15年前の自主映画Ⅱ /2003年10月 [第8章 和歌山ロケハン篇]
東京で自主映画を続ける仲間たちと、俳優の卵たち。黒澤明の「影武者」「乱」にも出演した友人の俳優さんにも出演してもらった。
この作品も「ストロベリーフィールズ」と同じく、ある種のファンタジー作品。そして 一番の目的はクライマックスの舞台として、東陽中学で撮影をすること。
今からもう、15年前のことである。(写真上は、15年前に東陽中学教室でロケした映画の1シーン)
結局、その年の東京は雨が多く、夏休み中に撮り切ることはできず、フォール・セミスター(秋学期)を全て休んで完成させることになる。
が、田辺の撮影だけは毎日、晴れだったのを思い出す。
映像に写った木造校舎は本当に素晴らしかった。監督デビューして、劇場映画が撮れるようになったら「もう一度、ここで撮影したい! この校舎を全国の人に見てほしい!」と思った。
「ストロベリーフィールズ」東陽中学ロケは15年前からの夢であり、その全ての始まりはこの木造校舎・・。何としても実現したい! (つづく)
15年前の自主映画Ⅰ/2003年10月 [第8章 和歌山ロケハン篇]
実はこの東陽中学の校舎で、以前に映画を撮ったことがある。と、いっても8ミリ映画。
南カルフォルニア大学・映画科在住中の夏休みに、一時帰国。東京と田辺を舞台に自主映画を監督した。今から15年前1988年のことである。
タイトルは「雨の中のミッシェル」。(上写真はその映画の1場面)
運動場側から見た東陽中学の校舎に、まだ大きな時計が設置されている。今では大時計は校門側のポールの上。
でも、校舎自体はその頃からすでに、懐かしくも美しく輝いていた。(写真上、15年前の東陽校舎。まだ、大時計がある。写真下は今の校舎)
アメリカには存在しない、その建物の魅力に惹かれ、当時26才だった僕はカメラを回した・・・。
つづく
ロケハン・東陽中学Ⅳ /2003年10月 [第8章 和歌山ロケハン篇]
若い女の子たちはこうだ・・。
「わーーーー、おしゃれな校舎! 懐かしい〜!!!!」
と言うが、10代20代の彼女たちが、木造校舎で勉強しているはずはない。なのに「懐かしい」という。なぜか? そこには世代を越えた日本人のDNAがあるのではないか?
何か「暖かいもの」や「優しさ」を感じずにはいられない魅力が、この校舎にはあるのだと思う。
取り壊しより、観光の目玉に使うことが百倍有効だ。が、地元ではあまり理解されない。古くて危ない建物という認識。
映画を通せばこの校舎の素晴らしさも、きっと多くの人に伝わると思えている・・・。(つづく)
ロケハン・東陽中学Ⅲ /2003年10月 [第8章 和歌山ロケハン篇]
ただ、この学校の木造校舎。市が取り壊しを検討しているという。本当にもったいない。残念で仕方がない。
それまでに何とか撮影をしたい。そして、映画でこの校舎の素晴らしさを日本中に伝え、何とか保存。残して行けるようになればと願う。
学校の写真を見せると、東京の広告業界の友人はこう言う。
「こんな絵になる校舎。どこにあるの? 今、CM業界では懐かしい感じの建物や学校を探している人は多いんだよ」
若い女の子たちはこうだ・・・。(つづく)
ロケハン・東陽中学Ⅱ /2003年10月 [第8章 和歌山ロケハン篇]
今も校舎として使用されており、実際にここで生徒たちが授業を受けている。そのせいか廃校や使われていない古いだけの建物とは違い、血の通った暖かさを感じる。
特に建物の中に入ると、独特の雰囲気がある。まるでタイムスリップして、古き良き時代に戻ったようだ。安心感と落ち着きが溢れている。
