芳賀優里亜登場Ⅲ 2005/8/30 [第六章 理沙を探せ!篇]
基本的に俳優は「性格」がダブらなければ、その役を演じられないと思う。
強さのない子に強い役は演じられないし、もろさのない子にもろい役はできない。
別人を演じるのが俳優だという考え方もあるが、僕は「ないものは出ない」と考える。
芳賀優里亜は、理沙と共通する考え方や性格を持っているか?
すでに僕の中では「彼女しかいない!」と思えているのだが、検算をするように、それを確かめようと思う。
芳賀に質問した・・・。
<つづ>
芳賀優里亜登場Ⅱ 2005/8/30 [第六章 理沙を探せ!篇]
「芳賀さん。あなたに決めました! もう、お帰り頂いてもいいです」
と言ってもいいくらいだったが、それでは本人も戸惑う。
それに、僕の直感が当たってないかもしれない。話を聞いた上で判断したのではなく、「この子だ!」と感じただけだ。やはり、お話をしなければ・・。
応接室のソフアーに向い合って座った。芳賀優里亜は、写真とはかなりイメージが違った。10代の女の子は日に日に変化する。
写真を撮って数ヶ月でも別人となる。実際、写真よりかなり大人っぽく、髪も長かった。まさに理沙スタイル! 不安だった問題が解決。
あの写真だけ見て判断していたら、大失敗するところだった。直感を信じたのが正解。
あとは本人の性格と考え方である・・。
<つづく>
「仮面ライダー555」2005/8 [第六章 理沙を探せ!篇]
昔の「仮面ライダー」は悪の組織ショッカーが世界征服を企んでいた。それを主人公の本郷猛や一文字隼人がライダーに変身して戦い、世界の平和を守る。という分かり易いものだった。
なのに平成の「仮面ライダー555」は、大人向けのテレビドラマでも扱わない高度な内容。安易な勧善懲悪ものを作り続けるハリウッド映画では、あり得ない表現の連続。複雑多様な現代社会が反映されている。
単に戦うだけではなく、その目的、意味。相手の立場や思いがクローズアップ。敵であるオルフェノクにもいい奴がいて、事情がある。味方にもワルがいる。
オルフェノクがライダーに変身? 「そんなのあり?」という意外な展開。悲しみがあり、怒りがあり、友情や絆があり、感動がある。
たぶん、これまでのヒーローものしか知らない大人たちが見ると、着いて行けないだろう。むしろ、固定観念のない、現代を生きる子供たちの方が理解できるはず。
そんなドラマのヒロイン・マリが、芳賀優里亜である!
<つづく>
芳賀優里亜と「555」 2005/8 [第六章 理沙を探せ!篇]
話は前後する。芳賀優里亜と会う前にと、「仮面ライダー555(ファイズ)」のビデオを借りて来た。
僕は完全に「仮面ライダー」世代。藤岡弘、演じるライダー1号からオンタイムで見ている。
子供の頃には「V3」「X」「アマゾン」「ストロンガー」まで見たが、復活した「ブラック」等はさすがに見ていない。
それがホラードラマを監督したときに、出てくれた弓削君が「仮面ライダー龍騎」に出ていたので、初めて新シリーズを見た。
これが意外に面白い。もはや、「仮面ライダー」ではないが、かなり高度なドラマである。
すると、友人から今やっている「555」もなかなかいいよ!と言われて、何度か見た。が、最後まで見てなかったので、レンタルビデオを借りて来た。
現在、8巻。ついにデルタが登場した。まだ、カイザーの謎も解明されてないのに、もう「どうなるの!」の連続。
僕のような旧シリーズの「仮面ライダー」を見ていた世代からすると、「凄い!」としかいいようがない!
<つづく>
芳賀優里亜登場 2005/8/30 [第六章 理沙を探せ!篇]
「ストロベリーフィールズ」理沙役の面接がスタート。候補の俳優に次々と会う。
皆、なるほどと思えた。どの子を選んでも理沙を演じることができるだろう。さて、いよいよ、芳賀優里亜である。
8月30日(火)午後1時。マネージャーさんに連れられて、彼女が製作会社にやってきた。
スタッフが「こちらが監督の太田・・・」と紹介する前、芳賀がドアから入って来た瞬間。思った。
「理沙だ! この子で行ける・・・決まりだ!」
本物の(?)理沙が事務所に来たのかと思えるくらい。同時に、単に可愛い子という存在を越えた魅力が溢れている。
女優としても、理沙役としてもいい・・理屈ではない感銘を受けた・・。
(つづく)
「仮面ライダー555」のマリ?Ⅱ 2005/8 [第六章 理沙を探せ!篇]
「555」を見ろ!絶対におもしろいぞ!
