夏美の名前? 2005/08 [第五章 夏美を探せ!編]
今から7年前の1998年。ある深夜ドラマの仕事をした。
僕のパートは監督補。+メイキング監督&メイキング撮影。小さなチームなので、基本的には何でもした。
湘南に2週間合宿しての撮影。そのときの撮影が「ストロベリーフィールズ」のカメラマンSさんである。
それが初顔合わせ。キャストはドラマ初出演だったモーニング娘。タイトルは「太陽娘と海」。
現在は大ブレイクの人気グループ。でも、当時はまだまだ知られてなかった。
メンバーのある子から見ると、2人は個性的なお姉さん。1人は同じ歳の17歳。少し天然。(当時から、そう言われた)さらには年下の妹的存在もいる。
上に気遣い、下を引っぱり、がんばった。
華やかな番組をブラウン管を通し、見てるだけでは分からない努力がそこにあった・・・。
<つづく>
夏美という役柄Ⅱ 2005/8 [第五章 夏美を探せ!編]
幽霊のタイムリミットは48時間。その間にマキたちは、最後の思い出作りをする。誰かに思いを伝えたい・・・。
でも、誰とも話す事ができない。自分たちの声を聞き、気持ちを伝えることができるのは、夏美だけなのである。
そんな夏美を演じるのは誰か? これまでにさまざまな若手女優の名前が上がったが、未だにピッタリな子が見つからない。
「ストロベリーフィールズ」クランクインの日は、どんどん迫って来る。気持ちばかりが焦る・・。
<つづく>
夏美という役柄 2005/8 [第五章 夏美を探せ!編]
「ストロベリーフィールズ」主人公の夏美は、学校でクラスメートにいじめられている高校2年生。
家に帰ると、姉にいじめられる。大好きなイチゴを縁側にぶちまけられて、杖で潰されたりする。
父は数年前に他界。母はそのショックを未だに引きずっている。父はトラック運転手だったが、地主でもあったために生活は困らない。
でも、家族はバラバラ。友達もいない。
そんな夏美はふとしてことで、クラスの問題児マキが出場する柔道の試合を応援に行く。
その途中、車で事故。マキと共に、乗り合わせたクラスメートは全員死亡。助かったのは夏美だけ。
ところが、死んだマキたちが幽霊になって戻って来る。その姿を見る事ができたのは夏美だけだった・・。
<つづく>
ハリウッド式編集Ⅳ 2005/8/28 [第五章 夏美を探せ!編]
そんなふうに編集というのは重要。作品に魂を吹き込む作業と言ってもいい、1秒、1フレームの差がすべてを決めるのである。
アメリカでは編集が重要視され、ロバート・ワイズは監督作の「ウエストサイド物語」より、「市民ケーン」を編集した評価の方が高い。
映画は編集。いつの頃からかそう思うようになり、僕は自主映画時代からハリウッド式で撮影して、ハリウッド式の編集法を実践してきた。
では、何で日本映画はこれまで、そんな方法論を実践しなかったのか? また、僕が手がけるような低予算映画で、なぜハリウッド式ができるのか? その辺はまた、いずれ詳しく書く。
とにかく、その方法で「ストロベリーフィールズ」を撮影することを、カメラマンのSさんと確認。打ち合わせをした。
<つづく>
ハリウッド式編集法Ⅲ 2005/8/28 [第五章 夏美を探せ!編]
日本でも岩井俊二監督は、撮影も編集もハリウッド式に近いと聞く。「七人の侍」以後の黒澤監督もハリウッド方式を、さらに進めたような形だった。
そんなハリウッド式は 編集者が「主人公の台詞を言い終わってから、何秒で次のカットに入るか?」を考える。すぐに切り変わる方がいいときと、数秒開けた方がいいときがある。が、開け過ぎると間抜けになる。
その微妙なタイミングは決まりがなく、センスに頼るしかない。趣味の悪い奴が繋ぐと、趣味の悪い作品になるし、鋭い編集をすると、観客を唸らせることができる。
が、一般の人が見たとき、それが編集の効果ではなく、俳優がうまいのだと思いがち。もちろん、俳優に負うところは多いが、多少下手な俳優でも「編集」で名優になるのである・・・。
これが日本式の撮影だと、同じフレームの中で2人が会話することが多い。当然、ハリウッド式のように、編集で間を作ることはできない。
<つづく>
ハリウッド式編集法Ⅱ 2005/8/28 [第五章 夏美を探せ!編]
ハリウッド映画はひとつのシーンを「これでもか!」というくらいにあらゆる角度撮影する。
それを編集。さまざまなカットがあるので、多様な表現ができる。また、繋ぎ方によってスピード感やテンポも出せる。
ちょっとしたアクションも大アクションに見せられるし、小さなリアクションから悲しみや感動を引き出せる。ハリウッド映画は「編集」で面白くなっている部分が大きい。
それに対して日本映画は、基本的に舞台中継のように一方向から延々と芝居を撮ることが多い。そこに、ときどきアップを挟むという形。
なのでスピード感がなく、ダラダラ続くような気がしてしまう。ハリウッドと日本の一番大きいな違いである。
それだけではない、編集によって映画のレベルも大きく左右される。つまり、センスが必要になって来る。
伝統的な日本映画のようにただ、順番に繋ぐしかない編集であればセンスも関係ない。が、数ある素材を繋ぐ場合は100人100通りの作品ができる。つまり、そこに個性も表現できるのだ・・。
<つづく>
ハリウッド式編集法 2005/8/28 [第五章 夏美を探せ!編]
では、ハリウッド式編集法とは、どういうものか?
