は教師になろうとして、実習までしている。

 その辺が強いリアリティを感じさせるのだ。本人が持っているものは、やはり強い。それを生かさない手はない。

 今回も俳優たちに会ってから、本人に合わせて若干シナリオを直すつもり。僕の場合はドラマでも、半分はドキュメンタリー。

 それが出演者をさらに輝かすことになるはず・・。

<つづく>


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僕のシナリオ執筆法?(Ⅷ)2005/8 [第三章 春美を探せ!編]

 さて、ハリウッド映画でも、以上でシナリオは完成である。

 あとは、俳優にはシナリオ通りに演技をさせ、台詞をいってもらうのが基本。役者を役に近づけるというのが映画。

 だが、僕は役を俳優側に近づけるという手法を取る。これは舞台演劇の発想。

 劇団の団員をイメージして当て書きするのと同じ。映画やテレビでも主役級はその手法が使われることが多い。
 「木村拓哉を主役で、何か1本」とかいう感じで企画がスタートしたりする。
 
 が、脇役まで俳優優先というのは少ない。それをやってしまうのが太田組流。

<つづく>


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僕のシナリオ執筆法?(Ⅶ) 2005/8 [第三章 春美を探せ!編]

 シナリオ直し段階で、「どう変えようか?」あれこれ考える。

 それを何か月も続けていると、ワインと同じでアイディアが頭の中で発酵して、より深みのあるものになってくる。

 よく、作家志望の人は「素晴らしいアイディアを思いつくことが才能」と思いがちだが、そうではない。時間をかけて考え続けることで「素晴らしいアイディア」に生まれて変わるのである。

 たった一行のセリフでも、「主人公にどういわせよう?」と何日も何週間も考え続けて初めて、感動的なものとなる。

 だが、この作業も通常の仕事ではできない。1本のシナリオに何か月もかけていると、脚本料だけでは生活できない。

 とにかく、一度は入れ込み、時間を置いて冷静に見つめる。そして考え続けることがシナリオを書く上で大切。

<つづく>


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僕のシナリオ執筆法(Ⅵ) 2005/8 [第三章 春美を探せ!編]

 黒澤明監督の「赤ひげ」「椿三十郎」の原作者、山本周五郎は、原稿が書き上がると箱に入れて、半年ほど読み直さなかったという。

 そして、半年後に箱を開けて原稿を取り出して、読み。書き直した。

 この意味を説明。書くときには、物語に入り込んで感情的に書かねばならない。

 が、それでは入り込み過ぎて見えなくなる部分もあるので、一度物語から離れて冷静になり、今度は客観的に見つめて書き直すという作業。

 これは非常に大切なこと。入り込んで書かないと人ごとになる。観客を感動させるセリフや物語を書けない。
 同時に、客観的な視点もないと、独りよがりになることがあるのだ。

 ただ、映画のシナリオの場合。夢中になって書き上がった段階で、提出ということがほとんど。半年も箱に入れておく猶予がある仕事などまずない。

 でも、物語に入り込んで書くこと。そして客観的に直す事。とても大切。もうひとつ。やっと説明できる。時間を置くことでできる「発酵」がある・・。

<つづく>


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僕のシナリオ執筆法(Ⅴ)2005/08 [第三章 春美を探せ!編]

 まず、執筆のときは外部との連絡を一切断って、物語の世界に入り込む。

 実際には存在しない人に恋をさせ、涙を流させ、あたかも実在するかのような存在感を与えるのだ。

 ある意味で妄想!

 現実の世界と触れると壊れしまうので、誰とも話もしないし、電話もしない。関係者に連絡しないように頼み、缶詰になる。

 その後。時間をかけて物語がうまく発酵すると、本当にあった話のように感動的なものとなって行く。
  しかし、通常シナリオは依頼があってから、1カ月くらいで上げることが多い。それでは十分な発酵せず、深みのない味になってしまう。

 本来はそこで時間をかけて、いかなる形で発酵させるか?が作家の個性となり、ドラマの面白みになってくる。

 幸い「ストロベリーフィールズ」は時間をかけることができた。(5年ほど!)では、その「発酵」とはどういうことをするのか?
 
<つづく>


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僕のシナリオ執筆法?(Ⅳ) 2005/8 [第三章 春美を探せ!編]

 そんなライター経験が生きたのがVシネマの「女子高生コンクリート詰め殺人事件」だった。実際に起きた犯罪を扱った、社会派ドラマ。
 

 裁判の記録から当時の雑誌、新聞の記事、テレビニュースまで徹底して調べ、実際に事件に関係した人々からも取材。現場にも行ってからシナリオを書いた。
 
 それに対して「ストロベリーフィールズ」はファンタジーなので実際の事件を調べるのとは違うが、大切なのはリアリティ。

 この作品はファンタジーの形を借りた、超現実的な物語。アニメ的な世界観とは違う。
 
 10代に向けた作品なので、若い人が共感できないと感動してもらえない。そのためにさまざまなタイプの10代から話を聞いた。

 それをシナリオに反映できたので、若い人が読むと支持してくれたのだと思う。
 
 ただ、難しいのは取材したものを物語に取り込み、ドラマティックにして行くところ。ここからがノンフィクションとは違う。

 ある程度の技術が必要。だが、ここで頭だけを使って考えると、ドラマとしては面白いけど、何かものたりないものになりがち。

 事実を樽詰めにし、発酵させてドラマティックなものにする・・・。(つづく)