と勧めてくれた友人にも電話して、意見を聞いた。同じことを言われる。
「『555』のマリって、おきゃんで、行動的で、じゃじゃ馬で、君のいう理沙のタイプではないと思うけど・・・」
しかし、あれから数年。中学生だった芳賀は高校生。変わっているかもしれない。それにロングヘヤーでなくても、理沙を演じることは出来るのではないか?
「愛と誠」の高原由紀もロングではない。そんなことをずっと考えていた。自分で決めた条件を満たしていないのに、なぜ、ここまで気になるのか?
それに対して、すでに候補として残っている女優たちはロングヘヤー、演技力あり、舞台等の経験もある。
彼女らの写真は見るからに、青い炎の理沙である。こうなれば面接だ! 最終まで残った候補たちと共に、順番に会うことにした・・。
<つづく>
「仮面ライダー555」のマリ? 2005/8 [第六章 理沙を探せ!篇]
「仮面ライダー555」は見ていた!あれはホント面白い。子供番組とは思えない出来だ。
ってことは、このプロフィールの子はヒロインのマリなのか!? 年齢を見ると17歳。マリってもっと年上だろう?
調べると「555」は芳賀優里亜が、中学生のときの作品。だから、今、ようやく17歳なのだ。なるほど・・。
それはさて置き、芳賀優里亜には惹かれるものがある。もちろん、息を飲む可愛さがあるのだが、それだけではない何かを感じた。
この子が「ストロベリーフィールズ」の理沙を演じると、どうなるか? 考えた。
理沙のイメージはロングヘヤー。でも、写真の芳賀はロングではない。演技力も、まだ分からない 「555」のマリと理沙とはかなりキャラが違う。
さらにマイナス材料として、理沙は美形であり、可愛いタイプではない。
主役の夏美が可愛いタイプなので、それとダブってもいけない。大人っぽさが重要だ。それらを写真の芳賀は、満たしてはいない。
なのに、もの凄く惹かれる。その日、プロフィールを自宅に持ち帰り、何度も写真を見て理沙をイメージ。書かれている趣味や作品歴を読みなおした・・・。
<つづく>
出演作「害虫」「どこまでも行こう」 2005/8 [第六章 理沙を探せ!篇]
この業界で仕事をしていると、可愛い子にはたくさん会う。羨ましがる友人もいるが、マイナス面も多い。
可愛い子ばかり見ていると感覚が麻痺してきて、少しくらい可愛くても感動できなくなる。可愛い=中身なし。のような子も多い。
そして「可愛さとは何だ?」とさえ思えて来て、誰を見ても可愛いと思えなくなる。それはかなり淋しい・・・。
だが、その芳賀優里亜という子の写真は、本当に可愛かった。
中学生時代にアイドルのグラビアを見て、ときめいた気持ちを思い出した。もう、何十年も忘れていた感覚だ。
といってタイプという訳ではない。だから、余計に気になった。この子は何者なのか? 作品歴を見る。
「害虫」「どこまでも行こう」そして「仮面ライダー555」。
えっ? 「555(ファイズ)」
(つづく)
光輝くプロフィール? 2005/8 [第六章 理沙を探せ!篇]
映画「ストロベリーフィールズ」の理沙役が3人にまで絞られた。 ある日、製作会社に行くと、理沙のプロフィールが置かれたデスクの上。見慣れない書類が置かれていた。
遅れて届くものもあるので、誰かが置いてくれたのだろう。
プロフィールであることは遠目にもすぐ分かるが、とても気になった。何か光りを放っているような感じ。
そんなバカな!と思いながら、まっすぐにデスクに歩みより、手に取る。
やはり、今までに見ていないものだ。顔写真を見る。心がときめくほど可愛い。そんなふうに思えるのは何年ぶりか?
一体、この女優は誰なんだ?
名前の欄を見ると、そこには「芳賀優里亜」と書かれていた・・。
(つづく)
理沙役の条件Ⅲ 2005/8 [第六章 理沙を探せ!篇]
成績や友達のことで悩んでいる女子高校生も、卒業すれば彼氏や就職のことに関心が移る。高校時代の思いを持てと言われても、むずかしいはずだ。
何より、僕の演出は演技をさせるというより、その俳優が持つ根源的な思いを引き出すことを重要視する。
それによって、本物の感動や生き様を描くのである。だから、本物の10代にこだわった。
でも、他に上げた条件を含めて、それらをクリアーする女優が果たしているだろうか?
すでに選んだ夏美役とマキ役は、佐津川愛美と谷村美月。どちらもかなりいい。演技力もずば抜けている。その2人に劣る子は選びたくない。
が、それはかなり高いレベルとなる・・・。
<つづく>