最近でこそ日本でも面白い映画が多いが、伝統的な古いタイプの映画って「何かダラダラしていて退屈して、早く次へ行けよ!」と思うことはないだろうか? 文芸作品なのかもしれないが、酷く疲れる。
それに比べてハリウッド映画って、スピード感はあるし、テンポは早いし、ぐいぐい引き込まれて、ハラハラしながら、見てしまうことはないだろうか?
もちろん、予算が違うというのはある。敵は100億円とかいう規模で作っているのに対して、日本映画は1000万円という作品もある。
が、予算ばかりではなく、撮影方式と編集によって面白さが違って来るのだ。
<つづく>
ハリウッド式撮影法 2005/8/28 [第五章 夏美を探せ!編]
本日はカメラマンのSさんと、打ち合わせ。彼とは何度も仕事をしているので、僕のやり方は理解してくれているが、さまざまな点を確認した。
僕の撮影方法は、通常の日本映画とはかなり違う。簡単に説明するとこう。伝統的な日本映画のパターンは、そのシーンで必要なカットだけを撮る。
NGが出ればもう1回となり、OKが出れば次のカットに進む。この場合の編集はNG抜きをして、物語の展開順にOKカットを繋いで行くとほぼ完成である。
ところが、僕の場合。シーンを頭から最後までをいろんな角度から何度も撮る。右から左から上からと、5ショット以上撮るのが普通。
この場合は日本映画式にNG抜きをして、OKテイクを繋ぐだけでは完成はしない。5種類以上もあるテイクの中から、一番ベストなものを選び、それを繋いで行かねばならない。
もう少し詳しく言うと、一般的な日本のやり方はひとつのシーンをカット1、2、3、4、5、6、7・・と分けて撮影。編集でNGを抜き、シナリオ通りに繋げば出来上がり。
が、僕の場合は1ーa、1-b 、1-c。2-a、2-b、2-c。3-a、3-b、 3-cと、同じ場面を何度も撮影。同じカット1でも、aは夏美メイン、bはマキがメイン、cは理沙メインと、別パターンを何種類も撮る。
そんな労力のかかる面倒なことを何でするのか? 分かり易く言うなら、これがハリウッド式の撮影。この方法で撮っておくと、ハリウッド映画のような編集ができるのである!
<つづく>
「がんばっていきまっしょい」2005/8 [第五章 夏美を探せ!編]
若手女優を勉強するために、毎週何本もテレビドラマを録画して見ている。
そんな中で注目しているのが「がんばっていきまっしょい」。
若手女優が多数出演しているだけではなく、バラバラだった女子高生たちが次第に結ばれて行く話が「ストロベリーフィールズ」を思わせるので興味を持って見ている。
若い出演者は皆、魅力的だし、がんばっているが、やはりテレビドラマというのは時間との戦い。皆、セリフを覚え、間違えずに話すので精一杯という感じの子も多い。
自分のキャラを把握し、テーマを理解し、演じるという余裕がない。そんな中で1人だけ、それを分かって演じている子がいる。名前は知らないが、なかなか良い感じだ・・。
<つづく>
アイドル勉強中 2005/8 [第五章 夏美を探せ!編]
10代、20代の頃は、何の努力をしなくても、アイドルや俳優の名前が覚えられた。
僕の時代でいえば、松田聖子、中森明菜、小泉今日子。俳優なら薬師丸ひろ子。杉田かほる。荻野目慶子。皆、デビューの頃から知っていた。
でも、30代を越えてからは、努力が必要になった。安室奈美恵や華原朋美は人気が出てから知った。鈴木保奈美はかなりあとから知ったし、WINKは双子かと思っていた。
40代の今はかなり厳しい! あきらかに老化現象。おじさんたちが「最近の若い子は皆、同じ顔に見える」というのと同じ、顔が区別できない。
幸い、モーニング娘。とは仕事をしているので、ゴマキが入った9人の時代までは全員メンバーの名前が言えた。が、そんなことを自慢している場合ではない。今は辻ちゃんと加護ちゃんの違いが分からない。
だが、仕事柄、最近のアイドルや人気タレントを把握していないといけない。特に今はメインの女優4人を選ぶために大切。
なのに、よく分からなくて数ヶ月前から勉強中・・。
<つづく>