僕が知る日本の建築物の中でも最も美しい建物であり、ここで映画を撮りたい!というのが長年の夢だ・・。(つづく)
ロケハン・東陽中学/2003年10月 [第8章 和歌山ロケハン篇]
田辺ロケで1番撮影したい場所。
それがこの東陽中学の木造校舎だ。シナリオを書く前から、主人公・夏美やマキたちの学校はここだと決めていた。
この学校があるので田辺ロケを決めた!といっても過言ではない。今から約70年前に建てられた木像建築。
圧倒的な存在感。優しさ。暖かさ。懐かしさ。言葉では表現しきれない数々のことを感じる。
日本に残っている木造校舎はもう僅かしかないが、その中でもずば抜けた気品がある。単に木造であるめずらしさだけではない・・。(つづく)
ロケハン・屋敷町 /2003年10月 [第8章 和歌山ロケハン篇]
ここは屋敷町。名前通りにお屋敷の町。昔、侍のお屋敷があった地区。大きな家がたくさんある。
まるで黒澤明監督の映画「赤ひげ」のオープニングのような、瓦の波が続く。日本の建築物がいかに美しいか?を再確認できる場所。
土塀。木作りの門。蔵。このセンス。この感覚。僕はニューヨークのビル街に決して引けを取らない国際級の美しさだと思う。
言葉はいらない。とにかく、写真を見てほしい! ここで僕は映画「ストロベリーフィールズ」を撮りたい!(つづく)
ロケハン・秋桜/2003年10月 [第8章 和歌山ロケハン篇]
高山寺の入り口からまっすぐに進み、会津川に出ると土手にたくさんのコスモスが咲いていた。スピルバーグの「カラーパープル」を思わす美しさ。
そう言えば、モーニング娘。の「愛の種」のプロモも、コスモス畑が出て来たのを思い出す。
川を見つめながら愛を語るカップルもいて、なかなか青春ドラマしている。
美香やマキが思い出を探すシーンの1つに入れようか?と考えるが、「ストロベリー」を秋に撮影するとは限らない。夏にくれば単なる土手だ。
その辺のことを考えてロケハンせねば・・・。でも、秋ならここはイチ押し!(つづく)
ロケハン・理沙の家/2003年10月 [第8章 和歌山ロケハン篇]
古い瓦並木と木の塀が続く屋敷町の中に、異彩を放つ洋風建築。地元では赤屋敷と呼ばれるお宅。
洋風なのにまわりの和風と全然違和感がなく、美しさと気品を讃えている。
ここも以前から知っていたが、何か惹かれるものがある。ここは理沙の家と決めている。
彼女は影番で不良だが、気品があり誇りがある(誰が演じることになるのだろか? イメージは「愛と誠」の高原由紀!)。
その理沙に相応しいのは、この素敵な建物だと思う。
登場人物のキャラ設定は俳優の演技だけではなく、着ている衣裳、髪型、そして住んでいる家によっても表現できる。
その意味で、マキはどんな家に住んでいるのか? 夏美は? 美香は?と考えているのだが、理沙はここで決定!(つづく)
ロケハン・排水口のある場所Ⅱ /2003年10月 [第8章 和歌山ロケハン篇]
たぶん、昔から子供たちの遊び場になっていたのだろうと思っていたら、知人から昔は排水口の中に隠れてよく遊んだという話を聞いた。
そのせいか子供たちを見守る優しい空気が、溜まっているように思う。
ここは「ストロベリー」のロケで絶対に使いたい場所。(写真上は満潮時近く。ほとんど水がいっぱいになっている)でも、どのシーンで使うか? マキの応援に皆が集まる場面だろうか?
ここにマキがいて、8ミリカメラをまわず夏美がいて、ふて腐れた理沙が離れて立ち。それを美香が連れに行く。
そんな撮影が出来るのはいつの日か?
「カメラはこちらから、夏美はここで・・」
と、その場に佇み、長々と考えていた・・・。(つづく)