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僕のシナリオ執筆法・Ⅲ 2005/8 [第三章 春美を探せ!編]

 そこで頭をひねって考えるライターと、取材に行く人とに分かれる。

 僕は後者。30代の男性が「10代の少女が何をしたいか?」を考えても、リアリティがない。本当の10代に聞いて回った。
 
 その結果を参考にドラマチックにしたのが、美香のケーキのシーンであり、理沙の夕陽のシーンであり、マキが母親に会うシーンである。

 物語を作るというより、「あの子だったらどうするかな?」と取材し、想像していくのである。
 
 アイデアが浮かぶとまず、取材。器用なライターさんはちょこっと調べれば、あとは手持ちのカードでうまく技術でまとめるので、上がりが早い。

 が、僕はかなり時間をかける。この辺は雑誌ライターをしていた経験から来ているのだろう。(脚本家デビューする前に、アメリカ時代の生活のエッセイ。韓国ヤクザのルポも書いていた・・)
 

 ライター時代にルポを書いていたとき。事実の正確さが要求された。西暦の記述ひとつ間違っただけでも、全ての記述の信頼が失われる。

 たった一行を書く為に、何週間も取材することもあった・・・。

(つづく)


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僕のシナリオ執筆法Ⅱ 2005/8 [第三章 春美を探せ!編]

 物語の一般的な作り方はこうだ。アイディアが決まると、箱書きといって大きく起承転結の4つに話を分けてみる。

 例えばすれ違いのラブストーリーで、会社を舞台にしたものという企画なら、こうだ。
 
1、主人公がヒロインと出会、恋に落ちる

2、すれ違いを越えて、仲良くなる。

3、恋のライバル邪魔がをする。

4、困難を乗り越えて、結ばれる。

 というふうに分けて、それぞれを具体的にして行く。「4で結ばれるのなら、そのきっかけを2のあたりで伏線にしておこう!」「恋の邪魔をするのは上司にしよう!」とか考えて、物語が出来て行く。
 
 「ストロベリーフィールズ」の場合はこうだ。僕が22才のとき自主映画で作った「バイバイミルキーウェイ」(1984)を土台にしている。

 そちらは高校生の男の子が幽霊になって、この世に帰ってくる話だった。 が、今の時代は女の子を主人公にした方が、より時代感が出るのではないか?と、設定を変えた。
 
 さらに1人だった幽霊を3人にしてみる。自主映画の方はヒロインと幽霊の男の子のラブストーリー的な趣きがあるが、それを全員女の子にすることで友情の話に持って行った。

 そこにタイムリミットを設定。48時間という枠組みを作る。さて、問題は「残された時間の中で、彼女たちが何をするか?」を考えることである。(つづく)


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僕のシナリオ執筆法・Ⅰ 2005/8 [第三章 春美を探せ!編]

  映画作りというと、どうしても俳優の方に目が行ってしまう。が、一番大切なのは実はシナリオ。

 そう言いながら、この日誌を見直してみると、意外にそのことが書かれていない。キャスティングやロケハンの大切さは書いているが、シナリオのことがない!

 間もなく撮影が始まるが、そのことを書いておきたい。
 
 僕は、もともとは脚本家としてスタートしている。デビュー作は95年のユーモア・アクション・ミステリー「アルティメット・クライシス」。水野美紀・主演。丹波哲郎も特別出演しているVシネマ。 

 が、それまで高名な先生について勉強したとか、シナリオ学校で学んだとかはない。高校時代に「キネマ旬報」に掲載されたシナリオをお手本に、見よう見まねで書き始める。

 その後、アルバイトをしながら、自分なりに書き続けて、5年後にデビューした。

 自分なりに勉強していて、分かって来たことがある。物語作りにはいくつかの方法論があるのだ・・。

<つづく>


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キャスティング。現在の状況。2005/8 [第三章 春美を探せ!編]


夏美・・・・女子高生。17才。クラスでイジメを受ける。友達がいない。

マキ・・・・谷村美月

理沙・・・・成績優秀。スポーツ万能のお嬢様。でも、クラスの影番。

美香・・・・学級委員。面倒見がいい。でも、友達がいない。

鉄男・・・・元不良。今はお寺で修行中。マキ、夏美の兄貴分。

春美・・・・・三船美佳!

 天才少女と、天才女優。2人の天才をゲット! 凄い映画になりそうだ。


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